見出し画像

意味を目で見る

ロードとストリートはどう違うのか。今日はこんな本を読んでる。

これによると「road=町から町をつなぐ道」「street=両側に店が並ぶ賑やかな道」らしい。つまり「カントリーロード」というのは、故郷の町と今いる町を結んでいる道だったわけだ。へえ……。

ちなみにニューヨークあたりでは、アヴェニュー(avenue)=南北の通り、ストリート(street)=東西の通りを意味するらしい。プロフィールの住所、何気なく文字通り(St.Moji)にしていたけど、東西に長いところに住んでたんだな。知らなかった。

写真と言葉で似ている単語を解説してくれる本で、写真がいちいちシュールで美しい。「ことばを撮影する」というコンセプトそのものが面白いので、姉妹編も読んでみたくなる。

これです。フクロウとミミズクも確かに似ているね……。違いはやっぱり、耳みたいな部分の有無でしょうか。

冒頭の本に戻ると、英語を巡るコラムも充実している。興味深いのが「アメリカらしいことわざ」だ。「時は金なり(Time is money.)」、「剣で死ぬより大食で死ぬ者のほうが多い(Gluttony kills more than the sword.)」……うん、アメリカを感じる。確かに肥満で死ぬ人のほうが、戦場に倒れるより数が多いでしょう。

でもこれは「異常事態で死ぬより、日常的な積み重ねの結果、死ぬ人のほうが多い」とも読める。食べ過ぎだけでなく、睡眠不足とか続くストレスとか、いろんなことで。そうなると「過労死」という言葉を生んだ日本、他人事ではない。海外でも一部では「カローシ」で日本語のまま通じるらしいし……。

意外だったのが「お尻」を意味する言葉が「ヒップ」ではないこと。hipは腰骨が盛り上がった部分を指すらしい。和製英語の「ヒップ」は、英語では「バタックス(buttocks)」なのだとか。盛り上がってるところが2つあるので、複数形のsがついてバタックス。知りませんでした。そしてこれの解説写真は、裸でお馴染みのキューピーちゃんだった。可愛い。

言葉を言葉で説明するのは、どこかで限界がある。だから「目で意味を見る」行為は新鮮でわかりやすくて、楽しい。どんなに言葉で「海ってね、広くて青くて深いんだよ」と聞いたところで、目の前に広がる海のインパクトは超えられない。百聞は一見に如かずってやつだ。

コロナ下で、その「目で見て体験する」のハードルが高くなってるけど、非常事態宣言ももうすぐ解除になる。コロナ前に戻ってくれとは言わない。だけど「生で体験する」場面は、どうにか早く戻って欲しい。

この記事が参加している募集

推薦図書

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。