大人の学びの最終章、「大学院」について

 こんにちは。技術職、兼、社会人大学院生のmarmyです。
 先日、大学院について話す機会を頂いたので、その場で話した内容の一部を、アウトプットの形としてまとめました。

■大学院進学率ってどのくらい?

 ここでは全分野平均しての比率の話をします。
 数年前の統計になりますが、18歳から24歳の人口は約120万人です。
 同年齢の人口と比較して、大学進学率は50%(ここでは18歳の人口と比較しています)。この数字は知っている人も多いと思います。

 大学卒業程度の学力を有すると認められた人(大卒の資格であったり、その他の業績で認められることもあります)が、大学院へ進学することが可能です。
 修士課程(Master(マスター)、博士課程前期として設定している大学院もあります)は、正規の課程は2年、通信制だと3年、最大4年までの課程になります。22歳の人口と比較すると、修士課程への現役進学率は6%になります。
 一方で、理工系学部所属の大学生の修士課程進学率は30~40%になります。これは技術系の職種で修士号以上が必須な職種もあるということが影響していると思います。

 修士課程の後に続く博士課程(Doctor(ドクター))は、正規の課程は3年、最大6年までの課程になります。大学卒からストレートに修士課程を修了した場合と仮定して、24歳の人口と比較すると、博士課程の現役進学率はたったの1%です。

■社会人にターゲットにしている大学院の一例

 大学院では、現役学生以外にも、社会人から進学する人もいて、博士課程では全分野平均では、現役学生と同数程度の割合になります。
 これは少子高齢化で18歳人口が減り続ける中での「キャリア教育」「リカレント教育」という政策の影響もあると思います。

 社会人をターゲットにした、会計やビジネス分野に対して設置されている「専門職大学院」もあります。
・文部科学省ホームページ:専門職大学院一覧(令和2年度5月時点)https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senmonshoku/000009181.html
 専門職大学院や通常の大学院でも、社会人枠の入学者選抜(入試)や、夜間や休日の講義、都市部でのサテライトキャンパスの設定、課程を短縮して修了できるなどの配慮がある大学もあります。

以下にそのごく一例を示します。
・放送大学
https://www.ouj.ac.jp/hp/gakuin/flow.html

https://www.ouj.ac.jp/hp/doctor/type.html

https://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/2020/hakase/tokutei/index.html

・金沢工業大学虎ノ門大学院
https://www.kanazawa-it.ac.jp/tokyo/

・筑波大学東京キャンパス社会人大学(夜間)
http://www.office.otsuka.tsukuba.ac.jp/
・政策研究大学院大学
https://www.grips.ac.jp/jp/admissions/faqs/

■大学院進学を考えるときに知っておきたいこと

 私は大学と大学院の両方の経験から、大学院は一方通行で教えてもらう場所ではなくて、「世界中の誰も答えを知らない問題を作って、解く」ところと考えています。
 研究を始める前に、「世界中の誰も知らない」ことかどうかを、分野の教科書や論文を読んで、既にどこまでが知られていることなのか確認することが大事と思います。
 「世界中の誰も知らない」と聞くと、相当難しいことかと思う人もいるかもしれませんが、多くの場合は、既存の理論を新たな事例に適用してみたり、少しパラメータを変えてみたりなど、ほんの少しの差でも新たな知見として扱っています。その差が本当に新しいのか、意義ある研究なのかは研究室内や学会などでも議論されて研究成果にまとまっていくことになると思います。

 一旦入学した後は、在籍可能な年限は決まっているので、修了までのロードマップを引くのが重要だと思います。
 修得単位数以外の修了要件(論文何本、学会発表何回など)は大学や学部で大きく違うので注意して下さい。最低限、自分の進む大学院のシラバスは確認した方がよいと思います。詳細な修了要件を一般公開していない大学院もありますので、進学先の教授や大学事務に確認しておいた方が良いと思います。

 特に本業を続けたまま入学する社会人の場合は、限られた時間で、修了要件となる成果をどう生み出すか、入学前に想定できる範囲で長期計画を書き出しておくのが大事だと思います。そして、その計画を大学院でお世話になる先生にチェックしてもらって意識合わせしておくのも大事だと思います。その計画表が、きちんと達成できる現実的な計画になっているか、大学院入試の面接で聞かれることもあると思います。


■参考文献

・文部科学省ホームページ:中央教育審議会大学分科会大学院部会(第81回)(2017年5月30日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/attach/1387/773.htm
 大学院進学率のほか、9ページに専門職大学院についての記載がありま す。以下は、今回参考にした資料5への直リンクです。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2017/07/24/1386653_05.pdf

 情報処理学会では、所属学会員(国内外の研究職の方以外にも一般企業所属の方も含む)から寄せられた「博士課程進学のメリット・デメリット」をまとめています。
・一般社団法人情報処理学会 学会誌「情報処理」
 2017年5月号(Vol.58 No.5, 通算626号) *2020年8月時点でバックナンバーは電子媒体のみ

https://www.ipsj.or.jp/magazine/magazine.html
https://www.fujisan.co.jp/product/1281700895/
 博士号取得者の寄稿になりますので、やや博士課程進学を薦める方法になっていることは意識した上で読んでほしいです。

 大学院に限らず、軽めの社会人の学びの場を知る本としては、日経WOMAN2018年10月号が役立ちました。*2020年8月時点でバックナンバーは電子媒体のみ

https://shop.nikkeibp.co.jp/front/commodity/0000/WO0382/


このnoteでは社会人大学院生としての学びと研究、そして本業である技術職の日々を通じてmarmyが得た、科学と学びに特化した記事を綴っていきます。 サポート頂いた気持ちは、marmyの学びによる更なる視点確保のための学びに使わせていただきます。