ヨーロッパ初の常備軍は銀行機能も持ち、軍事、経済、政治を掌握した。けど一夜にして崩壊。

中世の騎士が気になっていたので
佐藤賢一『テンプル騎士団』を読んでみたのだけど、
この騎士団が想像以上に巨大で強力だったので驚いた。

テンプル騎士団は十字軍がエルサレムを奪還した後、急増する巡礼者たちのために街道の警備をする組織として設立。その後、教皇のお墨付きも得て、免税権だけではなく徴税権や聖堂の建設権など強大な権力と膨大な寄付を得て、あっという間にヨーロッパ初の常備軍(異教徒との戦いのための)として巨大化した。

ヨーロッパ中に支部が作られ、そのネットワークを活用して銀行としての機能も持ち始め、あっという間に軍事、経済、政治、すべてを牛耳っていった組織。

しかし、1307年10月13日(金)総長以下138人の騎士がフランス国王に
派遣された兵に逮捕されてしまう。

騎士団が実はキリストを否定している、とか男色などの背徳的な
行為に耽った背教者だというタレコミがきっかけなのだけど、
テンプル騎士団はそもそもキリスト教(教皇管轄)の組織なので、一国王に潰されることはないとタカをくくっていたのかもしれない。
でもフランス王フィリップ4世は完全にこの巨大な騎士団を潰すつもりで
ガチで攻めてきている。当時のフランスは金欠で最大の債権者であるテンプル騎士団を潰して、借金をチャラにし、資産を没収しようってのが狙いと言われている。逮捕後は自白するまで拷問され、土壇場で教皇にも見捨てられ、組織はあっけなく壊滅。

元々キリストが処刑された日である13日の金曜日は吉日とされていたわけではないけれど、さらに一歩進んで不吉なことが起きると言われるようになったのはこの出来事が発端らしい。

他にも中世ヨーロッパの軍隊は封建制に基づく軍隊なのだけど、
日本ほど御恩と奉公の関係が強くないものだったなんて話も面白い。
40日間戦うという契約で40日経ったらさようならと帰ってしまったり、
違う相手に仕えるなんてことも普通で、かなりドライな
契約関係だったとのこと。
そもそも普段は地元の領主と住民なので戦いが起きないと動き出さない。
だからこそテンプル騎士団のような常備軍が重要だったってことでもある。

その後、テンプル騎士団は実は潰れていなかったという憶測や伝説を生み出し、フリーメーソンになったなんて説もあるらしいけど、洋の東西を問わず歴史のミステリーは人を駆り立てるってことよね。
義経がモンゴルに渡ってチンギス・ハンになった、みたいな。

なんて思ってたら、今まさにその話をテーマにしたマンガあるのね。
びっくり!

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