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【最近は、こんな感じ】 不確定さと、サプライズ感。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

08 YUME

<Profile>
YUME(ゆめ)
生まれ年:1989年
出身:上海市
職業:会社員
Ins @otomenoyume
微博 YUMEEMUY

YUMEさんが選んだ日本酒が、
すごくおいしかったことがある。
その日は二人で
軽く1本空けてしまった。
あの日から、
頭の中は日本酒のことと、
YUMEさんに聞いてみたいことばかりになった。


――まず、今日のコーディネートについて教えてください。
YUME あんまりファッションは気にしていないほうです。服は、待ち合わせ中とかの10分で選んで買ってしまう感じで、母にもよく「もう少し雑誌とか読んだら?」と言われたり(笑)。今日のワンピースは『Moussy』、コートは『FREAK’S STORE』。靴は上海の老舗メーカー『藍棠』です。母と買い物に行ったときに、「まだこのブランドあるんだ」と思って、それまでダサいと思っていたのに意外にかわいかった。バッグは『MARCO BIANCHINI』。以前下北沢で買ったものです。

――コスメは何を使っていますか?
YUME ベースとファンデーションは『GIVENCHY』、アイシャドウは『Urban Decay』です。友達にアメリカのお土産でもらったのですが、使いやすかった。アイブロウは『セザンヌ』。ドラッグストアで買いました。口紅は『M・A・C』、チークは『Majolica Majorca』です。

“日本酒は、いろいろな人と知り合える”

――日系旅行会社で働いているとのこと。どんな仕事を担当しているのでしょう。
YUME イベントの企画を考えたり、運営や全体の台本を制作したりしています。日本の物産を紹介するイベントも手がけました。私の仕事がきっかけで日本に興味を持ってくれる人が増えるとうれしいし、日中友好に貢献できているのかも、と思えます。でも、つい最近もコロナの影響でイベントがいくつか中止になってしまって。何度かの延期の末の中止は厳しいですね……。以前は休日もないほど忙しかったのですが。でも、仕事自体は毎回ゼロからつくりあげていく感じがあって、やりがいがあります。

――上海では、日本のどんなことに興味を持つ人が多いですか?
YUME 2020年以降旅行できない状態が続いているので、レアなものより定番が再注目されていると思います。温泉、桜、紅葉は鉄板。「いつ日本に行けるようになるのか」という質問もすごく多いです。

――日本酒に興味を持ったきっかけは何ですか?
YUME 昨年、上海で唎酒師など日本酒に関する資格を取得しました。物産紹介関連のチームのなかに一人でも詳しい人がいれば仕事がやりやすくなるのでは、と。今日もここ(※)でこのあとテイスティング会があります。こういう日本酒の集まりが上海にいくつかあって、私は週2回くらいのペースで参加しています。ほかに飲み会や食事会も。各自お勧めの日本酒を持ち寄って、中華などいろいろな料理とのペアリングを楽しんだり。会の雰囲気もいいし、意外な人と知り合えるのがおもしろいですね。

※『柒陸玖酒肆』
(嘉善路140弄1号 ※利用には事前連絡が必要)
日本酒のテイスティングスペース。

ーーYUMEさんみたいに日本酒にすごく詳しい人が上海にいることや、中国人だけで自発的にこういう会が開かれていること、日本では信じてもらえないかも……。
YUME 私は去年からなのでまだ甘いですよ(笑)。今日の先生(黄碩恒さん)は、中国初の女性の酒匠。しかも日本で資格を取っているんです。先生のこれまでのストーリーもすごくおもしろくて。

黄碩恒さんと。

“全国の酒蔵をまわってみたい”

――でも、中国では日本酒はまだニッチな存在ですよね。シェアも酒類全体の1%未満とのこと。
YUME そうですね。JSSが初心者向けの講習会を開くと、私たちみたいな邪魔者(既に日本酒に詳しい人)で定員が埋まってしまう(笑)。でも、最近は日本酒を置くレストランも増えていて、銘柄数も充実してきました。きちんと冷蔵保存するお店も増えています。私が最近好きなのは、澤屋まつもとの『守破離』、『田酒』、菊姫の『吟』です。

――YUMEさんが日本酒を好きな理由は何ですか?
YUME 毎回その場でしか味わえない味であること。飲むまで味がわからないこと。期待と違ったりして、100パー思いどおりにならないというのがおもしろい。そういう、不確定なところとサプライズ感があるところが好きです。

――今後やってみたいことを教えてください。
YUME 以前、日本の酒蔵に行ったとき、現地の人が「中国にこんなにお酒を好きになってくれる人がいるとは」と驚いてくれて、たくさん試飲させてくれました。私も、もっと現地で勉強しておけばよかったと思っています。行き来できるようになったら、日本全国のいろいろな産地で飲んでみたいな。

コロナ前に訪れた
新潟の酒蔵にて。
九州にて。
またこういうふうに、旅できるように
なりますように。

――最後に、日本語が完璧にうまいですが、勉強しようと思ったきっかけは何ですか?
YUME アニメと歌です。大学は、とにかく日本語学部があるところだけを受けました。好きだったから、苦痛を感じずに4年間過ごせると思った(笑)。いちばん好きなアニメは『カウボーイビバップ』です。音楽がすごくいいし、ストーリーもいい。いつ観ても色褪せない作品だと思います。あとは歌。日本語で歌ってみたいと思ったのがもともとのきっかけかもしれません。大学時代はバンドでボーカルを担当していました。『NANA』の影響です。ヴィヴィアン・ウエストウッドのアクセサリーを買ったりして。
(取材日:2022年11月29日)


<彼女のお勧め>

『日本料理・誠』(上海市長寧区天山路1111号現所創邑MIX 2階217号)
☆日本人の友達がやっているお店。中国人の好みに合わせていなくて、日本人の向けの料理を揃えているところ。食材や日本酒の管理がしっかりしているので安心できる。

『石見』(上海市静安区北京西路991号)
☆隠れ家でちょっと高級感がある居酒屋。カウンター席も個室もあって、静かで雰囲気がいい。お勧め料理はタケノコの天ぷら、ぬた和えマグロ、ねぎとろウズラ、鯛のかぶと焼き。

『BISTRO11』(上海市静安区富民路179号)
☆ブランチが有名な洋食店。内装がとてもいい感じで、ゆっくり友達とおしゃべりできる。シャクシュカ、トリュフマッシュポテト、鴨のコンフィがおいしい。いつもブランチなので、次回は夜行ってみたい。

『La Saleya Bar a Vin』(上海市静安区長楽路570弄1号)
☆人気店『Bar a Vin』の系列店で、本店より広め。テラス席もある。女子会とか、友達と何人かで集まるのにぴったり。ワインもお手頃価格で飲めます。

『小粤楼』(上海市長寧区虹梅南路863号万輝国際広場1号楼2階)
☆伝統的な広東料理を出す上海では数少ないお店。お勧めは古法頼布鱔。豚の網のような油でタウナギを包んで調理するとても手の込んだ料理(※要一日前予約)。まだまだ知らない料理があるなと思った。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

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