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ひとりじゃない

もう梅雨に入ったのかと勘違いするくらいに、毎日よく降る。人は日照時間が少ない季節ほど、鬱の発症率が高くなる。

雨は嫌いじゃない。特に夜、ベッドに入る頃に雨音がするのは好みだ。雨粒が規則的に当たるリズムが、ちょうどよい子守唄となって私を眠りに誘う。けれども、こう毎日、灰色の空ばかり見ていると、閉塞感と孤独を感じる時さえある。犬もどことなく元気がない。

例年ならばゴールデンウィークの頃に咲くつるバラの蕾がまだ青く小さくて、見るからに植物たちにもお日様の光が足りない。

きっと、農作物の成長にも影響が出ているはずだ。



もう、ツバメは見ただろうか。私が見たのは3日前、急いでスマホのカメラを立ち上げるも、映ったのは黒いごま粒。せっかくだから載せておこう。ツバメはどーこだ?

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今にも降り出しそうな空に、ツバメが綺麗な曲線を描く...レンズに捉えるのが難しいこと!

諦めて駐車場から車を走らせると、私をからかうように、一羽がフロントガラスを横切った。ツバメも人に戯れる(じゃれる)ことがあるのだろうか。

その日、そういえば道端でスマホを空(くう)に向けて立っている女性を信号待ちの交差点で見た。なんだろう、と運転席から不思議に思ったが、あとで理由がわかった。彼女もツバメだったに違いない。

帰ろうとして運転席のドアを開けた私の足を止め、信号を渡ろうとした女性に青信号を見送らせる。

植物も小動物も、いつもの日常に小さな、しかし、何ものにも変えがたい感動を残してくれるこの地球の同士、大切な存在であることを思い出す。それだけで、孤独感は癒えていく。




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