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週刊誌とSNSの悪魔合体の背景にある、インターネットの闇

週刊誌とX(旧Twitter)が悪魔合体した結果


最近、週刊誌が個人を社会的に消すことができるようになってしまった、ということが巷でよく言われるようになりました。
その原因は、情報の発信元である週刊誌と、X(旧Twitter)が悪魔合体したことにより、その威力が増幅された結果だとも言われています。

確かにここ最近は、週刊誌の報道とともにXでも炎上状態となり、Yahoo!のニュースランキングも週刊誌で報道されたニュースで埋め尽くされるようになりました。
これは、インターネットの負の側面と、負の機能=インターネットの闇によって生み出された現象なのです。

インターネットの闇:X(旧Twitter)のリツイート機能


まず、1つ目の闇の機能はX(旧Twitter)のリツイート機能です。Xでは毎日のように炎上しています。この炎上というのをもう少し丁寧に説明すると「Xで数千とか数万リツイートされて、様々な人が言及している」状態です。

逆に、インスタグラムで炎上とかYouTubeが炎上というのは、聞いたことがないですよね。Xが炎上だと評されるのは、このリツイート機能が原因なのです。1つのニュースソースにリツイートしながら皆が様々な怒りをぶつける。それが数千、数万件であり、インプレッションも数千万に登るというように、数の力が可視化されてしまうのです。

インターネットの闇:X(旧Twitter)のレコメンドとフィード機能


最近のXはレコメンド機能を強化しており、タイムラインには興味関心に合わせた情報が流れてきます。この結果、拡散されている炎上ネタが目に触れやすくなり、さらにインプレッションを増加させる要因になっています。

さらに、炎上に一役買っているのがフィード機能です。Xに限らず、インスタグラム、TikTok等、ほとんどのSNSはスワイプすれば次々と情報が表示されるフィードの形を取っています。フィードというのは、情報は与えられるものという受け身の姿勢を醸成しやすく、ある種ユーザーをスポイルしているともいえます。
自ら検索して、1次情報を取りに行くという習慣が失われているのです。

先日、起業家の堀江貴文氏の女性関係についてスポーツ紙が報じたゴシップ記事を、Xのインフルエンサーが投稿し、瞬く間にオピニオンに広がって叩かれるということがありました。堀江氏はこれは飛ばし記事であり事実無根なので法的措置を取ると表明し、一部のオピニオンは謝罪する形になりました(最初に投稿をしたインフルエンサーはしれっとポストを削除しましたが)。
このように、ニュースソースが投稿されても、1次情報をたぐって真実を確かめにいく人は稀であり、ほとんどの人は確定情報として扱い、瞬く間に拡散してしまうのです。

とはいえ、Xがなかった時代でも1次情報を自ら確かめに行く人は少数派であったと思います。しかし、マスメディアの報道が主流であった当初と今では、状況が違っています。

インターネットの闇:インプ優先のコタツ記事の量産


今ほどインターネットが隆盛を極めておらず、マスメディアが主流だった時代は「マスメディアはしっかりと取材して報道してるのだろう」というある種の信頼感みたいなものがありました。

しかし、インターネット時代に入り、記事ごとのインプレッションが可視化されるようになりました。その結果、いかにしてインプレッションを稼げる記事を、コストをかけずに制作するか、という方向にシフトしていきます。

Xで投稿されたオピニオンの投稿やXの炎上を取材をせずに記事化し、いわゆるコタツ記事を量産するようになったのです。
その結果、記事制作のコストはほとんどゼロで、インプレッションが集まる記事が制作できるようになりました。

インターネットの闇:Yahoo!ニュースとヤフコメ


Xでの炎上をそのまま記事化したコタツ記事は、主にYahoo!ニュースに載るために制作されています。Yahoo!ニュースに掲載されれば、大きなインプレッションが望めるからです。
その結果、Yahoo!ニュースのランキングには、コタツ記事がラインナップされることになります。
そして、そのニュースにはヤフコメというコメントがつきます。話題のニュースにつけられたヤフコメには1万いいねがつくことも珍しくありません。いかにヤフコメが見られているかが分かるでしょう。
かつては誹謗中傷の原因としてヤフコメが問題視されたこともありました。現在はAIでの監視などを入れて健全な運営を心掛けているそうですが、それでも炎上状態を可視化する装置として働いています

そして、このYahoo!ニュースとヤフコメの内容が、さらにXで投稿されて話題になります。
このように、このサイクルに紐づく炎上のマッチポンプが完成しているのです。

週刊誌が報道する

Xで炎上する(=たくさんリツイートされる)

ネットメディアがコタツ記事を書く

Yahoo!ニュースに載り、ヤフコメによってさらに炎上が可視化される

Yahoo!ニュースをネタにさらにXで炎上する

インターネットは人々の本能を増幅するための装置


ということで、週刊誌とSNSの悪魔合体について解説してきました。インターネットの闇というものの、リツイート機能やフィード機能など、機能そのものは別に闇でもなんでもないわけです。

しかし、インターネット登場以降、SNSサービスは行動経済学に基づき、人々の本能をハックする仕組みを完成させています
それが、延々情報を追い求めてしまうフィード機能やレコメンド機能であり、情報を拡散させるためのリツイート機能なのです。
週刊誌ネタがこれだけSNSで炎上するのは、上記のように拡散されやすい仕組みが整っている要因はありますが、根本は「ゴシップニュースが好き」という噂好きの人間の本能から来ています。

インターネットが人々の本能を増幅する装置を持っている以上、それに意識的に立ち向かわない限り、インターネットの機能にハックされてしまうのです。


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