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博士(医学)。医学部医学科英語学非常勤講師。元大手予備校および医学部専門予備校小論文講師。専門は老年学とまちづくり学。「医学論文の読み方」と「医学部小論文」を書いていきます。ベストセラーよりロングセラー。目標は、京大に介護福祉学科を作ること。

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  • 医学部小論文

    私大医学部医学科を中心とした小論文の情報を提供します。

  • 医学論文の読み方

    本には書かれていない、教科書的でない「医学論文の読み方」を紹介します。

最近の記事

R で問題作成

R で問題作成を支援するツールを比較 cran/exams cran/ProfessR cran/exams 試験問題を、Markdown また LaTeX 形式で溜めておき、自動生成する。択一式や複数選択、計算、記述式およびその組み合わせに対応。出力形式は、ファイルとしては PDF/HTML/docx/odt があり、Moodle や Kahoot! などにも対応。 チュートリアルはこちら。https://www.r-exams.org/tutorials/first

    • 安全性(優性、劣性、非劣性) 00852

      査読内容は、安全性の評価である。 「安全」とは何か?一般に、薬の安全性といえば、「薬群において、対照群と比較して、ある有害事象が発生することが有意に低い」となる。しかし、世の中には、「新薬群において、旧薬群と比較して、ある有害事象が発生することが有意に高くない(非劣性)」あるいは、「新薬群において、旧薬群と比較して、ある有害事象が発生する割合が一定範囲内(同等性)」の場合などもありうる。どれを選ぶかで、統計の手法が少しづつ変わってくる。 今回の査読は、最初、この点が分かり

      • 傾向スコアとSMD 00852

        傾向スコア (propensity score, PS): 共変量(説明変数)から傾向スコアを計算する。2群で傾向スコアが同じあるいは近いペアは対応するペアとしてマッチングすることができる。こうすることによって、2群に差があるような場合に、差が出ないような部分集合を作って比較可能にする。 標準化平均差 (standardized mean difference, SMD): 平均差を、分散(厳密にいうと、分散の平均のルート)で割ったもの。 さて、この査読では、背景データに

        • 査読記録

          論文を査読する機会が10回を超えてきた。今後は、自分の復習及び将来査読をする方にとって少しでも参考になるように、記録を残したい。 なお、さまざまな理由から、多少の改変があることはあらかじめ断っておく。 査読記録の方法 1. 一回の査読を、テーマごとに複数の記事にすることがある。このため、タイトルを「テーマ 論文ID」のように書く。例えば「傾向スコア 00852」。 早い人は、論文の査読を3日程度で書くそうだ。残念ながら、私は調べながら書くのでなかなかそれほど早くは書けない

        R で問題作成

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        • 医学部小論文
          8本
        • 医学論文の読み方
          8本

        記事

          ロジスティック回帰

          概要  複数の要因から、一つの結果を求めることができる解析。ただし、得られるのは2値変数のオッズ比(の対数)である。2値変数のため、「生」か「死」といった結果が得られる。連続数を求めたい場合は、「血圧130以上」「血圧130未満」という2値にして求めることができる。一方で、要因の方は連続変数と2値変数の両方が可能となる。  オッズ比とは、基本的に二つの事象の割合を示している。「生」に対する「死」のオッズ比が1を超えていれば、生よりも死が発生しやすい。事象がきわめて稀であれば、

          ロジスティック回帰

          ドラマ「俺の家の話」第1話

          介護をテーマにしたコメディドラマが始まりました。医療・介護業界が垣間見られるので、注目しています。とくに、若年性認知症の医師を演じていた戸田恵梨香さんが、今度は介護職員?役。医師だったことは忘れてしまったのでしょうか。 さて、その戸田恵梨香が演じるさくらは、現在初任者研修受講中とのこと。つまり、介護は素人でデイケアに勤めている状態。通常、そのような新人が入院先に出向くことはありえませんが、それは人間国宝である寿三郎が強引に引っ張ってきたのでしょうか。しかし、それほど知識がな

          ドラマ「俺の家の話」第1話

          what counts is ability

          ルートヴィヒ・グットマンの言葉で、日本の障害教育で広く引用されている言葉がある。 Don’t worry about what you have lost. Just make the most of what you have left. Remember, what counts is ability, not disability. ところが、残念なことに、その訳は間違っている。 有名な訳 「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ」 https://w

          what counts is ability

          自動翻訳でH31京大英作文を英訳

          自動翻訳は、かなり高精度になってきた。とくに、日本語から英語への訳は非常に使えるツールと言える。そこで、訳が難しい京大英作文を試してみた。 Google When you hear the word "minority," you may first think of a minority in the whole. However, it is a mistake to reduce only the concept of minority to a number of

          自動翻訳でH31京大英作文を英訳

          RCT(2群)のデザイン:パラレルとクロスオーバー

          ランダム化比較試験には、パラレルデザインとクロスオーバーデザインがある。 パラレルデザインにおいては、対象者を2群に割り付けたのち、並行して実験を行う。 クロスオーバーデザインでは、対象者を2群に割つけて並行実験したのち、一定のウォッシュアウト時期を経て、対象者を入れ替えて実験を行う。 arm: 群、group ともいう。 washout: 最初の介入の効果を消すための期間。 クロスオーバーデザインの利点 ・少ない参加者で行うことができる。 ・arm A と

          RCT(2群)のデザイン:パラレルとクロスオーバー

          システマティックレビューの自動化に向けて:研究合成における機械学習ツールの活用のための実践的ガイド

          Toward systematic review automation: a practical guide to using machine learning tools in research synthesis ライセンス: Creative Commons Attribution 4.0 International License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/) https://pubmed.ncbi

          システマティックレビューの自動化に向けて:研究合成における機械学習ツールの活用のための実践的ガイド

          Patient Reported Outcome (PRO)

          Item Response Theory (IRT): 項目応答性。 Mimimal Important Change (MIC): 患者が変わったと感じる最小の差。 Patient Reported Outcome Measure Information System (PROMIS): 代表的な主観的アウトカム。HealthMeasures.net にて掲載。 Responsiveness: 応答性。IRT の R とは異なる。応答性は、いくつかの手法を組み合わせて

          Patient Reported Outcome (PRO)

          出版バイアスとFunnel plot

          メタ分析を行う論文では、出版バイアスは過大評価の原因となりうるため、確認すべき項目である。PRISMA statement でも、リスク評価すべき例とされている。 ところが、これまで読んできたメタ分析は、おおむねファンネルプロットを行い、視覚的に確認するくらいのことした読んだことがなかった。 この点に関心を持っている人たちがおり、出版バイアス(ファンネルプロット非対称性)の検定が開発されていた。なお、この検定は heterogeneity が低い(つまり同質の結果が多い)

          出版バイアスとFunnel plot

          R 4.0 パッケージ対応

          macOS 上の Fink で、r-base40 を作成しました。さらに、Fink にある CRAN パッケージを r-base40 でビルドしてみました。以下は、その結果です。 ビルドできたCRANパッケージ ビルドできなかったCRANパッケージ

          R 4.0 パッケージ対応

          感度分析

          Thabane L, Mbuagbaw L, Zhang S et al. (2013) A tutorial on sensitivity analyses in clinical trials: the what, why, when and how. BMC Medical Research Methodology, 13(1), 92. 臨床系論文を読んでいると、感度分析 (sensitivity analysis) という分析が方法論・結果、考察に書かれていること

          感度分析

          自己紹介

          京都大学卒 University College London 修士課程 MPhil 都市計画専攻 東北大学大学院 博士課程 医学博士 介護福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター 専門は老年学、ケアマネジメント学とまちづくり学。私大医学部で英語(非常勤)を教えております。また、予備校では自然科学系・医系の小論文を教えていました。 Mac/Fink にて、Rなどを使っています。地理情報システムも使うことができます。 note では、大学講義や予備校講義の

          自己紹介

          Odds Ratio の誤用

          https://dx.doi.org/10.1038%2Foby.2012.71 Tajeu GS, Sen B, Allison DB, & Menachemi N (2012) Misuse of odds ratios in obesity literature: an empirical analysis of published studies. Obesity, 20(8), 1726-1731. Introduction In the

          Odds Ratio の誤用