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葉音

小説の中での世界で分散される誇大妄想、壮年期の怠惰な悲しみや、屠殺場に運ばれる豚たち、苛まれるだけの答えの中で、比率なんかを謳う君たち、最大の単位に、名義変更を繰り返す各地の悪意、偶像に解けていく思いが、深層心理で肥大化する哀れみも、即座に誠意を失い、漂う意識を捏造し続ける荘厳な終わり、提示される苦しみや憎しみを踏み潰し、屈折した余韻や、印象的な悔悟、裁かれるだけの動機を撒き散らす人形たち、更なる苦しみを生み出すための愛が、その愛が際限なく敷衍して、言葉を頼りに飛び交う鳥たちや、厭世観を頼りに加速していく陰鬱な狂騒、偶像を食べ尽くす荒廃したチシャ猫の口、運命を撫でる鋭い爪、甘美な結末にふれる優しい聖母の手、寂れた形式に住まう孤児たち、汚れた真理を羽化させるための陽光、タイダイの毛布にくるまり、不死鳥が飛び交う道理に迫る論理、狭小な人々の脊髄を抜き取る魔女たち、心音を加速させる恋心を検索するための差異、淫靡な結末にそぐう価値などを加工する職人たち、桃源郷へと旅立つ私たちの位置情報を匿うために、ひたすらに鈍行列車で逃げ惑い、慢性的な憎しみが生み出す尺度に背いて、自分だけの感覚を頼りに、蝕むことごとくの退屈を処理して、散々な現状を打ち砕くための、答えだけを選別していく。

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