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2023振り返り -暮らしとデザイン-

12月31日。今年もこの日がやってきた。
もうやってきてしまったか、早いな、という焦りのような気持ちと、
ああ、今年も無事1年が終わるのかという安堵のような気持ちが入り混じる、不思議な気持ちの日。

大晦日に1年を振り返って記録を残す習慣も、気づけば10年目くらいになった。高校〜大学の頃は手帳に、大学院生になってからはこのnoteに。
毎年フリースタイルでやっていて、机の上でPC(あるいは手帳)を開いてみて、その場で感じたことをその時良いと思ったまとめ方で書き連ねている。
今年はカフェでコーヒーを飲みながら、ゆったりした気持ちで書き始めた。

そもそも今年はnoteを開くこと自体が久しぶりになってしまっていたので、今年はどんな記事書いたっけ、、と色々開きながら始めた。
その中で年始に書いたこの記事を見つけたので、今回はこの記事を見ながら振り返ってみようと思う。


”暮らし”を考え実践した2023年

「2023年は実家を出て、自分の力で『暮らし』をつくる。その中でさまざまな実験をして、その気づきをデザインに落とし込んでいきたい。暮らしと仕事が互いに作用しあう環境をつくりたい」
【自然形状木×MR】の修士論文を書き、【森に行きたくなるメディア】をローンチした2022年の末、そんなことを考えていた。

仕事の時間と日々の生活、両者をいい意味で切り分けて考えず、どちらでも「豊かな場所や体験をつくる」実験をしたい。一方での発見をもう一方に持ち込み、それを活かしてデザインをしてみたい、と。

  • 自分がその場所で過ごすことを細かく想像しながらもの・こと・時間を設計してみる

  • 外に出て散歩するなど、仕事の休憩時間をデザインしてみる

  • 料理で出た”ゴミ”をコンポストで熟成させその土を農家の方に送り、その土で育った野菜をもらってみる

  • ヒビを入れてしまった器を金継ぎしてみる

  • デスクワークで凝り固まった身体をピラティスで整えてみる

  • ランニングでリフレッシュしてみる

コンポストの土を送り、美味しい野菜をもらう
ヒビを入れてしまった鉢植えに金継ぎ

仕事でも日々の生活でも、積極的に”実験”したと思う。
でもそこで得た発見を何か具体的なアイデアやデザインに落とし込んだり、もう一方に作用させたりできたかというと、そうではなかったような気がする。
来年は、もう少し日常的に”相互作用”を起こしにいくことを意識していきたい。そして何かひとつでも、小さくてもいいので可視化したいと思う。

”森×デザイン”の集大成

山に足を運んで修士研究を書き上げた昨年。
2023年はその成果を外部に出す機会に非常に恵まれた。

一番(といいつつ2つなのだけど)印象に残ったのは、グッドデザイン・ニューホープ賞の入選と、トウキョウ建築コレクション(トウコレ)での受賞だった。

森林課題×建築情報学という、どの分野なのかよく分からない(そしてかなり荒削りな)デザインに対して一定の評価を頂いたことで、
きちんと形にすれば自分のアイデアにも価値があるかもしれないこと、そしてそのような異分野の掛け合わせのデザインに対する世間の反応が良くなりつつあることを感じた。

そのほかにも国際学会での発表国内学会でのパネリスト登壇など、自分の考えていることを外に発信する機会をたくさんもらった。
自分の言葉はまだまだ拙く、終わった後は反省することが山ほどあったけれど、確実に自分の今後に活きる貴重な経験となった。

そして今年は、登山や森歩きを通してゆったりと森全体を眺めることが多かった。一昨年のように山地残材を見つめたり、昨年のように一つの木を観察し考えたりするような関わり方ではなく、体験として「森」「自然」を感じた1年だった。

『呼吸の時間ですよ』企画 森のツアー
長野県 八方尾根での登山

山が持つ切迫した課題を解決することももちろん大切なのだけど、そういう側面だけでなく、今のそのままの状態の山や自然を面白がって楽しむことにも価値があるんだな、という気づきがあった。

より広い範囲・対象の”デザイン”へ

上で触れた修士研究に代表されるように、私は社会的な課題だったり、地球規模の課題を改善できるデザインをすることに強い関心を持っている。

今年は社会人としてデザインに携わり始めた年でもあった。
建築設計をしている中で、敷地そのものだけでなく、より広域の環境や社会的な課題、打破したい固定概念などから建築を考えようという姿勢は変わらず持っているけれど、
実際はクライアントとの考え方の違いや予算・時間の制約など多様な要素が絡み合っていて、大きいスケールで考えていたことをデザインに反映させるのは難しかった。

つくるもの自体は個別解を持っていても、もっと大きな共通の課題がベースとして内在するようなものをつくりたい。
そしてそれはきっと、建築という範囲に収まらない何かなのだと思う。
そのことを理解した上でファーストステップとして設計事務所に入ったのだけど、時々よりスケールの大きい課題に思いを馳せては、早く自分でもそのスケールでデザインできるようになりたいと焦ってしまうことがあった。

いつか絶対にやるぞという気持ちはそのままに、
もう少しだけグッと堪えて、まずは「建築のデザインができる」という一つの軸をしっかりつくることに集中したい。
来年は、資格を取る、竣工まで持っていくなど、仕事においても目に見える成果を何か一段階つくり切るのを目標にしたいと思う。

小さく始め、少しずつ積み上げる

今年は大学院で関わった森周りのデザインのまとめの年であり、より広い・より日常的なところでのデザインを考え始める年でもあった。

自分は大きいスケールで物事を考えてしまう癖があるけれど、実際何かを実装・実現できるのはもっともっと小さくて身近なところだということ、
そしていろんな人が関わり、一緒に考えてくれることで初めて実現に向かうことができるということを痛感した1年だった。

いつかいろんな分野の人と一緒に”とびきり面白いデザイン”をするという目標を忘れずに、来年も日常生活や社会に潜む課題を観察し続けたい。
そしてまずは今の自分にできることから少しずつ、小さな成果を積み上げることを実践していきたいと思う。

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