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東京日誌

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#東京

《東京日誌》透明人間でいられる、新宿

《東京日誌》透明人間でいられる、新宿

私の中では、夜が似合う街とそうでない街がある。

そして大体、夜の似合う街は自分が馴染む場所で(たとえば丸の内、浅草、横浜など)居心地の良い街でもある。

ただ夜が似合うだとか居心地が良いだとかに関係なく、自分の存在が無条件に許されていると感じた街もあった。

そのひとつが東口を出たら大遊戯場歌舞伎町があり、時に豪雨だと歌われる新宿だ。

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《東京日誌》帰りたくなる街、浅草

《東京日誌》帰りたくなる街、浅草

東京で生まれ東京で育った物書きmeiの、東京にまつわる日誌。

スカイツリーができたてのころ、私はどうしてもその存在を素直に受け入れられなかった。

近未来的なシュッとしたフォルム、シルバーに輝くカラー、浅草という下町との、ちぐはぐなバランス。

東京タワーの燃えるような赤色が好きだったし、通っていた高校の教室から見えていた東京タワーの方がずっと思い入れがあった。

それが今ではどうしたものか、ス

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《東京日誌》丸の内が等身大になったころ

《東京日誌》丸の内が等身大になったころ

東京で生まれ東京で育った物書きmeiの、東京にまつわる日誌。

東京は愛せど何もない、と「丸の内サディスティック」は歌う。

東京で生まれ育ってそろそろ30年になるわけだけれど、これはなかなかに、真実だなと思う。

いや、東京には何でも、あるにはあるのだ。

その膨大な情報から、自分が本当に求めるもの、必要なものが見えてこないほどには。

この前友人が「スーパーは情報量が多すぎて、何がほしいか分か

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《東京日誌》渋谷の早朝は青い?

《東京日誌》渋谷の早朝は青い?

東京で生まれ東京で育った物書きmeiの、東京にまつわる日誌。

「早朝の渋谷の景色って見たことあります?渋谷なんだけど、静かで、青いんすよ」と、漫画『ブルーピリオド』の主人公、矢口八虎は話す。

東京で暮らしているとたしかに渋谷で朝を迎える機会は何度かあり、その静けさと青さに触れることがある。

実際、渋谷のことはなかなか心から好きになれずにいるけれど、渋谷の早朝は間違いなく好きな瞬間のひとつだ。

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《東京日誌》コーヒー天国、奥渋

《東京日誌》コーヒー天国、奥渋

東京で生まれ東京で育った物書きmeiの、東京にまつわる日誌。

朝と午後にコーヒーを飲むのが、1日の習慣のひとつだ。

朝は自分で淹れることが多く、午後は家で飲むこともあれば近くのカフェやあえて遠くのカフェまで出向いて、ひと息つきに行くこともある。

今でこそコーヒーが習慣になったものの、好んで飲むようになったのは大学生のころからだったと思う。

スウェーデンには「フィーカ」という「コーヒーと甘い

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《東京日誌》20代のすべてを包む、吉祥寺《最終回》

《東京日誌》20代のすべてを包む、吉祥寺《最終回》

東京で生まれ東京で育った物書きmeiの、東京にまつわる日誌。

1年間に渡り、東京での思い出を11の場所と共に振り返ってきた。

元々1年間をひと区切りにまとめようと考えていたこの「東京日誌」は、12回目の今回をもって一度終わりにしようと思う。

1ヶ月毎に過去の思い出を振り返るのは想像以上に大変で、楽しく、東京という街はなんと愉快でおかしな場所なのだろう…と毎回思わずにはいられなかった。

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