仕事のモチベーションを成果に置くべきではない理由
コーディネートゲームの楽しさとは
その昔、ニンテンドーDSでアパレルのお店を経営するゲームがあったのですね。自分の店に洋服を仕入れて、お客さんの好みを見極めてコーディネートしてあげると、お客さんが購入してくれるというゲームです。
このゲームの楽しさの本質は「コーディネートを楽しむ」にあったのですが、プレイしていくうちに、楽しさの種類が変わっていったのです。
お店に並ぶ洋服は自分で仕入れるのですが、プレイしていくうちに、高価格帯の洋服ばかり仕入れるようになりました。その方がお店の売り上げが上がるからです。そうして、高価格帯の洋服を買ってくれる客ばかりに服を売るようになり、お客さんへのコーディネート時間がむしろ煩わしいものに感じられるようになったのです。
最終的には効率よく高い服をさばくかということを考えることになり、ファッションコーディネートのゲームは、単なる売上という数字を上げるゲームになりました。
同時期に同じゲームをプレイしていた知人に聞いたところ、全く同じルートをたどっていました。
成果を重視すると、過程がつまらなくなる
ということで、本当はこのゲームの楽しさは「コーディネート」にあったはずなのですが、売上げとして表れる数字上の成果を重視すると、効率性が優先されてその過程にある「コーディネート」を邪魔にすら感じてしまうわけです。
2010年代前半にソーシャルゲームが出始めたころ、だいたいのゲームはいかに数値を上げて自分のステージを上げるかという設計だったため、皆無心で決定ボタンをクリックしていたように記憶しています。
レベル上げという数値成果に重きを置くと、その過程が「ゲームをプレイする」のではなく「無心で決定ボタンをクリックする」になり、過程が楽しめなくなるのです。
成果による幸福は一瞬で終わる
ということで、仕事においても数値成果にモチベーションを置きすぎると、その過程がただの作業になってしまうのですね。
ソーシャルゲームでははレベルなりステージが上がるたびに、ドーパミンが分泌されて脳が快感を感じるのですが、ドーパミンの持続力は長くないわけです。
しかも、ゲームはいかにドーパミンを出させるかという意図で設計をしているので、頻繁にレベルやステージが上がりますが、実際の仕事では目に見える成果が出るまでのタームが長いことが多いのです。
ということは、成果からしか満足感を得られないと、次の成果のタームまでの仕事がただの作業になり、苦痛に感じてしまうわけです。
仕事そのものに楽しさを見出す
成果による幸福が一瞬で終わるのであれば、仕事そのものに幸福感を感じることができれば、ずっと楽しい状態が続きます。
芸術家やプロスポーツ選手において、よくフロー状態に入るといいますが、完全に活動に没頭し、その過程で高い満足感や達成感を感じる心理状態があります。
ですから、毎日の仕事そのものに工夫をすることで、楽しさを感じられるようにして、継続できるようにした方が、仕事のモチベーションを保ちやすいのです。
おまけに、楽しさを見出していればさらに工夫をしようという気になるので、仕事のクオリティも上がっていきます。
個人で取り組む仕事は、なおさら楽しさにモチベーションを置く
会社組織で仕事をする場合は、四半期ごとに達成指標が置かれているので、数字を意識せざるおえません。
しかし、個人で取り組む仕事については、毎日の仕事の楽しみにモチベーションを置いた方が、最終的に成果が上がりやすくなっています。
例えば、個人でYouTubeを立ちあげるにしても、チャンネルをグロースさせるには最低でも3か月はかかります。この3か月の間は目に見える数値成果が上がってこないため、動画の制作そのものが楽しい、という状態にしなければ継続が難しくなります。
江頭2:50によるYouTubeチャンネル、エガチャンネルは今はものすごく人気ですが、YouTubeが普及する前、テレビを主な活動場としていたエガちゃんは、なかなか活躍の場がありませんでした。
それでもエガちゃんの芸風を曲げることなくやり続けたからこそ、YouTubeでの爆発があったわけで、その芸風を続けること自体が楽しかったのだと思うんですね。
今の時代は、プラットフォームによってウケるコンテンツが規定されるため、やり続けることによっていつか日の目を見る、というケースが珍しくありません。やり続けるために、仕事そのものに楽しさを見出す必要があります。
まとめ:仕事自体が楽しいと思い出に残る
ということで、仕事のモチベーションを成果に置きすぎず、仕事そのものに楽しみを見出した方が良いというお話でした。
さらに重要なことは、仕事自体に楽しみを見出すと、思い出に残るのです。例えば、過去の仕事を振り返ったとき、
あのとき、〇億円の年間売上目標を達成できたなー
と振り返るよりは
あのとき、大変だったけどチームメンバーと協力して仕事を頑張ったなー
と、仕事の内容自体を思い出すことが多いのではないでしょうか。仕事自体に没頭できると、そのときは大変でも、後に思い出に残るのです。
ゲームの例でいえば、クリックするだけのソーシャルゲームの内容は全く覚えていなくても、ストーリーに没頭していた「ドラゴンクエスト」の内容はよく覚えているでしょう。
インターネット時代においては特に、一つのことをやり続けて誰かに見つけてもらうことが必要です。そして、やり続けるためには、仕事そのものが楽しいから、という理由に勝るものはないのです。
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