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【最近は、こんな感じ】 オーラのある服が好き。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

07 渊倩

<Profile>
渊倩(ユエン・チェン)  生まれ年:1993年
出身:上海市
職業:休憩中
Ins @doemug
微博 里涩

魅力的ギャップの塊。
クールで尖ったビジュアルなのに、
編み物が得意でBL好き。
勉強にも趣味にも熱心で、
自由な生活を謳歌しているように見えるのに
既婚者。
渊倩さんって、何モノ!?


――少し前まで書店で働いていたそうですね。
渊倩 はい。いまはちょっと休憩中です。来年、寧波でカフェを開こうと思っているところです。

――寧波、最近よく聞く気がします。なぜ寧波?
渊倩 両親の会社の支社と兄が経営しているレストランが寧波にあるので、お互い助け合えると思って。近々兄の店でインターンとして働こうと思っています。サービスについて学びたいな、と。あと、寧波は市政府が新一線都市(北京、上海などの大都市に次ぐ都市)を目指しているので、阪急百貨店など新しいお店、おしゃれなお店も増えている。『假雑誌』の編集部もありますよね。いいところもたくさんあるんですよ。あとは、上海に比べて店舗家賃が安い(笑)。

大型書店で選書の
お仕事をしていた時の写真。

――日本語、すごくうまいですよね。
渊倩 2019年まで、明治大学の国際日本学部に留学していました。おもしろい教授がたくさんいて、特に宗教のゼミがおもしろかった。新興宗教の歴史や、南米の宗教を研究している教授がいたり。でも、日本語は文法が苦手です。なので作文もダメ。仕事関係の日本人にもよく「それ、ギャル語だよね」と言われたりしてます。

――日本に留学しようと思ったきっかけは何ですか?
渊倩 アニメや漫画が好きだったので。なかでもBL。明治大学にポップカルチャーとしてBLを研究している教授がいたのが決め手でした。でも、BLのコミック誌って季刊だから連載がものすごく長いんです。ジャンプだったら週刊なのでどんどん追えますけど、それとはちょっと違う。いちばん好きな漫画家は中村明日美子先生なのですが、2009年に連載が始まった作品の最終回が2015年で、出たのが上下巻。長いですよね。しかも、待ちに待った最終回がバッドエンドで……。なので、きっかけはBLだったのですが、日本に行ったあたりから興味がなくなってしまいました。

“洋服選びの基準は生地の良さ”

――今日のコーディネートについて教えてください。
渊倩 コートとワンピースは『TOWAVASE』、ボトムスは『GASA*』、帽子は『Malle』、靴は『drogheria crivellini』。バッグは、留学中みんな持っていて、当時定番だったブランド『the Virgins』です。李さんのテイストにちょっと似てるかも。

李璇さんと。確かにテイスト、似ている。

――すごくかわいくて個性的ですが、何を参考にしたらこんなふうに仕上がるのでしょう。
渊倩 日本の雑誌は好きですが、私のファッションとは真逆かも。よく読んでいるのは『OZ magazine』。川島小鳥さんが表紙と特集を撮っているので必ずチェックします。『&Premium』も好き。あとは『bis』。これも写真が好きなので、雑誌というより写真集として買っています。でも、どれも私のテイストとは違いますよね。

『mie Shanghai』のほかの企画でも、
ファッションやメイクの話を
聞かせてもらったり、
モデルとして作品に参加してくれている。

――では、普段どんなふうに洋服を選んでいますか?
渊倩 基準は生地の良さです。留学時代は駅ビルに入っているようなブランドを買うこともありましたが、雑誌ではきれいに見えても、店頭で実物を見ると……、ということがよくあって。ですが、いい生地を使っているブランドはオーラがある気がします。ヴィンテージのボタンや生地を使ったものとか。でも、高いものはすごく高いんですよね。

――コスメにもすごく詳しいとのこと。今日は何を使っていますか?
渊倩 コスメは、カラコンを基準にして選んでいます。大きさや形、色が違うと印象がガラッと変わるので。今日は青なので、オレンジやブラウン系が合うと思い、バター色のアイシャドウのパレットを選びました。

――バター色。ブランドは何ですか?
渊倩 『Urban Decay』です。欧米のブランドは発色がいい。特にキラキラ系のもの。日本のメーカーは色がちょっとおとなしい気がします。ファンデーションは『SENSAI』。花王傘下のブランドみたいですが、いますごく話題になっています。チークは、まず『Etvos』のクリーム、その後『Celvoke』のパウダー、最後に、ブランド名がいま出てこないのですが、韓国コスメのハイライトを。ポンポンっとした印象になるように。リップはクレヨンとグロスを両方使っています。その場合、色味などがケンカしてしまうことが多いのですが、『Sunnies Face』はマットとキラキラがよく馴染むのでお気に入り。10種類くらい持っています。あと、中国コスメの『HEDONE』。これもマットとミラーを両方使ってもケンカしないし、値段もすごく安いのでよく使っています。

中国メディアに
メイクの取材を受ける事も多い。

“行き来しながら暮らしたい”

――近々日本に行くそうですね。
渊倩  仕事を休憩中なので、年末年始の一か月ほど滞在しようと思っています。東京、福岡、大阪へ。趣味が編み物なのですが、中国で手に入らない毛糸を見に行きたい。あとは、見たい展覧会やイベントもたくさんあるし、買いたいコスメもいっぱい。昨日も、何を買おうか考えてしまって、雑誌を見ながら午前4時まで吟味していました。射手座だから、興味のあるものがバラバラでいっぱいあるんです。

趣味の編み物はプロ並みの腕前。

――特に行きたい場所やお店はどこですか?
渊倩 東京の蔵前。あと、福岡の『OEUF.F』というセレクトショップです。

――そういう、知る人ぞ知るいいお店情報はどこで仕入れるのでしょう。
渊倩 『微博』に、品選びが素晴らしい代購(代理購入。日本の商品を中国に紹介している)の人がいて、その人がアップしている写真を見てから店舗などのインスタをチェックする感じです。洋服やコスメ以外に器もすごく好きなのですが、作家さんやお店の情報は『閑魚』で。一度チェックすると、同じテイストのいい作家さんの情報が延々と出てくるのでずっと見てしまいます。

――日本へは一人旅だそうですね。すごく自由で羨ましいと思ったのですが、なんと結婚されてるとのこと。
渊倩 留学から戻った翌年に結婚しました。旦那さんはイギリスに留学していたので、ずっと遠距離でした。高校時代のクラスメイトなんです。元々仲が良かった感じ。留学中に、日本で好きな人? できなかったですね。いまは上海で二人で暮らしています。

旦那さんとのオフショット。

渊倩 でも、日本にも拠点がほしいなと思っていて、物件を探し中。上海に比べるといまはマンションの値段がすごく安いので。行き来しながら暮らすのが理想ですね。
(取材日:2022年11月21日)


<彼女のお勧め>

『廓尔』(杭州市西湖区留和路139号東信和創園66棟北辺巷子)
☆杭州市内にある洋服屋さん。天然素材やヴィンテージ生地の服が揃う。

『任飢餓』(杭州市上城区大馬弄34号 ※入店には微博での予約が必要)
☆ここも杭州市内。作家さん(すごい人!)が自分でつくった服しか売っていないお店。

『陵水酒家』(上海市長寧区荣華東道101-111号)
☆最近韓国料理ばかり食べているけど、なかでも1店選ぶとしたらここ。おいしい。ニンニクの匂いがすごい。

『小核桃』(上海市長寧区番禺路390号時代大厦103室)
☆中国の東北地方の焼肉のお店。ちょっと韓国っぽくて、ビビンバや冷麺もおいしい。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

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