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#2. 映画文学とは?

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ケン・バーンズはアカデミー賞2回ノミネート、エミー賞受賞の現代アメリカを代表するドキュメンタリー監督です。

みなさん、映画制作で最も重要なものとは何でしょう?

実は映画制作の99.9%はコミュニケーションによって成り立っています

映画文学という言葉を聞くと、ほとんどの人が脚本、その中でもセリフをイメージされるのではないでしょうか?

しかし、映画文学とは映像化前に書かれる、ほぼ全ての文章資料の事を指します。

若い映画監督が自分のアイディアを映像化するためには如何にそのアイディアが素晴らしいものであるかを多くの人に伝える必要があります。

創意工夫でローコストで実現できるのがこの映画文学となります。そして、これら映画文学は他人との共同作業なしでは成立しない映画制作において重要なコミュニケーション手段となるのです。

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こちらに上がっている文章資料は全て映画文学です。

映画文学というのですから読み物として面白いものとして成立していなければなりません。

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logline
Synopsis
Treatment /トリートメント
脚本 (今回は言及しません)
director's statement / 監督声明 (今回は言及しません)

ログライン、シノピシス、トリートメント。

これらは似て非なるものです。初心者の多くがこれらの文章資料の違いを明確に出来ずただ単に長さの違いだと思い込みミスをしてしまいます。

今回は映画制作の最初の1行であるログラインに関して詳しく説明していきます。

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こう書くと多くの人がこのログラインとタグラインを勘違いしてしまいます。

TAGLINE と LOGLINEの違い

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では具体例で違いを見てみましょう。

こちらは2012年タランティーノ監督作品『ジャンゴ 繋がれざる者』です。

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こちらの矢印の場所

” Life, liberty and the pursuit of vengeance”
"人生、自由、そして復讐の追求"

が、タグラインとなります。映画の内容より、キャッチーな言葉の羅列になています。

それと比べてログラインはこうなります。

"With the help of a German bounty hunter, a freed slave sets out to rescue his wife from a brutal Mississippi plantation owner."
"ドイツ人賞金稼ぎの助けを借りて、
解放された奴隷がミシシッピの残忍な農園主から妻を救い出すために出発する"

これで一目瞭然ではないでしょうか?

言葉の羅列であるタグラインと違い、具体性をもって映画自体が何についての物語かがはっきり分かります。

タグラインは主に映画完成後、配給の段階で宣伝担当者が作ることが多く、国ごとに変わることも多々あります。

それに比べてログラインは作者である監督または脚本家が書くことがほとんどです。

短い→長い

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一般的には文章資料は短いものから長いものの順番に書いていくのが理想とされていますが、実際には作家によってバラバラです。シノピシス又はトリートメントから書き始める人が多いようです。というのも、ログラインは物語がきちんと作者の中で成熟した上で、多くの選択肢の中から一言一句選び抜き厳選された言葉による1、2行にしなければなりません。

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ログラインはあなたの映画を評価する人たちが最初に触れる大事な1行です。だからこそ”コミュニケーション”を念頭に置きながらあなたの最高のアイディアを伝えるためのログライン、並びに映画文学を完成させていく必要があるのです。

次回から本格的なログラインの書き方を説明いたします。

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