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銀座というブランドで働く度胸 8/23*転職日記*

朝からパン屋さんのバイト。
先輩から「今日は上のキッチン使って良いよ」とのLINEがきていてホッ。昨日の足場が滑りやすい地下のキッチンは慣れていないせいで作業がしづらく、朝も疲れが取れていませんでした。
先輩が遅れてきて、二人で食材を運んだりしていると、そういえば水曜日、今日だけどシフト入ってなかったよと言われて慌てて確認。
間違えて出勤していたようです。
じゃあ明日の出勤分と言うことで引き続き作業。
やっぱり疲れていて、とても長く感じました。
6時間立ちっぱなし。同じ作業。なかなか。
でも本来いないはずのわたしを含めて、メンバーが多かったこともあり賑やかで楽しく、まだ19歳だと言う初めましての女の子の話を聞いたり。
一人で引きこもっていたらこうはいかないし、本を読む以外にもやることがあるってありがたいなぁと。

バイトの後は面接へ。
なんともチャレンジングな就活を試みている何件めかの本命は、なんと銀座のクラブです。
もちろん華やかな女性キャストとして夜の街に輝く度胸などあるはずもなく、知り合いのバーを手伝ったことのある経験などで裏方スタッフ、いわゆる黒服の募集に応募しました。
銀座で40年以上の老舗クラブ。緊張しながら入店。キラッと効果音が出そうなほど爽やかな笑顔で女性の黒服の方が対応してくださり、間違えてないなと確信。採用担当の方もベテランの20年目とのこと。スラッと背が高く清潔感のある雰囲気で、いかにも敏腕そうで、先ほどの女性黒服の方が同い年だと心強い情報を。
説明を受けながらやってみたい気持ちと、正社員になったら0時にお店が閉まったあとも当然すぐに帰れるわけではないという懸念事項を確認。
そうだよね。
たとえお店がその時間に閉まっても、ここは銀座。
常連のお客さんにさっさと帰れなんて言わない。
なるほど。
0時なら終電があるとか甘かったなと不安が押し寄せるものの、しばらくアルバイトの雇用形態で試したあと、女性なのでアルバイトとしての契約を続けて勤務時間は調整できると言ってもらえる。

なぜまた突然、銀座のクラブなどと言い始めたのか自分でも意味がわからないし、うまく説明もできないのだけれど。
人生一度きりなのだから体力があるうちにやってみたいことやってみようか、などがギリギリ言葉にできる精一杯な動機で。恐ろしく綱渡りな人生の諸悪であり源でもあるこの無鉄砲さを発揮した後、ブツブツ悩みながら『銀座 朝まで時間潰す』など検索して、お店をでて蔦屋書店をウロウロしながらすっかり正社員になった時のことを考え始めていました。

ウロウロついでに好きな作家の新刊を。
ぼくたちがコロナを知らなかったころ
吉田修一著

8月21日発売!

ANA機内誌『翼の王国』掲載の人気エッセイなのだけれど、いきなり文庫化!と言いつつ、もう5作目になります。(『あの空の下で』を一作目として)
吉田修一氏といえば『犯罪小説集』や『悪人』などスリリングな文体にじわりと滲む人間の灰汁が印象的な作家ですが、氏の日常は二匹のツンデレ愛猫に振り回されたり旅に出たり、とても穏やかで優しい気持ちを分けてもらえるものですっかりそのギャップの虜に。

銀座の蔦屋書店で、バイトと面接と未来への不安。すべての疲れを癒すように開いた最初の章が運命的でした。

レシートみたいなのは書籍検索のあれです。
銀座蔦屋書店はワンフロアなのに、いつも迷子になる。


もう、いまじゃん!!
わたしじゃん!!

初めて芥川賞を受賞されたときに過ごしたのが銀座だと言う氏の思い出を、気持ちの良い文章でなぞりながら、この街で働く責任の大きさとやりがいを感じたのは確かで。

じゃあ体力がきつくなったらどうするのとか、そのあとのプランはあるのとか、当然疑問視されることは常に重くのしかかるだろうけれど。
なんだか、ワクワクする。

良い結果に転んだらやってみよう。
ダメなら、また考えよう。

そんな風にのらりくらりと過ごしやすくなってきた夜を歩いて、日比谷線で帰ります。

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