見出し画像

実際に「直葬」にかかる費用・遺体安置のオプションは必要か。

お葬式を極限までシンプルにすると「直葬」になる。まあ、これは儀式としての葬式はしないということなんだけど。私も、私の家族も葬式なら「直葬」でいいねということで同意はしている。

ただ、実際に直葬っていくらでできるんだい?というのは調べてみないと分からない。以前に読んだ「一円も使わない終活 がん告知から直葬」の中で、かなり詳しく扱われていたので紹介してみたい。私もこの本を頼りに、自分で葬儀会社から見積もりを取り寄せたりしながら調べてみた。

直葬の指南書

「一円も使わない終活」の著者は、夫婦揃って「直葬」で行くと決めていたので、非常に割り切りがよく物事を「淡々」と進めていく。もとより、親族の葬儀で喪主をしたときに「ぼったくり」とまでは行かなくても、不本意に葬式代金がかさんでしまう体験をしたからだ。一度、痛い目を見ると、次はしっかり計画しようと思うようになる。

「悼む心さえあれば、それで十分だ、と私は思う。当然だが、葬式をしなければ、葬式代はほとんどかからない。外観は質素だが、心をこめて送り出すつもりだ。夫は直葬と決めていた。」(P86)

「葬儀社にとっては、一回きりの商売。だから、加算料金狙いで、いろいろなオプションサービスを提案してくる。断るなら毅然と「結構です」と言わないと「おいしい一見の上客」になってしまう。」(P87)

一円も使わない終活 (日本語)  飛鳥新潮 村上夏樹 (著)

この本の中では、入院費・治療費と共に、直葬の費用や詳細に関しては、ひとつの章で詳しく扱っている部分で力が入っている。貴重な生レポートになっている。私も調べてはいたものの、見落としていることが色々あり、実際の手順の中で参考になる部分が多々あった。

直葬の相場と最低料金

結論から言えば、この夫婦は9万円で直葬をすべて完結させている。すごい安い。10万円以内か。ただ、注意点もある。それはオプションで価格が跳ね上がることだ。

「自宅にもっとも近いところに問い合わせてみる。13万円+消費税=14万400円、さらに、火葬代2万円(芦屋市)がオンされて合計16万400円。ここは安置所を持っていないので、「必要ならお寺に頼んであげるが、1泊1万5000円かかる」と言われた。・・・遺体を運ぶ搬送費は、1回めだけが直葬費に含まれており、2回、3回となると、別料金が加算されるところが多い。たとえば「病院→自宅」で1回と数え、翌日の「自宅→火葬場」は2回めだから別途料金となる。「直葬5万円」とうたっていても、どんどんプラスされていくから、よく先方の料金体系を聞く必要がある。」(P89)

一円も使わない終活 (日本語)  飛鳥新潮 村上夏樹 (著)

しっかり価格調査をする著者。複数の葬儀社に電話して確認をして、最低価格で行うための努力を惜しんでいない。特に大事なのはネットで検索した業者だけではなく、電話でも複数の業者に確認をすることだ。その結果、申込者の住所で火葬場の費用が変化することや、搬送費を抑える工夫を発見する。

直葬の場合は、葬儀社の儲け部分は、ほとんど無いに等しい。だから、基本は「オプション」で利益を確保しようとする。

私が、以前調べた「格安葬儀5万円!」などの広告も、やはり搬送費が抜けていた。自分で病院から搬送しようと思えばできるわけですが、多くの場合は葬儀社を頼むはずだよね。まさか搬送費は別途請求されるとは思わない。その格安葬儀社は搬送費3万円だった。もし、これが病院から自宅まで搬送費3万円、自宅から火葬場までの搬送費3万円という計算だと、トータルで6万円も加算されてしまう計算となる。

また、火葬場使用料2~3万もオプション料金となっていた。すでに10万近く加算されるので、トータルは15万に近くなる。最初から15万円のパックを頼んでおくのと、基本料金5万円に色々加算されて気づくと15万円では印象が全然違うよ。

こういう業者だと、納棺や、遺体の処理などもちゃんと、費用の中でやってくれるのか?心配になってしまう。かなり費用を抑えるために、奮闘しても10万(著者は9万)、丸投げしてまかせてしまえるなら15万というところだろう。直葬の相場を知ることができれば、不必要に嫌な思いをすることがなくなるだろう。

遺体安置のオプション

遺体安置のオプションに関しては、私も気になって調べていた。直葬は本当にシンプルなプランなので、著者が言うように、病院から遺体を安置場所に保管するが、面会はできないというところも少なく無い。面会というのも変だけど。遠くから来た親戚が駆けつけても、もう、棺に入れてしまい、保管場所は公開されていないので、会えないということがあるのだ。

「業者の安置所には有料と無料がある。また、業者が一時的に借りた安置所というのもある。さらに遺体と面会できない安置所もあるから、それらの点を確認しておかねばならない。私が依頼した業者は、安置書をもっており、「棺に小窓はないが、釘を打っていないから安置所でもご対面できます」といった。ただ、プレハブの冷凍小屋のようなところにポ~ンと安置されるのか、という不安はあった。
遺体を自宅や安置所におけない場合は、業者の斡旋するお寺、斎場などを借りることになるが、搬送費と賃料が発生する。このように、直葬の料金は「トータルでいくらになるか」をあらかじめ計算して、業者の選択をしなければならない。」(P92)

「遺体を引き取った後、次に遺体と会うのが火葬場、という業者もある。・・・プレハブ小屋に置いた安物の冷蔵庫に放り込まれるかもしれない、と想像していたが、霊安設備、葬儀ホール完備の葬儀社だった。・・・「いつでもお別れができますよ。電話ください。」帰り際おじさんが言った。明日、火葬場に行くまで、いつでも安置所に来ていい、という意味だ。」(P104)

一円も使わない終活 (日本語)  飛鳥新潮 村上夏樹 (著)

自宅に安置だと、この問題は生じないのだけれど、アパートやマンション、住宅地の場合は、棺を搬送する難しさを考えると、自宅安置を選択しない人も多いはず。家に人が押しかけて大変なことになってしまうというリスクもある。社会的接点が多い人の場合には注意が必要だ。

一般の葬儀プランならば、当然斎場に安置だが、直葬の場合は、安置施設はあっても、付添安置がが出来ない場合がある。私が見積もりをとった、格安葬儀もそうだった。付添安置のためには、斎場を別途オプションで借りる必要があり、そうなると一泊5万円だった。けっこうかかるね。

直葬を選択する際には、こうした細かな点も選択しておかねばならないのがわかった。こういう知識を蓄えておいたので、祖母の葬式の時は地元のホールを貸してくれる小さな葬儀屋さんで、直葬なんだけど安置もしてもらうプランを選んだ。やっぱ15万くらいだった。だいたい、そんなところで落ち着くのかもしれないね。


大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq