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大好きな葉子ちゃん

 中学が同じだった。当時、私にファンレターを書いてくれたらしい葉子ちゃんは、双子の片割れと結婚している。なので、彼女は私の義理姉。とにかく不思議な出会いで、最近では週一間隔で電話する仲。
 色々ある話の中でもとっておきの、とにかく面白すぎてどう説明したら良いか分からないが、このエピソードを紹介する。

 葉子ちゃんは大学病院の看護師。とても頑張り屋さんで、誰よりも患者や同僚たちに「幸せ」を振り撒いている。少し抜けている謂わゆる天然さん。その辺も私に似ているので、私達はすっかり馴染んでいる。
 ある時、オペ室から産婦人科の病棟に移り、そこで働くことになった。始めた当時同僚からは「オペ室上がり」の彼女をかなり厳しい目で見ていた。そんな時に彼女を救う神さまが現れる。かなりすごいことが起きた。
 厄介な夫婦の世話をする役目が与えられる。その夫婦は生まれたばかりの赤ちゃんに母乳をあげるのに手こずり、朝から晩まで大騒ぎしていた。その晩も夫婦は周りの新ママ達の迷惑になっていた。葉子ちゃんは早速その夫婦のところに行き、ご主人を廊下に引っ張り出し、注意し始めた。

「うるせー」と、男はへっちゃら。
と、その瞬間、プーっとオナラが、それも音のするオナラが出てしまった。
葉子ちゃんはその瞬間、何故こんな時に限ってプーが出てしまったのか真っ青になり、それでも頑張って笑いを堪えながら、
「ごめんなさい、わざとじゃなかったんですけど出ちゃって」願わくば、その場をスルーできると思ったら、
「てっめー、へーこえてる場合じゃねーよ。笑って謝りゃ良いってもんじゃねー」って返ってきた。

 そのまま数時間が過ぎた。その晩夜勤に係る看護師達みんなが葉子ちゃんを見守る。そしてなんと彼女は、その出来立てホヤホヤ親父から、度胸がある!と感心され、最後は葉子ちゃんの言い分を全部聞いてくれたらしい。

当然だが神並み貫禄葉子は同僚の心を鷲掴みにした。

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