メジカルビュー社

臨床医学を中心に,医師・医療スタッフの方々向けの単行本や教科書を毎年約90点刊行してい…

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臨床医学を中心に,医師・医療スタッフの方々向けの単行本や教科書を毎年約90点刊行している出版社です。noteでは,オンラインならではの連載記事や編集部の裏ばなし,新刊・好評書籍の紹介をしていきます。 https://www.medicalview.co.jp/

マガジン

  • 格谷義徳の人工膝関節 そうだったのか

    池上彰氏が言うには ●難しいことを理解して,難しく他人に説明するのはゼロ人前 ●難しいことをきちんと理解して,自分なりに易しく他人に説明するのは半人前 ●聞き手にとって何が難しいことなのかを分析して,相手に伝わる説明ができるようになって初めて一人前であるらしい。 もともとわれわれ整形外科医は何か深遠なことを議論しているようで,実はほとんど何も考えていないに等しいのではないかと疑ってきた。だから“難しいことをきちんと理解しないで,難しく他人に説明する”ことが多い。難解そうな医学用語を使っているだけなので,内容としては“マイナス一人前”と言われてもしようがなかろう。 そこで人工膝関節に関する話題を“一人前”に説明することを目標としたのがこのシリーズである。読者がわからないのは,わかるように説明できない私の力不足なのだから,率直なご意見・ご批判をいただけたら励みになる。

  • 話したくなる 整形外科 人物・用語ものがたり

    歴史上の偉人を悩ませた整形外科疾患,もしくは発見者の名前を冠した症例について,筆者独自の視点を盛り込んだエッセイです。

  • Progress 情報社会におけるセラピストのあり方

    何を参考に学ぶべきかわからない,学んだことを実践できない,学んだことを実践してもうまくいかない…。 患者さんのために,より知見や技術を磨きたいと考えている理学療法士・作業療法士の方々にとって,このような悩みは身近なものではないでしょうか。 昨今,リハビリテーションに関する情報は,書籍や論文,学会に加えて,SNSやオンラインセミナー等,多種多様な方法で容易に入手できるようになりました。 一方で,大量の情報から必要なものを選び取らなければならないため,どのように情報を選んで学ぶべきかわからない方も多いと思います。 そこで本企画では,臨床と研究の双方で活躍され,SNSでも積極的に情報発信されているエキスパートの先生方に,自身の経験を踏まえて情報の取捨選択と学びの極意についてインタビューしました。 セラピストとして成長していきたいという想いをもつ皆様の一助となれば幸いです。

  • Behind The Scenes メジカル裏ばなし

    書籍が刊行されるまでには,さまざまな困難があります。 その困難は別名「幸せへの通り道」。 書籍が書店に並んでいる様子を見ると,とても幸せな気持ちになります。 お忙しいドクター,メディカルスタッフの皆様にご執筆いただき,書籍は読者のお役に立てるよう,旅立っていきます。 刊行されてから思い出すと,「あーこんなことあったな」となつかしい思い出ばかり。 ここではその思い出の,苦い体験談やら甘い記憶やらをまとめてご紹介いたします。

  • からだリセット! 疲労回復ストレッチ&セルフマッサージ講座

    医療従事者の皆さん,日々のお仕事お疲れさまです。臨床の現場ではさまざまなことが起こり,気の休まる暇がない毎日のことと思います。早朝カンファレンスから始まり,外来,オペ,当直・夜勤,救急対応など,はたまた論文執筆・種々の文書作成などのデスクワークや自己研鑽のための勉強があり,自宅に帰ったら家事が待っていて…。疲れによる肩こりや痛みなどにお困りの方も多いかと思います。ここでは北里大学の医師の先生方に,疲れによる首や肩,腰のこり・痛み,全身の疲労感などを解消するためのストレッチとセルフマッサージをご紹介いただきます。各部位や全身の疲れをとるための運動を毎月紹介していきますので,ぜひ実践してみてください。

最近の記事

【第43回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-1

阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 UKAのWhy(Whom)& Howすなわち適応と手技については,問題は多々あるにせよ論議の対象にはなってきた。しかしWho,When,Where,つまりどんな術者が,何例TKAしてから,年間何例執刀できる病院でUKAをするべきなのか(することが許されるのか),という術者自身の適性の問題についてはほとんど語られることが無い。 この“術者側の適応”というべき問題はある意味“いってはいけない”領域でもある。理論的に詰めて

    • 第22回 また病気は繰り返される:野口英世と梅毒

      野口英世(1876〜1928年) 近年,梅毒感染者が急増している。コロナ禍が過ぎ,人の交流が増えたからなのか。日本全国軒並み増加,特に九州で多いとのこと。 この梅毒,コロンブスがカリブ海のサンサルバドル島(新大陸)から持ち込んだという説が有力である(1492年に新大陸発見)。1493年にはスペイン,1494年にはイタリアで流行し始めた。当時のヨーロッパでは敵対している国のせいでこの病気が広がったとして,イタリアやイギリスは「フランス病」,フランスは「ナポリ病」,ロシアは「

      • 【第42回】UKA再考(最高?):5W1Hで整理してみると? -2

        阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 私が考える“UKAの5W1H”を再度示しておく。 太字で示したWhy(Whom):利点や適応やHow:手術手技については学会やセミナーでもしばしば取り上げられ,関連書籍でも多くのページ数が費やされている。しかしその内容はと言えば,利点についてはともかく適応に関してはR. Scottらが提唱した古典的なものからの変遷に関する記載に終始している。 私はUKAの適応を語るうえではantero-medial OAの導入とい

        • 【第41回】UKA再考(最高?):5W1Hで整理してみると? -1

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 UKA(unicompartmental knee arthroplasty)は,私のようにほとんどTKAしかしない者にとっても“多少気になる”存在である。感覚的には“高性能”&“個性的”な嗜好品といえば近いだろう。車でいえばスポーツカー(ランボルギーニやフェラーリのようなスーパーカーではなく,ライトウエイトスポーツカー),ゴルフクラブなら高重心のブレード型アイアン(わからなければ読み飛ばしてもらいたい)といえばわかり

        【第43回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-1

        マガジン

        • 格谷義徳の人工膝関節 そうだったのか
          43本
        • 話したくなる 整形外科 人物・用語ものがたり
          22本
        • Progress 情報社会におけるセラピストのあり方
          21本
        • Behind The Scenes メジカル裏ばなし
          6本
        • からだリセット! 疲労回復ストレッチ&セルフマッサージ講座
          13本
        • Medical Illustration
          12本

        記事

          第21回 私の中には太陽が宿っている−戦争も政治も恋愛も全力投球:太陽王ルイ14世

          フランス王 ルイ14世(1638〜1715) フランスをテーマにした小説や漫画を見ていると17世紀のブルボン朝時代が多い。特にルイ14世の統治していた絶対王政の全盛期や,市民が立ち上がりフランス革命を起こすルイ16世の時代か。そういえば有名な『ベルサイユのバラ』はルイ15世の時代から革命前夜までの話だったよな。 ルイ14世はルイ13世と王妃アンヌ・ドートリッシュの息子であるが,結婚20数年後に初めて生まれた王子であった。ルイ13世はその後41歳という若さで崩御し,ルイ14

          第21回 私の中には太陽が宿っている−戦争も政治も恋愛も全力投球:太陽王ルイ14世

          スコーピングレビューを知っていますか? 多忙な臨床家でも取り組みやすい,比較的新しいレビュー論文です

          明日からエビデンスの構築を始めましょう! 複数の論文の研究結果をまとめて結論を出すレビュー論文としては,スコーピングレビューのほかにシステマティックレビューがすぐに思いつくでしょう。スコーピングレビューは,システマティックレビューと比べると迅速に,スクリーニング的に結論を出しますが,システマティックレビュー同様系統だった科学的手法で行われるため,信頼性が担保されています。 臨床での疑問を解決したいときはもちろん,特定の分野で利用できるエビデンスを探したいときや,何かの研究

          スコーピングレビューを知っていますか? 多忙な臨床家でも取り組みやすい,比較的新しいレビュー論文です

          【竹林 崇先生:インタビュー第4回】未来を担うセラピストへのメッセージ

          新人の頃は「目の前の患者さんをよくしたい」が一番の原動力 ——先生が新人の頃,どのようなことが勉強へのモチベーションになっていましたか。 竹林: 将来,教育職に就くためには勉強しないといけないという気持ちもほんの少しありましたが,それよりも基本的には「目の前の患者さんをよくしたい」という想いが強かったですね。 というよりも,臨床で無力だと感じるのが怖かった,それを回避したいという思いが強かったかもしれません。 臨床で患者さんと対峙した際に,どんな病態かもわからない,何をし

          【竹林 崇先生:インタビュー第4回】未来を担うセラピストへのメッセージ

          【竹林 崇先生:インタビュー第3回】自身の取り組みの根底にある信念

          遊び心にも宿る信念 ——第2回の最後で,『この軸足をはずしてしまうと,すべての活動が音を立てて崩れ去る気もしています』との発言がありましたが,なぜそのように思われるのでしょうか。 竹林: 『PT・OT・STのための臨床5年目までに知っておきたい予後予測の考えかた』(医学書院)が日本リハビリテーション医学会学術大会の書籍展示に並んでいるのを見た多くの先生には,アニメ風のカバーについて,とても注目をいただきました。 著名な先生にも学会シンポジウムの発表前の講師紹介で触れていた

          【竹林 崇先生:インタビュー第3回】自身の取り組みの根底にある信念

          【第40回】正直TKA,未来-6:手術手技習得のための実践的アドバイス-貴方のやり方間違っていませんか?-

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 前編で人間の本性,つまり “ヒトは欲張りなだけでなくすぐに飽きる” ということを常に意識しなければならないと述べた。と言ってもそれでだけではあまりも抽象的で,実際どうすればよいかよくわからない人(の方)が多いだろう。そこで今回はもっと具体的,実際的な方法を考えてみたい。 話はそれるが,本屋へ行って一番目につく場所に,数多く並べられている書物を観察してみよう。そうすると世の中で “何が難しいとされているのか” がよくわ

          【第40回】正直TKA,未来-6:手術手技習得のための実践的アドバイス-貴方のやり方間違っていませんか?-

          第20回 ガラスの天井をぶち破った近代日本最初の女性医師

          荻野吟子(1851〜1913) 2023年の世界経済フォーラムで発表されたジェンダーギャップ指数,日本は世界146カ国中125位であった。世界主要7カ国中,圧倒的な低さである(前年度は116位で,9ランクダウン)。ジェンダーギャップ指数は男女格差を「政治」,「経済」,「健康」,「教育」で評価したものである。雑多な分け方ではあるが,日本は何においても男性主導であり女性は参画できていない(していない)ということになる。まあ,医者も圧倒的に男性が多いし,女医の大学病院での昇進って

          第20回 ガラスの天井をぶち破った近代日本最初の女性医師

          【竹林 崇先生:インタビュー第2回】科学的思考とエビデンスがセラピストにもたらすもの

          エビデンスの構造と臨床におけるEBPを理解する ——科学的思考に関連して,研究によるエビデンスと臨床での介入との関係について,セラピストの間では話題になることも多いかと思いますが,先生はどのように考えていますか。 竹林: 両者の関係性を理解するには,まずエビデンスというものの構造を正しくとらえる必要があります。 エビデンスといえば,絶対的な正答を示すという印象を抱く方も多いですが,実際には限界があって,そこが曖昧な部分となっています。 ガイドラインなどで示されているあるエ

          【竹林 崇先生:インタビュー第2回】科学的思考とエビデンスがセラピストにもたらすもの

          【第39回】正直TKA,未来-5:ハードサイエンスとソフトサイエンス:“医学は理系,医療は文系“

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 現状で満足すべき機能が安定して得られているなら,機能向上に限界があることを踏まえたアプローチが必要であると思う。TKAの歴史においてそれが初めて起こったのが1980年代におけるCRの導入であり,その経緯や問題点については過去に別章で考察した(正直TKA-過去編)。近年は外科医の社会的利益や経済的利益が関わって問題が複雑になり,大きくなりつつある。まだ記憶に新しいMISの大流行もDVT予防狂騒曲も,本質的には強欲が生んだ

          【第39回】正直TKA,未来-5:ハードサイエンスとソフトサイエンス:“医学は理系,医療は文系“

          【竹林 崇先生:インタビュー第1回】勉強に役立つ情報収集の進め方・考え方

          試行錯誤しながら身に付けた論文の調べ方 ——先生ご自身は新人・若手のころ,どのように勉強されていたのでしょうか。 竹林: 大学病院に勤務していたので,附属図書館で論文を調べて勉強していました。最初はキーワード検索を使っていましたが,なかなか目的の論文に辿り着けなかったので,キーワード検索から検索方法を変えました。 変更した文献の調べ方は,その分野の第一人者といわれていて信頼性の高い海外の研究者の著書やシステマティックレビューをまず探して,その引用文献を孫引きするという方法

          【竹林 崇先生:インタビュー第1回】勉強に役立つ情報収集の進め方・考え方

          【第38回】正直TKA,未来-4:満足度と期待度に関する ”言ってはいけない” 真実

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 今回するのは “欲望には限りがないので,患者さんの満足度を常に満たそうとすることには無理があるのではないか?” という身も蓋もない話である。これは前に書いた “満足度を1%上げる方法” として患者さんが期待しすぎないように説明を工夫しておくということと関連するかもしれないが,実はもっと奥深い問題を含んでいるのでここで改めて考えてみたい。 人間の欲望には限りがない。これは決して悪いことではなく,これこそが人類のあらゆる

          【第38回】正直TKA,未来-4:満足度と期待度に関する ”言ってはいけない” 真実

          【第37回】2023年7月6日 ZOOM対談-4

          格谷義徳 先生(阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長) 堀内博志 先生(信州大学 リハビリテーション科 教授) 格谷: 最後に繰り返しになりますが,機種の問題を。 堀内: はい。 格谷: 先生は今,セメントレスなのはCRだけなんですね。 堀内: CRだけしか僕はやったことがないですね。 格谷: PSするときには? 堀内: セメントしてます。実は前大学にいたときは小林千益先生の方針でPSをやってたんですよ。小林先生にグループでやるのに先生だけCRなんかやると

          【第37回】2023年7月6日 ZOOM対談-4

          第19回 アヘンチンキの発見者,パラケルススことテオフラストゥス・ホーエンハイムの生涯

          Theophrastus Hohenheim(1493〜1541) パラケルスス(本名:テオフラストゥス・ホーエンハイム)はスイス出身の医者である。あまり馴染みがない名前と思われるが,ヒポクラテス全集で述べられている「四体液説」に異議を申し立てた人物である。もともと四体液説はインドからギリシャに渡った考え方といわれ,「血液,粘液,黄胆汁,黒胆汁」の体液のバランスが崩れることによって病気が発生すると考えられていた。ちなみに,黄胆汁は血液の泡状のもの,黒胆汁はうつ状態の人の排泄

          第19回 アヘンチンキの発見者,パラケルススことテオフラストゥス・ホーエンハイムの生涯