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『いい匂い』

この世で、いちばん嬉しい褒め言葉というものは何か、考えた結果、本日判明したことを、この場を借りてご報告させていただきます。

『いい匂い』
言われて嫌な人は、いないのではないだろうか?
反対に、『クサイ』というワードは、男女問わず、年齢問わず、心にずしっと重くのしかかる。
匂いというものは、かなり繊細で、目に見えず、好みが分かれる。
デパコスの、ムンとした香水の匂いが好きな人もいれば、石鹸のさわやかな匂いを好む人もいる。
好きな人の汗の匂いを肺に詰め込みたい人もいれば、我が子のうんちの匂いすら愛しく感じる人もいる。
自分の好きな匂いが、誰かの嫌いな匂いであることも、もちろんある。

私の好きな匂いを挙げていこう。
バターの溶ける香ばしい匂い。
NUEXのヘアオイルの甘い匂い。ピンクのパッケージの、フローラルが特に好き。
Aesopのボディクリームの匂い。バニラのような、甘い香り。おしゃれな人の香り。
お香の匂い。白檀や金木犀、ホワイトムスクが好き。
母親の匂い。化粧品なのか、母の身体に染みついたものか。実家を出た今も、好き。
新築の、木材の匂い。近所のコミュニティセンターが、まさしくその香りで、幼いながらにいい匂いだ、とはしゃいでいた。
パーマ液の匂い。ここ数年パーマをかけていないが、あの匂いに再び包まれたい、と懐かしくなる。
そして、好きな人の香り。
お付き合いしていても、していなくても、好きになれば、その人の匂いも、好きになる。

私は今まで、3人の異性に『いい匂い』と言われた。
1人目は、人生において2番目に付き合った彼。
2人目は、noteに何回か登場した彼。(好きな人、という呼び方をしていた)
3人目は、現在お付き合いしている彼。

今の彼に『いい匂い』と言われたときは、スポッチャで汗を流したあとだったため、そんなはずがない!と疑心暗鬼だった。
その旨を、その場で打ち明けたところ、『俺がいい匂いって言ってるんだから、いい匂いなんだよ』といった内容の返事が返ってきた。(こんなキザなニュアンスではないが)
どんな匂いか尋ねても、はっきりとした答えはもらえない。
『私の匂い』なんだそうだ。なんだそれ。

しかし、匂いを褒められると、嬉しいものだ。
顔がかわいいとか、服がおしゃれとか言われるよりも、目に見えない、曖昧なものを好きになってもらえる方が、自信につながる。
正直、自分の匂いってわからないものだ。
いつだって不安だ。
カビとかゴミの悪臭が自分にまとわりついてないか、今の時期であれば、汗の臭いがしないか。

香水を新調したいが、香水というのは、その人の体臭によって香りが変化するため、いい匂いと周りで評判でも、自分に合うかどうか不安である。
(欲しい香水があるが、なんせど田舎住みのため、ネット注文に頼るしかない。テスターのお試しボトルで購入しようか。でもせっかくなら、一気にボトル買いしたいのは、ミーハーがすぎるだろうか)

結局、未だに香水を手に入れられずじまいの私は、私の匂いをまとったまま、日々を過ごしている。
いつか、自分にぴったりの香水に出会えたら嬉しい。
しかし、彼が好きだと言ってくれた『いい匂い』を失わずにいたい。
その匂いが、今の私を成り立たせている、はず。

最後に、匂いにまつわるエピソードをひとつ。
思い出に、匂いはつきものだ。
例えば、マニキュアを塗り直すとき、私はなぜか、ちびまる子ちゃんを、思い出す。
中学生の夏休み、ちびまる子ちゃんのDVDを観ながらマニキュアをせっせと塗っていた、当時の思い出が、マニキュア特有の、シンナーの香りに乗せられて、記憶になって呼び起こされる。
写真や音楽は、もちろん、匂いも、思い出を創る。
思い出を呼び覚ますってのは容易い。
匂いさえ、覚えていれば。

この夏は、たくさんの匂いに包まれていた。
瑞々しい西瓜。
海から運ばれる潮風。
先月生まれたばかりの、甥っ子から漂うミルクの香り。
忘れたくないので、この鼻で覚えておこう。

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