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厚かましいわたしは、今日もぬちゃっと生きる。


「婚姻状態の女性は、無能力者だからです!」

これは、今週から始まった朝ドラ「虎と翼」の2話
の最後に出てきた言葉。

ドラマの舞台は戦前。
冒頭の言葉は、法律を学ぶ男子学生が発言したものだ。


これを受けて、
「戦後大きく民法が改正されて、今の法律になっている」っと、ナレーションの尾野真千子は言う。



この時代、
女性の権利は家の中ではある程度認められていても、
外では「無」に近い、もしくは誰かの許可を得ないといけないことを今日3話を見て初めて知った。


わたしは昨日、2話が終わった後冒頭の発言によりイラッときた。

なんて理不尽だ!
一生懸命生きてるだけなのに。
権利がないから物申せない?
人格否定...?


おやおや。

こうやって俯瞰すると、わたしはかなりイラついているが、
とある出来事と重なったからというのが大きい。




「あんた、厚かましい人だね」

先月、初めて会う人にこう言われた。


そもそも、わたしが悪かった。

ことの発端は、出先で自転車の空気がパンクしたこと。

わたしは、自転車ユーザー4年目だが、
空気入れを持っていない。

というのも、家の目の前に市が運営する自転車置き場があり、そこには電動空気入れと手押し空気入れがある。


電動空気入れは駐輪場を使用している人だけが使えて、手押しは誰でも使える。


わたしはマンションの駐輪場に停めているので、
そこでは手押ししか使えない民だ。


自転車のパンクに気づいたのが、ちょうど家を出てすぐだった。

回る場所は3箇所あり、1時間半後にクライアントとのミーティングを控えている状態。

「うそでしょ?」っとややテンパったが、
今日だけは事情も事情なので、
電動空気入れを使うことにした。


ただし、係の人Aに事情をお伝えして。


「パンクではありませんように」と願いながら、
前輪の空気を入れ終わり、後輪にホースをうつしたその時。

係の人B(60代ぐらいの男性)が
「あんた、ここの駐輪場使ってない人やね」とトゲのある口調でボソッと言ってきた。

駐輪場を使っている人は、専用のシールを自転車に貼るシステム。
そのため、わたしはシールを貼っていない。



わたし:ごめんなさい。係の人Aに事情を説明して、今日だけ使わせてもらえる許可を得ました。

係B:事情はどうあれ、ルールは守ってもらわんと困る。やめてもらえるか?空気だってタダじゃない。

わたし:係の人Aに、一言お伝えしたんです。あと、後輪だけなんで…。急いでいるので、今日だけでも貸してもらえませんか?

係B:あんた、厚かましい人だね。口答えするんか?急いでいる理由なんか知らん。そのぬちゃっとした顔はね、防犯カメラにも写ってるよ。

わたし:顔は関係ないと思うんですけど...

係B:また口答えか。なんて言ってAを言いくるめたかは知らんけど。女やから甘えとんのか?今日から出禁や。また来てもな、手押しの方やって貸さんぞ。


わたし:(何も言い返さず、無視してその場を立ち去る)


*

前職では多々あったが、
久しぶりの理不尽に遭遇した。
大人気ないとは分かりつつ、初めて人を無視した。


それと同時に、高速回転で感情が揺さぶられる。

「衝撃→ショック→振り返る→反省→じわる怒り」


特にショックとじわる怒りは久しぶりだったので、
回転で巡るたびに心臓と脳みそがドクドクした。

結果的に、後輪のパンクが判明。

普段5分もかからないのに、自転車を引きずりながら10分以上かけて何も予定を済まさず家に帰った。


本来なら手押し空気入れを使える。
手押しで空気を入れれば、予定も済ませられる。

でも、無理だった。
その場からすぐにでも逃げたかったからだ。

*


家に着いて、
ソファに座って、
コーヒーを飲んだ。

高速感情の揺さぶりはそのときにシュンっと消えた。
たぶん15分ぐらい負の感情だったと思う。

「わたしにもこんな煮えたぎるような感情がまだあるんだー。」って再認識できるまで俯瞰できた。



確かに、わたしも悪い。
「急いでいるから」という理由で本来使えない自動空気入れを使わせてほしいと、なぜあの瞬間頼んだのだろう。

たぶん、「楽したい」という感情に振り切って選択したから、
とった行動だったように思う。
手押しにしたからといって、時間差が10分ほどあるわけでもないのに。


ただ、
駐輪場を使う権利がない人が自動の空気を使えば、容姿さえも否定される。

それが少し恐ろしいと感じた。
顔は関係ない。
「ぬちゃっとした顔だな」っていうのは、心に留めておいてほしかった。


それに、
「女だからって甘えてるんだろ?」って、考えたこともなかった。

どっちかというと、
「人間だから楽したい」が、わたしの中でしっくりくる。


権利がないと口答えも許されない?

「言葉で言いくるめてやろう」なんて毛頭なかったし、
「どうにか説得できないだろうか」で必死だった。


*


戦前は、もっとこんな理不尽で溢れていたんだと思う。

けど、その理不尽を切り拓いて、
今わたしは表現の自由によりnoteに書けてる。
(のだと思う。)


今日の放送であの時のイラッとした感情が蘇った。

けど、
こんな背景を乗り越えて「今」を作ってくれた先人に感謝したい。



朝ドラを見ながら朝ご飯を食べるのが私の日課。
今日から気持ちを新たに、朝ドラを見る体勢が整ったように思う。


(大好きな伊藤沙莉と仲野太賀が朝から見れるのが嬉しすぎる、という理由もある)


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