「まちのデザイン屋さん」の限界。まちとデザインの実情とボランティア。

前回のnoteで、今のネイバーズグッドに足りないものは商品だと書きました。

デザイン、ホームページ制作という商品があって今日に至ることはできていますが、積み重ねてきている「社会資本」を活かした商品がない、という状況が大きな課題だと感じています。

商品の開発にあたっては段階を踏む必要があり、今回はその具体的な内容を書こうとは思ってはいたのですが、もう少し時間がかかりそうなので、まず、弊社が抱える課題の解像度をもう少し上げていきます。

ネイバーズグッドの今の最大の課題は収益性です。

よいご近所関係をつくるために、どんなことで収益を上げるのか、をわかりやすく伝えるために「まちのデザイン屋さん」として経営を行ってきています。しかし、4年目を迎え、限界点にきているように感じています。

周りの支えがあり、おかげさまで売上ベースでは毎年、前年比150%以上の成長を重ねられていますが、利益率はその成長にはついてきていない現状があります。


改善すべき点は2つあります。

一つは単価。
「まちのデザイン屋さん」というポジショニングは悪くはないと思っています。しかし、まちにはデザインそのものにお金をかける文化がなく、また買い手の言い値で決まってしまう傾向はあります。

先方が「高い」という感覚は、デザイン相場的には半分かそれ以下いうこともザラにあります。

商店、商店街、自治会ならともかく、行政も同じような感覚であることは苦しい部分であります。また、一定の予算がつく案件は入札となりクオリティではなく価格競争での落札となります。

そんな実情を同じデザイン業界の人に話すと、「クリエイティブの価値がわかってない」なんていう話になったりしますが、僕はそれは作り手のエゴだと思っています。その価値を結果で示し、必要だと認識してもらうことが僕らの仕事だと考えます。

「安売りしない」というのは個人事業を始めたり、ましてや会社を興したりすると、もう痛いほど感ずることではありますが、提供するサービスの価値を十分に伝えないまま価格から入って、仕事が取れていない人も多くいます。

いいものを提供している自負とプライドを持つことは大切なことですが、自身の商品の価値を人に伝えることはまた別の努力が必要です。


人から人につないでいただいて今日まで、あらゆる仕事の機会に恵まれています。
良くも(悪くも?)、金のための仕事は全くなく、発注いただいた方、紹介いただいた方の期待に応えるよう、社員一同全力投球で取り組んできたことにより、名刺代わりとなる実績も少しずつついてきました。

「まちのデザイン屋さん」という商品をより明確にするツールが必要なタイミングになりました。要は価格表です。

受注単価を倍にすることはまだできませんが、少なくとも買い手の言い値からは卒業できる状況になってこれているでしょう。

もう一つは「ボランティア」。

世間がボランティアの感覚で行ってきていることに対し、僕らは人件費を投じて活動しています。

単純に考えてマイナスです。普通に考えたらあり得ないことであり、一番理解が得られない部分であります。

お金がいらないわけではありません。みんなボランティアで街を支えているので、お金を払うことに対し、組織や共同体の納得が得られにくいのです。

しかし、この「ボランティア」というものは、金銭的ものさしで捉えてはいけないものだと最近整理をつけることができました。

こんな活動に携わることにより、僕らは「社会資本」という対価を得ることができているのです。

職場でも家族でも友人でもなく、世代も越えた「社会資本」を新しく手に入れられるということは、とても大きな価値があります。

人と人との関係の希薄化が進み、そして個々それぞれが自己実現へ向かう社会では、その価値はますます上がっていくでしょう。

十分な対価を「ボランティア」から得られると思います。

しかし、僕らはそんな機会を創出し、生産する立場にあります。

なので、関わる人々が「社会資本」という対価を得られるための環境づくりにおいては、お金を得て生業として成立させていかなくてはなりません。

回りくどくなってしまいましたが、ネイバーズグッドが今課題とする収益性を向上させるためには、このマイナスの部分をプラスに転じさせなくてはなりません。

それが今弊社に足りていない要素である商品の第一段階目に当たります。

色々と想いや経験を詰めて考えていますが、ニーズに対し、わかりやすく、手に取られやすい商品であることが肝心です。

日々勉強ですね。

次回は、その第一段階目となる商品の発表といきたいところですが、商品開発の過程でまた書きたいことを書くかもしれません。

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