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記事一覧
本の発送について。
眠る前になでる本、光に透ける魔法付き。ネットショップから7月末までにご注文いただいた方、今週中には発送させていただきます。お待たせして申し訳ございません。現在、ネットショップ、書店様から多数のご注文をいただいており、順番に発送中です。いましばらくお待ちくださいませ。
もう一時の充足で自分を殺すのはやめよう。
キツネは思った。いままで、相手に気を遣い、争いを避け、傷つくのを避け、恥をかくのを避けてきた。一見、心地よい言葉、関係。自分の一時の充足は保てた。ほんとに自分を大事にしていなかった。もう、一時の充足で自分を殺すのはやめよう。授かったこの魂のかたちを雨と陽射しの中で確かめよう。
正解って何?
正解ってなに?子ぐまが聞いた。クマが答えた。今日の憧れ。今日君が憧れるものが今日の正解。今日、なにかを目指す君が、今日の君。実際の君や世間の正解なんてどうでもいい。君は憧れ目指しながら誰かと出会う。相手もそうゆうひとなら、新しいふたりの正解が、この世界にきっと生まれる。
横浜港。
浪人時代に横浜の予備校に行っていた。予備校が終わると野毛の図書館で勉強した。休憩してよく屋上へ行き、横浜港を眺めた。将来があまりにも不確定でかつ自意識山盛りで吐き気がしそうだった。昨日結婚式でまたその風景を見た。いまだに横浜はあまり好きじゃない。でもきれいな夏の日だった。
クルマの中のはぐれた時間。
クマは、結婚式が終わるとコツコツとホテルの地下のクルマのところまで戻った。助手席にスーツの上着を置き、ネクタイをはずして置いた。クルマの中でしばらく今日は良かったな、と思った。そのことを伝えたいひとへのメールの文面を考えた。クマはクルマの中のはぐれたひとときが好きだった。
最速完売。草舟あんとす号さま。
なみなみならぬ好き、植物の本屋さん、草舟あんとす号さま。多めに納品させていただきましたが、3週間弱で完売とのご連絡。最速完売かもしれません。うれしい。゚(゚´Д`゚)゚。
さらに増量の追加オーダーまでいただきました。。゚(゚´Д`゚)゚。
草舟に乗って追加納品に伺います。
駅にて。
男は駅のホームのベンチにぐったりと座っていた。やるべきこともわかる。努力すべきこともわかる。あるがままでよいこともわかる。でもどうしてもそこから立ち上がれなかった。ふと目の前の看板に気づいた。こんな堂々となにを言ってるんだ、と思って可笑しくなった。男はベンチを離れた。
あなたにドレスを着てもらうために。
クマはハバナでうたをつくった。物悲しいメロディ。タイトルは「あなたにドレスを着てもらうために」。歌詞は、あなたにドレスを着てもらうために僕はハバナのホテルをとろう。水と緑のパティオを抜けて、バーに出かけて、ホテルの名前のカクテルを。老ピアニストはシボネイの後、あなたのドレスを褒めるだろう。
#ハバナ #havana
3
カフェの女の子に、本をつくる子を紹介してもらった。つくったわずかな本を持って最初の本屋さんを訪ねる前、クマは怖くて足が震えた。でも、その震える足は、いわゆる社会の枠組みや肩書きではなく自分の足だった。クマは、自分の言葉と写真と情感だけで、震えながら歩き出した。
2
クマはカフェでぽつぽつとうたわせてもらえるようになった。カフェの主人の女の子が言った。詩も良いから、本をつくった方が広まりやすいんじゃない?クマは、本なんてどうやってつくっていいか、売り込んでいいのか、まったくわからなかった。
1
クマは、いわゆる社会に認められるようなものを得てきた。ある時それを一度に失った。目の前が真っ暗になった。すると、ぽっと灯がともるように近所にカフェができた。クマは通っているうちに、カフェの主人の女の子に言った。うたをつくるのが好きなんだ。 女の子が言った。聞いてみたい。
ただ雲を見ながら旅をする。
無口な男がただ雲を見ながら旅をした。携帯は持たず写真も撮らなかった。ただ濁流に身を投げるように、めくるめく様々な雲に身を投げながら旅をした。やがて男は美しい不穏な雲になった。ある日、無口な女の子がバスから雲を眺めていた。何も持たずに、少し旅に出たいな、と思った。
いつか。
クマはパリが好きでよく出かけた。いつか好きなひと来たいなと思った。オデオンのアパート。着いたらフランプリというスーパーに花を買いにいく。朝はマルシェでシャイな女の子からバゲットを買ってギリシャ人の屋台でタラモのディプを買う。部屋でラジオをつける。いつか好きなひとと来たいなと思う。