見出し画像

非母語の先生を育てるということ

こんにちは!
 12月になりましたが、ここブエノスアイレスは夏の盛りに向かい、暑い日が続いています。残念ながらあまりクリスマスムードは盛り上がりません。
そんな中、私の重要な任務の一つである「現地の先生を育成する」プロジェクトが始まりました。
 ここアルゼンチンで10年以上の歴史がある独自の「日本語教師養成講座」です。開講した頃は、日系の子どもたちの日本語力の低下が問題になっていて、理由を考えたところ、そもそも先生たちの日本語力が低いことに一因があるのでは?という結論に達したそうです。まずは教える体制をしっかり作ろうという思いから立ち上がった当講座は、1年半かけて300時間以上学ぶ本格的なものです。
 コロナ禍を経てオンラインと対面、加えて通信(課題提出)のコンビネーションになった結果、広大なアルゼンチン全土から希望者が集まるようになりました。
 2日かけて希望者への面接が行われました。私にとっては、全てが初めての経験ですが、とにかく希望者のほとんどが、いわゆる非日系の欧州系アルゼンチン人であることに衝撃を受けました。20代前半の若者も多く、大半が現在大学で学んでいる人たちです。(こちらでは、働きながら大学に行って単位を取得するのが普通のスタイル。だいたい8年ぐらいかけて卒業するそうです)
 養成講座の受講を希望する理由を聞くと、以下のように答えた若者が複数いたのが印象的でした。
「日本語を学ぶ経験はとてもユニークで面白い。この楽しい経験をぜひ他の人とも共有したいと思ったので、日本語の教え方を学びたいと思いました」
 私はこれまで日本国内だけで活動してきたため、先生は日本母語話者、学習者は非母語話者というのが当たり前の世界でした。しかしここでは、先生も学習者も非母語話者がほとんどで、学習者目線で外国語学習を楽しみたいと考えていることがわかりました。
 私はこの養成講座での講師を担当する予定です。受講者は私にとって、日本語の学習者でありかつ将来の教え手となる大切な人材です。良い信頼関係を築き、お互いにとって「楽しい経験だった」と言えるように過ごしていきたいと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?