見出し画像

#映画感想文184『アムステルダム』(2022)

映画『アムステルダム(原題:Amsterdam)』を映画館で観てきた。

監督はデビッド・O・ラッセル、主演はクリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントン。2022年製作、134分のアメリカ映画である。

この映画は正直に言うと、見方がわからなかった。

ただ、スクリーンにはずっと惹きつけられる。愛を知らぬままでいるバート(クリスチャン・ベール)のふるまいはコミカルで楽しい。ヴァレリー(マーゴット・ロビー)の目力と華やかさは他の追随を許さない。ハロルド(ジョン・デビッド・ワシントン)のインテリっぽい感じの中にある昏さが何とも魅力的で目が離せない。ただ、それって物語に夢中になっているというより、写真に心を奪われる、といった感じだ。

第一次世界大戦のフランスの戦地で出会った三人。バートとハロルドは同じ部隊で闘った戦友である。その部隊の隊長が何者かに暗殺されたところから、物語は始まる。その隊長の娘は父親は誰かに殺されたのではないかと疑念を抱き、医師であるバートに解剖を依頼する。その晩、娘は何者かに殺されてしまう。その娘を殺したという濡れ衣を着せられたバートとハロルドはその場を逃げ、真犯人を探すため奔走する。

(序盤で殺されてしまう、その娘が「テイラー・スウィフトによく似ているなあ」と思ったら、テイラー・スウィフトだった。)

ラミ・マレックとアニヤ・テイラー=ジョイも、強欲な金持ち夫婦として出演しており、主演級が脇役を楽しそうに演じている。豪華すぎるキャストで、まったく飽きなかった。

ちゃちゃっとまとめると、アメリカの富裕層は金を稼ぐためなら、ファシズムもナチズムもOK! ムッソリーニも、ヒトラーも大歓迎と考えていた。アメリカの民主主義も壊して、戦争で儲けようぜ! と大衆をコントロールすることを試みていた。その企みを法の下の平等を信じ、憲法を守るべきだと考える軍人(ロバート・デ・ニーロ)が食い止める、という話だった。もちろん、主人公三人も頑張るけれど、ロバート・デ・ニーロの演説シーンには迫力があった。

で、この映画は、トランプ政権下で企画され、脚本が書かれ、撮影されていたのだと思われる。観客をエンカレッジしたいという意図もあったのかもしれない。ただ、今のアメリカの政治状況や世界情勢には、リンクしていないな、という感じは否めない。寓話や風刺になっておらず、宙に浮いたおとぎ話である。

ただ、イルマ(ゾーイ・サルダナ)の台詞は今でも心に残っている。「あなたは愛を必要としたのか、選択したのか。必要な愛より、選択した愛のほうが価値があるのだ」と。さみしいから誰かと一緒にいるのは「必要」で、誰かを主体的に意志的に「選択」することが愛なのだという。

言っていることはわかるよ~。でも、主体的に選ぶってことは、自分自身で、その選択に責任を持つ、ということだ。その覚悟はあるのか。そこも問われているのだと思う。難しいよね~、とまあ、どんな映画だったのか、まだよくわからない(笑)


この記事が参加している募集

映画感想文

チップをいただけたら、さらに頑張れそうな気がします(笑)とはいえ、読んでいただけるだけで、ありがたいです。またのご来店をお待ちしております!