椹野道流

猫に仕えたり、色々な学校で解剖学や法医学、公衆衛生学を教えたり、庭仕事をしたり、たまに…

椹野道流

猫に仕えたり、色々な学校で解剖学や法医学、公衆衛生学を教えたり、庭仕事をしたり、たまに医師のお仕事をしたりしていますが、メインのお仕事は小説家です。「最後の晩ごはんシリーズ」(角川文庫)、「鬼籍通覧シリーズ」(講談社文庫)、「時をかける眼鏡」(集英社オレンジ文庫)などなど。

マガジン

  • ちょいちょい書くかもしれない日記

    気が向いたら覗いておくれよ。

  • たまに書く日記

    そのまんま、気が向いたときにさらさらっと書く日記です。

  • たまにあいつらが作っている料理

    拙著に出てくるキャラクターたちが、お喋りしながらごはんを作ります。ちゃんとした計量などはあんまりしません。

最近の記事

ちょいちょい書くかもしれない日記(ありんこ)

数日前から、二階の台所にアリが出る。 特に何かに激しくたかっているというわけではないのだが、目当てのひとつは猫のカリカリだ。 猫がいるので、普通の殺虫剤は使いたくない。 そして、アリの巣コロリ的な、餌と見せかけて持ち帰らせ、巣ごと殲滅するような理不尽なアイテムは絶対に使わない。 それは卑怯なやり口だし、だいいちやり過ぎだ。 彼らが外の世界にいる分には、その営みに干渉すべきではないし、むしろ大事にしたい。 しかし、家の中はダメなのだ。マジでダメ、絶対。 家の中に入り込んだアリに

    • ちょいちょい書くかもしれない日記(遠出)

      コロナ禍のステイホームは、正直私にはまったく苦ではなかった。 もとから出不精だし、家が好きだし、行きたいところがあったとて、コロナ禍だろうとなかろうと、猫がいるとそうそう家を空けられない。 一泊二日、それも翌朝は何もせずにすぐ帰途につくなら、まあまあ許される……という加減だ。 誰かに、猫の食とトイレの掃除だけ頼むことができたら、二泊三日や三泊四日の旅が可能になるかもしれないが、問題がふたつある。 留守宅に赤の他人の業者を家に入れるのはセキュリティ上いやだなあ、ということ。 も

      • ちょいちょい書くかもしれない日記(倦怠感)

        昨夏に家族まるっと新型コロナウイルスにやられたとき、両親の世話でバタバタ走り回って、ろくに自分の療養ができなかった。 おそらくはそれが祟って、未だに強い倦怠感が抜けない。 何かするとすぐにとんでもなく疲れてしまって、少し横になりたいな、と感じる。 横になると、実際、秒でコテンと寝てしまう。 自分でも信じられないくらい頑張れないので、たぶん編集さんたちは信じてくれず、あいつ豪快にサボってやがると思われてしまうだろうな、としょんぼりしたりしている。 一時期、味覚と嗅覚がおかしくな

        • ちょいちょい書くかもしれない日記(花)

          急に暖かくなったせいで、庭のあちこちで花が咲いている。 レンゲも咲いたし、ベロニカ・オックスフォードも、何故か植えた覚えがない場所で咲きまくっている。 一才藤もようやく咲いた。今年はひと房だけなので、気合いが入っているのかとても美しい。 藤は蜂たちに大人気なので、長く咲いてくれるといいと思う。 スノーフレークは知らない間に咲いておわっていたようで、ちょっと悪いことをした。 花梨も咲いたし、水仙とブルーベルはもうすぐ。 ツツジも大輪のものから咲き始めた。 あちこち好き放題に賑や

        ちょいちょい書くかもしれない日記(ありんこ)

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        • ちょいちょい書くかもしれない日記
          53本
        • たまに書く日記
          4本
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          2本

        記事

          ちょいちょい書くかもしれない日記(うろうろ)

          もはや初夏の日差しだ。 車を降りて歩き始めて三分くらいで、ああ、こういうときに日傘を使うのだな、と気づく。 去年買った日傘は、サイズが大きなものにしたらとても重くて、しかも数回、雨に降られたら、明らかに傷んでしまった。 安物買いの銭失いというやつだ。何度繰り返せば気が済むのか私よ。 まあでも、何事も経験。よくある肩幅すら覆えないようなレディース日傘より、メンズのでっかい日傘のほうが実用性が遥かに高いことはわかった。 それを踏まえて、今年はちょっといい奴をもう買ってある。 でも

          ちょいちょい書くかもしれない日記(うろうろ)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(市役所)

          銀行は早い時間に受付が終わり、一方、市役所には昼休みがある。 その案配を考えながら、書類をもらいにいく順番を決める。 間に、ちょっといいとんかつ屋を挟んだりもする。 辛気くさい事務作業には、ご褒美が必要なのだ。セルフでこまめに与えていく方針。 地元市役所の窓口のおじさんは、とても人当たりがよく親切だった。 「こていしさんぜい……ひょうかしょうめいしょ、が、ほしいんです、あ、去年のやつが」を、メモを見ながらあからさまにたどたどしく口走った瞬間、私のことをド素人相続人であると察

          ちょいちょい書くかもしれない日記(市役所)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(寝間着)

          かつて実家で寝起きしていた頃、仕事場から戻ってきて、「じゃあ寝るねぇ」と二階の自室へ行こうとする私に、母はいつも「ちゃんと着替えて寝なさいよ!」と口うるさく言った。 どうも、寝ても起きても部屋着、というのは、母にとっては信じられないほどだらしないことだったらしい。 夜は寝間着を着て、起きたら日中着るべき服に着替えるのが当然でしょう! とよく叱られた。 実家で着替えたら洗濯物が増えて申し訳ないよ、と言ったら、「そんなことはどうでもいい! ちゃんとしないのを見ているほうがイライラ

          ちょいちょい書くかもしれない日記(寝間着)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(雨続き)

          室温を見ればそう低くないのに、なんだかぞわっと肌寒い。 春の終わりの雨の日は、だいたいそんな感じだ。 私は部屋着の上に一枚羽織り、猫たちは見事な団子を形成したり、布団に潜ったりする。 その程度のことで対処できる程度には、山の上も暖かくなったということだろう。 雨の日は、猫がよく眠るので静かだ。 昨夏に死んだ父の後片付けは、ついに最終段階、相続手続きに入った。 本来ならば妻たる母が主導するべきことだが、母は施設暮らしだ。 子供である私がやるしかない。 私があまりに頼りないので

          ちょいちょい書くかもしれない日記(雨続き)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(三度目の)

          この春、三度目の筍が届いた。 不作といわれる年に、なんとも贅沢なことである。 送ってくれたのは、なんと、弟が幼稚園でお世話になった先生だ。 あいつのチャーム、永続性かよ……と、毎度感心するのだが、幼い弟はそれほどまでに、忘れがたく可愛かったらしい。 先生はご実家が「筍山を所有している」という凄いパワーワードをお持ちの方で、毎年、春になると筍を掘りにいき、収穫の何本かを箱に詰めて送ってくださるのだ。 子供の頃、一家でお山にお邪魔し、筍掘りを体験させていただいたが、あれはもう、と

          ちょいちょい書くかもしれない日記(三度目の)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(完成)

          月曜から始まったリフォーム工事が、突貫作業で土曜に終わった。 トイレ兼洗面所兼水仕事スペース兼猫トイレ置き場、略してトイレは、とても陽気で、メンテナンスしやすい空間になった。 便器もお店にあるみたいなタンクの小さなものになった。蓋がセンサーで勝手に開くのだけは、猫が開けまくって水遊びする未来が見えるので、あとで止めようと思うが、何しろ見栄えがスッキリした。 ようやく工事が終わり、ホッとするかと思いきや、ずっと内扉の向こうに誰かが作業している音や気配があったので、静かになった我

          ちょいちょい書くかもしれない日記(完成)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(新学期)

          また、専門学校の非常勤講師としての新たな一年が始まってしまった。 いちばん古なじみの学校では、もう20年以上働いている。 初めて来たときはまだ木材の香りがするようだったピカピカの学校は、いつしか古び、今年やっと職員室の床が張り替えられたらしい。 それだけで雰囲気がぱあっと明るくなって、やはりリフォームは我が家でなくてもいいものだ、と思う。 私はいつも一年生担当、しかも最初の座学を担当するので、講義室に入ると、学生たちは、みんなまだちょっと互いによそよそしい雰囲気で、でも「何教

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          ちょいちょい書くかもしれない日記(壁紙)

          リフォーム工事は、唯一の静かな日。 壁紙と床材を担当する職人がひとりで作業をする日だ。 目覚めたときから軽めの目眩があり、職人氏を迎え入れたら横になろう……とグンニャリしていたら、来たのは15年前にも我が家の壁紙を貼りまくってくれたその人だった。 正直、ビックリした。彼も我が家の壁紙が厄介だったことを覚えていて、「またか」と言いたげな顔をしていた。 ここしばらくの重くて苦い空気を変えたいという思いが強かったので、新しい壁紙は嬉しい。 トイレ兼洗面所兼水仕事スペース兼猫トイレ、

          ちょいちょい書くかもしれない日記(壁紙)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(睡眠)

          同じ案件で、昨夏に1つ、この2月に1つ、それぞれ問題が起こり、いずれにおいても私は無力だった。 「同じことを二度と繰り返さないようにしてください」と強くお願いすることはできても、それで失われた機会が補塡されるわけではない。 あとに続く同業者のために、道から大きめの石を1つどけた程度に過ぎないのだ。 何もしないよりはマシだと思う。小さなことからコツコツと、ときよし師匠も仰せであった。 でも、「なんで私だけ、こんなトラブルに巻き込まれ続けるんだろう」というやるせない疑問は、そんな

          ちょいちょい書くかもしれない日記(睡眠)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(リフォームと野菜苗)

          去年取り付けてもらった、玄関とその奥を隔てる内扉が功を奏して、リフォーム工事中の猫脱走防止はうまくいっている。 勿論、わけがわからないタイミングで、いつもいないような場所に潜むのが猫なので、毎朝の点呼は欠かせない。 それでも、内扉一枚閉めて鍵をかけてしまえば、あとは玄関扉を開け放って職人さんたちに作業してもらえるというのは、お互いに楽でいい。 去年あたりから、ちまちまと自宅兼仕事場のリフォームに取りかかっている。 本当は複数箇所をいっぺんにやったほうが、ずっと経済的だ。 基礎

          ちょいちょい書くかもしれない日記(リフォームと野菜苗)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(リフォーム工事)

          家を建てたとき、洗面所とトイレと庭仕事用の作業場と猫トイレ置き場を一カ所にまとめてもらった。 つまり、我が家のトイレはアホみたいに広い。暮らすのは厳しいが、一晩寝る程度ならできるかも。そのくらいのサイズ感だ。 広いのだが、まさか猫が5匹に増殖するとは思っていなかったので、いささか困惑の日々を過ごしてきた。 他に場所がなく、トイレ内に巨大な猫トイレを2つ収めることになったものの、蓋付きを据えても舞い散る粉の量が凄い。 何もかもが真っ白になる。 元野良の猫たちは猫砂の好みがうるさ

          ちょいちょい書くかもしれない日記(リフォーム工事)

          ちょいちょい書くかもしれない日記(汁物三昧)

          ひとり暮らしになって以来、料理がどんどん簡略化していくのを感じる。 冬の間はひとり鍋ばかり食べていたけれど、さすがにもう鍋の休眠期を迎える感じだ。 何日も煮返して食べるような料理も、初夏以降はちょっと避けたい。 公衆衛生学を教える人間が食中毒で倒れたら、ちょっと学生たちに合わせる顔がない。 これからは、しっかり炒めたもの、焼いたものが増える予感だ。 美味しく食べられるならばそれで十分。 自分だけのことなのだから、好きなものを好きに食べればいいと思いつつも、せめて汁物は具だくさ

          ちょいちょい書くかもしれない日記(汁物三昧)