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おおのたろうさんのイラストでつくった小皿が焼けるまで

前回のnoteでは、おおのたろうさんのイラストでお皿を制作した想いを記載しました。今回はお皿ができる工程をお伝えします。

※今回のお皿は、
助産師のAmiさん
おおのたろうさん
一誠陶器さん
のご協力で形にすることができました。

一誠陶器さんについて

今回は手書きでお皿をつくりたい!と思い、長崎の一誠陶器さんに伺いました。

今回、手描きのお皿をつくりたいと考えたのですが、
それは、おおのさんと
「孤独になりがちの子育て初期に、色々な人との関わりを感じて欲しい」と話をしたことがきっかけになっています。

三保原屋で取り扱いのある商品の殆どは、
「工場ラインから自動で大量生産されるもの」ではありません。
(↓一誠陶器さんのHPサイトがとても分かりやすく伝えられています。)

どこの工程でも必ず人手が入り、製造のなかで、時には失敗をしてしまう商品もあります。
今回はどんな形で、人の手による作業が行われているのか、一誠陶器さんのご協力のもと紹介をさせて頂きます。

【お皿の作り方】

概要

(イメージをしやすいよう、できるだけ簡単に記載をします。)
お皿をつくるときは

A.形をつくる

B.焼く(素焼き)

C.絵を描く

D.焼く(本焼き)

という工程が行われます。
(もっと複雑な工程が必要なものもありますし、例えば『A.形をつくる』だけでも複数の方法があります。)

今回は特に『C.絵を描く』という工程について詳しく見ていきたいと思います。

①デザインの場所を決める

お皿のデザインが、ある程度均一になるよう、目印をつけます。
この作業も1つ1つ行われています。

②ハンコを押す

お皿のデザインがぶれないよう、ハンコを押してデザインの線を描きます。

③色を塗る(美味しいのポーズ)

お皿1枚1枚に色を塗っていきます。
この時、どんな色味を、どんな順番で書くか?
という工程の違いでも作品に違いがでてきます。

【美味しいのポーズの場合】
胸元についている食べこぼしのシミを描きます。

口元の食べこぼしも描いていきます。

④色を塗る

【寝落ちしている子の場合】
ここからは寝落ちしている子の絵付けを紹介します。

もう可愛いですが、お洋服と、顔も塗っていきます。

ここまで読まれる方も、段々とおなか一杯になってきたと思います。
作り手さんは1つ1つこの作業をしているので、本当に大変だと思います。

★ココを見て欲しい!★

おおのたろうさんのデザインや印象をなるべく崩さないよう、かつ、暖かみがでるよう、一誠陶器さんには細かく頑張っていただきました。

まだ絵柄が決まっていない段階でのミーティング

私は各社工場さんで、本当に毎日働かれている方でしか分からないことまでは想像しかできないのですが、今回お願いした多くは細かいことなので、製造は困難だったと思います。

(オムツはいている子)

⑤銘判を押す

実は今回、色々な方の手が関わっていることをちょっとでも示したい・・と思い、お皿の裏に簡単なロゴを打っていただきました。
売り手は顔が見えることがあるのですが、作り手さんあっての売り手なので、「何か取り組みができたらいいね」と話をさせて頂きました。

3つの顔で、oonoはおおのたろうさん、11seは一誠陶器さん、33hoは三保原屋を示しています。(一誠陶器さんにデザインしていただきました!)

お皿の裏の銘判は、焼き上がりは釉薬がかかり、かなり消えてしまっているのですが・・こんな感じで作業をしています。

⑥全体的に釉薬をかける

陶器の多くには釉薬と呼ばれるガラス質のコーティングがされています。
お皿の表面をガラス質で覆うことで、丈夫で扱いやすくするのですが、ツヤがでるものが多い印象があります。

今回は、おおのたろうさんのインスタグラムのイメージに合わせて、マットな釉薬を利用しようと思いました。
(釉薬のため、製品のお皿の赤ちゃんの髪の毛が非常に目立ちにくくなっています。申し訳ございません。)

↓おおのさんとのミーティング風景

釉薬をかける作業は、水に通すようにサッとお皿全体を釉薬に漬けて行われます。

⑦釉薬を調整する

そして、釉薬が重なりすぎないよう、釉薬を調整するために、④でかけた釉薬をさっと水で流します。

また、お皿の底面の釉薬はベルトコンベアで拭きとります。
更に、④でお皿を掴んでいた箇所には釉薬がかかっていないので、その部分にも釉薬がかかるよう釉薬をつけ、板に並べていきます。

⑧焼いていく

ここまで準備したものを最終的には1200℃以上の高温で、約12時間焼き上げていきます。

焼き上がりはとても熱く、6時間ほど窯の中で冷まし、窯が450℃くらいになってようやく窯をあけることができます。
商品をとりだし1時間ほど扇風機で風をあてて、ようやく商品に触ることができるようになります。

専用の大きな窯で焼くのですが、その日によって天候や気温・湿度、場合によっては窯の状態も異なるので、焼くという工程は、それはそれで非常に難しいものだと伺いました。

また、昨今の電気代、ガス代の高騰により、家庭でも光熱費が気になるところですが、メーカーさんではその比にならないほどのコストアップが発生しております。

【ここでは書けなかったこと】

一誠陶器さんのある波佐見地域は、分業が特徴の陶器産地です。

全部ではありませんが・・
●原材料(たとえば粘土)
●お皿の形をつくる型や機械
●それぞれの工程で使われる道具
●窯を持つメーカーや、窯の調整ができる方
●絵付けの職人さん

どなたかが欠けても、
「今までどおりの商品を」(品質を)
「今までどおりの価格で」
維持することは困難になりますし、既に現実的な問題としてそのようなことは発生しております。

またこのような事実は、各種商品(金物・木製品・竹製品・縫製品)で、各産地で発生しています。

【今回のお皿の絵について】

実は最後まで悩ましかったのが、
・おおのたろうさんがデザインされた赤ちゃんの髪の毛
・皿の裏の銘判(裏のロゴのハンコ)

のこと。

髪の毛や、寝息が薄くなってしまっています。。

マットな釉薬を使うことで、暖かみを出したかったのですが、少し厚みのある釉薬で、どうしても髪の毛の部分と、銘判(裏のロゴのハンコ)が埋もれてしまうという状態になってしまいました。

どうにか次のデザインもやってみたいのですが、お客様の反応や、関係者さんのご協力を得られるよう、三保原屋本店としても日々の説明・販売に力を入れようと思います。

【お皿概要】

こちらでも紹介をさせていただいております。
2024年1月10日(水)に発売予定です。
(2023年12月26日のnote記事アップ時点では、通販にて予約を承っています。)

ご利用について

●サイズ:φ約10cm×h約2.1cm(重さ約74g)
●電子レンジ、食洗器対応。
●直火、IH、オーブンは利用不可。
●割れ物ですので扱いには十分にご注意ください。
●欠けやひび、割れが発生した場合はご利用をお控えください。
●急な衝撃は与えないでください。
●直火にかけないでください、火のそばには置かないでください。

製品の個体差について

●ひとつひとつ手作りでつくられています。
個体差(色合い、形、大きさ、重量、絵具の飛び、ピンホール、黒点など)があります。手書きの風合いとしてお楽しみください。

●赤ちゃんイラストの髪の毛や、お皿裏の銘判が釉薬で見えにくくなっています。予めご了承ください。

●現在、焼き物を筆頭に、厳密にいえば個体差がある商品も、”個体差がないこと”が求められ、キレイな商品が大手を含む小売店舗に陳列されることがあります。その裏で多くの商品が廃棄されていることもあり得ます。今回の商品で製造背景が少し感じていただけると幸いです。

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