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BtoB企業リブランディング~1年半の実行プロセスと3つのフェーズ~

皆様、こんにちは!オンラインアウトソーシングHELP YOUを運営する株式会社ニットで広報をやっているコザワです。9月も半ばなのに、毎日30度を超す日が続いて、いつ秋になるのやら…という感じですね…。とはいえ、季節の変わり目ですから、体調など崩されませぬよう、ご自愛くださいね!

さて、今日のテーマは【リブランディング】です。

会社をやっていると、事業やサービス、更には会社の在り方すら方向転換することを検討する機会もやってくると思います。【世間からの見られ方=ブランディング】を作っていく立場である広報は、その方向性転換において、非常に重要なポジションです。今日は、そのリブランディングに関して、弊社ニットの事例もまとめてみました。では行ってみましょう~(^^♪


広報とは?

広報業務=メディア露出と思われがちですが、それは広報業務の一部です。広報とは、以下のような様々なステークホルダーとの言葉のキャッチボールをして「会社の価値を上げていく=ブランディング」が広報の仕事です。

会社のブランドが上がれば資金調達力や採用力が上がり、商品・サービスのブランドが上がれば販売力が上がります。したがって、広報業務は短期売上に直接的に関わるものではないですが、中長期的な視点でブランドを向上させることで、盤石な企業価値を築いていくことができます。


リブランディングとは?

リブランディングとは、「再び」の意味を持つ「re」+brandingで表される、つまりブランド再構築のこと。そんな簡単なことなら当然知っているわ!と言われてしまうかもしれませんね。ではここで、もうひとつ考えてみたいことがあります。

リブランディングといえば、具体的に何を変えることなのか?

こんなふうに聞いたとき、多くの人の答えとして挙がるのは、「ロゴの変更」や「新しいパッケージの制作」ではないでしょうか?見た目を一新して、NEWブランドとして気分も刷新!みたいな。確かに、この要素も一例あります。以前、佐藤可士和展に行った時に、ユニクロやくら寿司のロゴ変更、SMAPの斬新なノベルティ、セブンイレブンのパッケージ変更など、分かりやすく見えるものを変えた事例がたくさん飾られていました。

ただ、「じゃあうちも、売上が落ちている商品をイマドキのオシャレなパッケージにしてリブランディングしよう!」となると、上手く行くでしょうか?もちろん、その変化で売上が伸びることもありますが、「パッケージをオシャレにしよう」は、パッケージリニューアルであって、ブランドの再構築ではないというのが答えです。

では一体、リブランディングに必要なこととは、どんなことなのでしょうか。今日は、ニットが行ったリブランディングも踏まえて、お伝えをしていきます。


リブランディング3つの種類

リブランディングの目的となる3つの要素は、主に以下の通りです。

(a)会社軸:会社の方向性や根幹のスタンスを見直したい
(b)人・組織軸:採用や組織の在り方を変更したい
(c)事業・サービス軸:商品・サービスを改善したい など

世の中は常に変化しています。
ユーザーの生き方・生活環境や価値観、ライバル企業の活躍などは、その時代に応じて大きく変化します。そのため、商品・サービスが生まれた時代の感覚に合わせて作られたものを、そのまま変化させずに提供し続けることで、競合他社に埋もれてしまう可能性があるのです。
また、人に関してもそうです。人口減少が叫ばれる中で、採用の在り方も多様化しています。世の中の働く人たちの変化に柔軟になりながら、自社の組織をどういう人たちで形成していくのか?ということの設計は常に行っていくことが大事かなと思います。


リブランディング3つのフェーズ

リブランディングをプロジェクトとして行うには、大きく3つのフェーズがあります。

●●リブランディング3つのフェーズ●●
①立ち上げフェーズ

・1-1:プロジェクトチームを作る
・1-2:スケジュールを立てる
②構築フェーズ
・2-1:理想の未来を描く
・2-2:未来と現実とのギャップを認識する
③浸透フェーズ

・3-1:内部浸透を優先する
・3-2:外部浸透こそ、広報の腕の見せ所

1年半がかりのニットのリブランディング

ではここから、1年半かけて行った弊社のリブランディングをフェーズごとに詳しくお伝えしていきます!

▶きっかけは社長の一言

2020年7月。コロナ真っ只中で、様々な企業が休業・廃業に追い込まれ、失業者も増えていた最中。弊社でも、お客様が倒産されたり、契約の解除が増えたり、テレワークの会社だったので採用の応募が爆増したりとその変化を目の当たりにしていました。そんな時、社長がポロっと一言。

「今、このタイミングだからこそ、会社の目指すべき方向性を見直したい」

その結果、「会社の方向性や根幹のスタンスを見直す」という1年半がかりのリブランディングプロジェクトが始動しました。

▶1-1【立ち上げフェーズ】プロジェクトチームを作る

リブランディングを行うにあたり、必要なのはプロジェクトチームです。今回、会社の未来を左右する重要なプロジェクトですから、どんな人をプロジェクトメンバーにするのかは大切なポイントとなります。

どんな人をプロジェクトメンバーにするか。それは、企業ブランドを大切にし、ブランドのためを思って行動と発言をしてくれる人です。会社に対して、熱意を持っている人がいいですよね。

そういう意味では、経営層や商品企画のような、”一見ブランディングの中心にいそうな人”だけが対象ではありません。転職してきたばかりの新人は外からブランドを眺める視点を持っているでしょうし、若手の営業マンは日々お客様の声に触れて鋭い視点を持っているかもしれません。

そこでニットでは、プロジェクトメンバーを社長指名ではなく、全ての社員に声を掛け、有志で募りました。結果、広報の私をはじめ、営業、人事、財務、新規事業企画など、様々なメンバーが集まりました。

●●プロジェクトチームをつくる際のポイント●●
・普段から会社について考え、熱意を持っている人
・企業ブランドにフラットに意見を言える人(無条件に肯定的なだけではNG)
・将来的に経営に携わっていく可能性のある人
・職種や年齢、社歴などは、立場の様々な人を入れる
・理想の人数は3−6人(多すぎても少なすぎてもNG)

ブランド作りには、少数派・反対派の意見もとても大切です。集まったメンバーで「いいねいいねー」とやっていても、意味がない。様々な角度からブランドを考えることが必要です。職種や立場が偏らないことも、重要ですね。

ちなみに、このように社内のメンバーで自社のブランディングについて考えていくことは、インナーブランディングにもつながっていきます。


▶1-2【立ち上げフェーズ】スケジュールを立てる

こういうプロジェクトは、最初は盛り上がっていても、徐々に中だるみをしてきたり、無駄に時間ばかりを使ってしまったりしがちです。「急遽、お客様との商談が入っちゃって…」とドタキャンする人が出始めたら、危険信号です。したがって、「いつまでに、どんな状態にするのか?」という設計はとても重要です。

私たちでいったら、ざっくりこのようなスケジュール感でした。

●●ニットのリブランディングスケジュール●●
2020年7月-12月:プロジェクトメンバーで、分析~戦略立案
2020年12月:事業統括メンバーでブラッシュアップ
2021年1月-6月:該当メンバーで浸透計画立案~準備
2021年7月-12月:社内外への浸透推進

▶2-1/2【構築フェーズ】理想の未来を描く/未来と現実とのギャップを認識する

プロジェクトチームができたら、自分たちのあるべき姿を改めて見直しながら、自分たちはどこへ向かうのか?をディスカッションしていきます。それと並行して、たくさんの人にヒアリングをしていきながら、現状の課題を洗い出し、GAPを特定していきます。これには相当時間を掛けました。

●●時系列で行ったこと●●
①社長が「会社の存在意義(=ミッション※のちの企業理念)」を思考
②①をプロジェクトメンバーでブラッシュアップしながら、「3つの問い」を、個人思考→プロジェクトで持ち寄ってディスカッション
③それぞれ、3~5つに集約
④丸一日の事業合宿で、事業統括メンバーにおろす→ディスカッション
⑤プロジェクトメンバーで、目指すべきこと(=ビジョン)とバリュー(=行動指針)を言語化
⑥経営陣で最終決定

●●3つの問い●●
・会社運営において、維持すべきこと(≒兆し)
・変えるべきこと(≒課題)
・新しく取り入れるべきこと(≒変化)

▶3-1【浸透フェーズ】内部浸透を優先する

社外発信の前に、まずは内部の人がちゃんと理解した上で納得してもらえることがとても重要です。

なぜなら、企業ブランドは、「人」が作るから。

社外の人が理解するよりも、社内の人が、営業シーンなどで社外の人と接する時、また採用面接の場面など、人が自分の言葉で語れるようになってもらうことで、ブランドが確立していきます。

●●社内向けの取り組み●●
・キックオフで社長からのメッセージ
・バリューを思考する勉強会開催
・ノベルティ作成
・評価への接続
・褒め合う文化×バリュー浸透
・MVP接続
・意識的な口癖化

最後の「意識的な口癖化」は、「企業の文化・風土は、口癖が作る」ということがあり、そのために、意識的にその言葉を使っていくことを意味しています。

▼ビジョンミッションバリュー変更を伝える資料の一部


▶3-2【浸透フェーズ】外部浸透こそ、広報の腕の見せ所

外部向けの活動は、広報が主体となって実施していきました。

●●社外向けの取り組み●●
・ホームページのリニューアル
・ビジョンブック作成
・ビジョンムービー作成
・ノベルティ作成
・オウンドメディアのリニューアル
・既存/解約顧客への連絡
・メディア向け:オープンカンパニーの実施
・社外向け座談会の実施
・表彰を受賞

●ホームページ、ビジョンブック、ビジョンムービー
会社の顔であるホームページがとにかくダサくて、どんな会社か全然分からなかったので、真っ先に変えたいと思い、社長に直談判しました。そして、変えたのが以下です。TOPページはシンプルだけれど、ビジョンへの想い・主張すべき点は盛り込まれるような設計にしました。

特にこだわったのが、以下のページ。企業理念・ビジョン・バリューをきちんと明記しながら、その目指すものへの想いをまとめたビジョンブック+動画にして一つのページにしました。

●ノベルティ
以下のようなノベルティも作って、社内・社外の方々へお配りしました。(広報としては、取材時にも使用しています。マスクは使える!w)

●オープンカンパニー(初めての記者会見)
メディアの方向けに、新サービスと会社についてを知っていただくべく、オープンキャンパスならぬ、オープンカンパニーを開催しました。結果として、日経新聞+朝日新聞さんに、記事化いただくことができました。

詳細はこちら。

●表彰を受賞
私たちの取り組みを、国・東京都・民間から表彰を狙いに行きました。その結果、会社としての価値向上につながり、リブランディングへの寄与することができました。ニットの表彰一覧は以下にまとめています。


ブランドは一夜にしてならず

いかがでしたでしょうか?
「ブランドとして確立すること=第一想起してもらうこと」は、簡単ではありません。特に「企業ブランディング」の場合は、社内・社外ともに、【人】に理解・納得してもらい、口癖のように自ら発信してもらうための中長期的な設計が必要です。
したがって、広報も、文化・風土を作っていくインナーブランディングと、社外への発信をしていくアウターブランディングの両方に関わっていけると強いですね!

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広報活動にお悩みの方いらしたら、いつでもお気軽にご連絡ください!ご相談乗ります!また「noteやVoicyで、こんなこと発信して!」というご要望あれば、TwitterでもnoteでもDMください(^^♪


ちなみにHELP YOUの各チームインタビュー記事もありますので、もし時間があればぜひご覧ください^^(マーケチーム/広報チーム/CSチームがあります)

本日は以上です!最後まで読んでいただいてありがとうございましたm(__)m

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