初めての川端「雪国」を読んで
「つらいわ。ねえ、あんたもう東京へ帰んなさい。つらいわ」
いつのまにか私自身も登場人物の駒子に翻弄されていることに気が付きました。
日本文学のド定番にして傑作、「雪国」。
会話がとてもリアルでつい感情移入してしまいます。
特に芸者の駒子さんの情熱的な言葉遣いには心を奪われるばかり。
妻子持ちでありながら温泉場に通う主人公島村と、そこの芸者である駒子のかけひきの行く末が気になって特に物語後半はページをめくる手が止まりませんでした。
私が駒子に惹かれる理由は、きっと彼女の芯の強さや自由さに羨ましさを感じるからなんだろうな。
【あらすじ】
親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。
許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、島村はゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない――。
冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、哀しくも美しく描く。
ノーベル賞作家の美質が、完全な開花を見せた不朽の名作。
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