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視点が思考の始点なり

視点が思考の始点なり

胸が痛い、思わず手を当てる
音が割れるように身体に響き渡る、
体内からブワッと破裂するような感覚 
耳がキーンと鳴る、無音、ホワイトアウト
息を飲む、秒読みで原爆を浴びる擬似体験 
実際はこんなに甘くないと知りつつも
ワナワナと震えが止まらない
ドーンと重い、疲労感に包まれる

知は罪と識る
人は賢くなるほど愚かになってゆく矛盾
賞賛と許しは与えられた側のものではなく、
与える側が恩恵または容赦を

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味方かどうかは見方次第

味方かどうかは見方次第

今SFを撮らせたら随一と称賛されるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が手掛けた、昔から映画化が難しいと言われ続けている、待望の「DUNE/デューン砂の惑星」part2を雨の中ひとり見に行った。コロナ禍に加えハリウッドのストもあり、約半年ほど公開が遅れ、なかなか出掛けてまで見たい映画も少なかったので、久々期待を裏切らない内容で安堵した。エンタメや商業性を超越する思想と世界観、美術・デザイン性で続編が限りなく続

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神性ゴジラ

神性ゴジラ

見ようか見まいか悩んでいたけれど、
ようやく8日(金)の夕方ひとりで出掛けた。
前日に以下の対談を見て、やはり観ておこうかという気になったので、養老先生の言う、能における「祟り神」としてのゴジラを自分も感じられるか見てみたくなった。

山崎監督は核や戦争、天災などそういった「禍」の象徴としてゴジラを描くため、あえて終戦直後に時代設定したとのこと、良心の呵責に自分をせめ病む特攻青年の幻が肥大化し「怪

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社会派バービー

社会派バービー

体調を崩していたため、9月の初めに母と観に行く予定が、1週遅れて11日に独り鑑賞となり、昼上映している映画館がもう博多駅のシネコンではなく、昔ながらの名画座的な中洲の大洋となり、もともとレトロチックな小ぢんまりとした好きな所ではあるのだけれど、ことこのいかにもハリウッドらしいピンク満載のカラフルなアートビジュアルは大画面でこそ味わいたかった。主演の二人の演技には定評があり、その点では裏切られること

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愛しき変わり者たち

愛しき変わり者たち

去る4月26日(月)、久しぶりに自分好みの映画「ブックセラーズ」を観に行った。美しく、時に気品さえ湛えながら、どっしりと落ち着いた表情を浮かべる書籍とは裏腹に、目まぐるしく登場する、ある種独特の近寄り難さを持つ癖者たち。対峙する人より本との距離の方が異常に近い人種。容易く友達にはなれないか、その真逆で奇跡的に気が合うか、いずれにしても本を介するしか術はない。何はともあれ彼らの集めた古書に感心する、

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