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ちょいちょい書くかもしれない日記(筍)

筍は、かなり好きな食材のひとつだ。
筍ごはんも、若竹煮も、煮た筍を薄切りにして、すり潰した山椒入りの衣をつけて天ぷらにしたのも大好きだけれど、我が家の大定番は味噌炊きである。
父の実家の味らしい。
母は昔から合理的な人で、筍を貰うと、容赦なく皮をむしり、切り分けてから下茹でをした。
大きいまま茹でることに何の意味も見いだせない、ときっぱり言っていた。
あとが面倒だからと、米ぬかも入れなかった。
今、私も母のやり方を引き継いでいる。特に問題はない。
米ぬかがついてきたときは、庭の腐葉土を作るための場所に振りかけておく。発酵をブーストしてくれるので助かる。
今回の筍についてきた米ぬかには、米こうじまで配合されていた。もりもり働きそう。
下ゆでを済ませた筍は、大きな鍋で、豚肉薄切りと手綱こんにゃくと共に濃いめの味噌で炊く。
砂糖も結構入れる。
これは間違いなく、父方の祖母の好みだ。
去年までは蕗も入れていたが、私は好きでないので、今年からは入れないことにした。
食べるときに、茹でたほうれん草でも添えようと思う。
蕗の筋を取るのは大好きなのに、味が強すぎてダメなのだ。
味噌炊きは、初日はまだ味噌が染みておらず、素材がそれぞれの味を主張してくる。初々しくていい。
でも、毎日煮返すたびに、食材どうしが馴染み、煮汁にそれぞれの味が溶け出し、どんどん豊かな味になっていく。
それもまたよし。
最後は、肉のかけらが混じったドロドロの汁を、お行儀悪くご飯にかけて食べてしまう。
春の楽しみのひとつだ。

初日の楚々とした姿。

家族が毎年楽しみにしていた料理を、ひとりで作ってひとりで食べること。
まだ慣れないけれど、いずれはそれが当たり前になっていくのだろう。
今はまだ、「今年も旨いなあ、筍は、これが最高の食い方や」という父の声を、耳の奥で聞いている。

こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。