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神話部参加作品

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2022年3月の記事一覧

詩 ほろりはらはら

詩 ほろりはらはら

ほろほろと咲くや桜
鎮守さまがおでましになって
良い子じゃ良い子じゃと
背中で眠る
赤子の頭をなでておいでか

春の霞は微かに色が乗り
ため息ひとつついた後で
うなじにのぼる乳の匂いに
我に帰るのは母か女か

はらはらと散るや桜
行きがよければ
帰りもよいよい
仰ぎ見ればいっときを惜しみつつ
鎮守様の懐で
杜の木々は伸びやかに
やがて青々と薫る風の中

花の命は短くと言う
枝葉の先々を楽しみに

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掌編 イエイエの赤

掌編 イエイエの赤

神話部お題「花」
実際の伝承から心の動きの部分中心に作り変えています。

【イエイエの赤】

風使いのマカニカウは光を帯びて輝く真っ赤な花を見つめる。そしてそっと手を差し出し、その艶やかな赤に触れた。

「一体俺はいつイエイエを失ったのだろうか」

ハワイ島の精霊がひとりの小さな女の子を授けたのは、島に暮らすカウキニとパカヒ夫婦だった。名は花のイエイエに因んだラウカイエイエと言う。
子供のいなかっ

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日本「の」神話

日本「の」神話

本当は「庶民によって広く歌われていた素朴な歌をベースに、後から物語らしい肉付けをした」について書きたいのだ。
ただそこまでの力がわたしには無い。
日本神話の話だ。
なのでやめておく←冒頭がこれかよ。

別の角度から考えた事を書いてみたい。
何度も書いてきた事を性懲りも無く掘り下げられればと思う。

一般に日本神話と言われるものは、王権の正当性の提示を主な動機とした、記紀と言う国書の中に収められてい

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