先日、こんなような文言があった。

This means we can save 1,400 cubic meters of water.
当社はこうして1,400立法cmの水を節約できます。

 あー、単位が間違ってるよね。cm(センチメートル)じゃなくてm(メートル)でしょ、というのは、翻訳者なら見た瞬間気づくと思う。
 そして、この翻訳にはもうひとつ間違いがある。こちらは校正者なら気付いたと思うが、「立法」ではなく「立方」である。
 つまり、これだけの短い文に、「翻訳上のミス(誤訳)」と「日本語変換上のミス」が両方入っている。
 長い文章のあいだにこの1文が入っていた場合、どちらも確実に拾えるだろうか。わたしには自信がない。というのは、実際にこれと似た文のとき、「一度目のチェック」で「立法」を見落としたからである。
 二回目に「立方だ!」と気付いた瞬間に肝が冷えた。まさに
こういうのが、チェックで見落としやすい典型例である。どちらかのミスを見つけた瞬間に、「ああ、ミスを拾えた」と安心してしまい、もうひとつのミスをスルーしてしまう。人間心理の恐ろしさ。ほっとした瞬間に周りが見えなくなってしまうのである。
 実際に、どちらかひとつ間違っているだけなら、校正者ならまず落とさないだろう。ふたつ間違っており、しかもそれがひとつの語に集中している。これがまさに落とし穴。
 わたしも何度これにはまってきたことだろう。クリスマスイブの日に思い出したので書いておく。いやー怖いね。どんなホラーよりもおそろしい。

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