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[英詩]ボブ・ディランと易経

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

※英詩のマガジンの副配信です。

2019年のボブ・ディラン学会で〈ボブ・ディランと易経〉についての発表がありました。今回はそれに関して少し書きます。

まず、学会は米国のオクラホマ州はタルサ (Tulsa) で2019年5月末から6月初にかけて開催されました。

その プログラム (下)をざっと見ると多彩で充実した内容だったことが窺われます。

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これほどの内容なら、毎年やってほしい気がするにもかかわらず、参加した人によると、この学会が繰返される予定はないそうです。

ディランと易経についての発表は次のものです。

Preston Keido Houser, 'Thunder at the Well: Yin-Yang Equilibriums in Dylan’s Social Responses' (K2. Panel: If You Cannot Bring Good News: Continuous Engagement Amid Apprehension in Dylan’s Responses to Social Injustice. Room: Oklahoma Ballroom, Hyatt Regency; 4:00 p.m. - 5:30 p.m., 1 June 2019) [hosted by The University of Tulsa Institute for Bob Dylan Studies and the Bob Dylan Archive]

この発表は現時点ではまだ活字になっていません。いづれ、どこかに発表されることもあるかもしれません。たまたま発表した方から主要なポイントを伺う機会があったので、ごく簡単にメモし、コメントを書き加えておきます。

あらかじめポイントを列挙しておくと次のような点が挙げられます。

1. 1965年3月発表の 'Bring It All Back Home' のアルバム・カヴァーの元の写真に『易経』英訳本が映っている
2. 1965年11月のインタビューでディランが『易経』を驚くべき真理の書と評している
3. 1974年頃書かれた 'Idiot Wind' (Bootleg Series vols. 1-3所収版その他) で I-Chingを唄っている

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