見出し画像

キャベツでおもいだす

キャベツが好きです。
ここでも何度かその私の思いは述べさせていただきました。

ご存じのように秋ごろに種をまきこの時期に収穫する春キャベツ、夏に種をまき冬期に一番の食べごろを迎える冬キャベツ、大きく分けてこの二種類と、その中間くらいに高原キャベツがあります。

南北に長い日本のどこかでいつもキャベツの収穫が出来るので年中スーパーにキャベツは並んでいるのです。

今は春キャベツ、私はサッと湯がいて温サラダっぽく食べるのが好きです。
昨晩はマカロニと一緒にしました。
軽く湯にくぐらせたキャベツを適当に切り、柔らかめの(私の好みです)マカロニと混ぜ合わせて味付けするだけです。
今回は塩昆布と合わせてみました。(くらこんの塩昆布を少しだけ刻みました。)
マヨネーズは少ししか入れていませんが塩昆布とマヨネーズは相性がいいようです。
塩昆布の塩加減だけで物足らなければ少し塩を足します。
あとはオリーブオイルですね。

10年も前になります。
父の危篤状態が続き、介護休職して愛知の実家に帰っていた時です。
日中は父の付き添いと、母の仮入所の老人ホームへの往復、週に一度兄貴の入院していた静岡の神経医療センターまで洗濯その他の雑用で通っていました。
夜間は先に迫り来ることが分かっていた両親の置き土産である断捨離の代行をつとめました。
有期限の介護休職中に何もかも片付けようと思っていたのです。
でも、途中で精魂尽き果てました。
夜は一人暗く酒を飲み出したんですね。
父の残していたウイスキーを端から飲み干していきました。

そんな時です。
私もよく知っているマキノさんがやって来ました。
マキノさんはもと父の部下、20年も前に会社のイランへの出張命令を拒否して父の下、会社を離れた人です。
父が現役時代、当時も今も取得の困難な電気管理の資格をマキノさん達に取得させたそうです。
会社の繁栄という名目で、父は個人の将来のためと言っていましたが、役所のOB、電力会社、に手を回して資格を無理やり取ってしまったそうです。
マキノさんはそれで今、自営でメシが食えると言っていました。

マキノさんは「ひでき君、親方どうなんだ」といつもいきなりやって来ました。
親方、、そんな職場だったようです。時代もそんな時代でした。
マキノさんたちは父にスパナでヘルメットの上から殴られたこともあると言ってました。
しかし、電気工事の仕事は一瞬の気のゆるみが死につながります。
だから父も真剣だったんでしょう。それでもスパナでとは、、、
時々恐ろしい父でした。

その時マキノさんはキャベツを3玉持ってきてくれたのです。
心配してやって来たマキノさんにずいぶん元気をつけてもらいました。
それから食わねばならぬと思いキャベツを刻みました。
キャベツの千切りが得意なのはその時に熱中していたからです。
生で、炒め、煮て、みそ汁にしてキャベツを食べました。

私にとっては、『たかがキャベツ、されどキャベツ』なのです。
千切りしている間は何も考えていません。
熱中しないと手を切ってしまいます。
いつも考え事に詰まった時、悩む時にキャベツに手をのばしているかも知れません。

剣術家が愛刀の手入れをしながら心を無にするように、私はスーパーで100円、200円のキャベツを相手に精神修養に励んでいるのです。
ある意味キャベツは私の師匠かも知れませんね。


愛知県田原市のキャベツの収穫風景、冬キャベツです


もっと太平洋岸に近づくと見渡す限りのキャベツ畑が広がります

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?