芸術の神様

日本で芸事の神様と言えば、日本神話に出てくる女神アメノウズメノミコトだが、今回話したいのはギリシャの神々のほうだ。古代ギリシャも日本と同じく多神教を崇拝し、絶対的な唯一神を想定していない。芸術には芸術の神様がいて、彼女たちは「ムサ」「ムーサ」と呼ばれる、9柱の神々である。ギリシャの人々は、彼女たちを崇拝した場所に図書館を作ったり、詩人の像を立てたりして、そこを文化的な施設にした。これを「ムセイオン」と言う。英語の「ミュージアム」の由来である。

表記を見てみるとこんな感じ。
ギリシャ語→Μουσείον(ムセイオン)
ドイツ語 →Museum(ムゼーウム)
スペイン語→Museo (ムセオ)
フランス語→musée(ミュゼ)
英語   →museum(ミュージアム)

日本で生まれ育った自分にとって、博物館だとか図書館だとか、ああいうものは「なんかいい施設」くらいの認識しかなかったのだが、神々を中心に人々が集まった場所だったと知って納得した。文化というのは、何かそういうもの──人を超えたものを中心に、人々が集まって、日々の仕事ではないような何かをすること──なんじゃないだろうか。そんなことを考えている。

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。