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僕らは僕らでした Vol.1 〜ユーカリが丘の民 〜

昨夜中学校からの同級生たちとオンライン飲み会をした。
久しぶりだし(3年ぶりとか10年ぶりとか)、お互い生活スタイルも違うだろうし、海外に住んでいる人もいたから、だいたい2時間くらいかな、って思ったらまさかの8時間もやっていた。

一人はバンクーバに住んでいるから時差が日本と16時間程度。
日本では19時30過ぎからスタートし、終わったのは夜中の4時前だったけれど、あちらは夜中の3時からスタートし、終わったのはなんとお昼の12時前。とんでもないよな(笑)

8時間の間にみんなで涙を流すシーンだってあった。
男の子(40歳すぎてもいつまでも子)同士で、「大切だよ」「会えて嬉しい」と伝え合うシーンなんかもあった。

なんていうか、一言で言うと軽く聞こえちゃうんだけど、とんでもなく幸せな8時間だったんだよな。


ところでみなさんには青春時代と呼べる時期がありますか?


わたしには、「これがきっと青春時代というんだろうな」と思える時期がいくつかあります。その中でも、昨日のメンバーたち(来れなかった子もいたからまた今度)と過ごした時間は、わたしの人生において最大級の青春時代だったと思う。
昨日の再会で心がすごく動いたので、青春時代のことを書いてみようと思う。いくつかにわけて。マガジン化してみます。もしよかったらおつきあいください。



千葉県佐倉市ユーカリが丘


ここがわたしの地元。
「ユーカリが丘ってコアラいるの?」
と何度か聞かれたことがある。
そういう時は大抵、
「コアラはいないけどコアラ号(モノレール)ならあるよ」
と答えてたかな。

そう。このコアラ号こそ、歩くには少し遠い距離で結ばれた街々を繋ぐ導線なのだ。コアラ号は、ユーカリが丘の街をぐるりと一周するようなかっこうでのんびり運行している。
窓からは、緑がよく見えた。高い建物が少ないからいつだって空がしっかり見えた。無駄に広いコンビニの駐車場、交通量の少ない駅までのメイン通り。夜になると鈴虫の泣き声やカエルの大合唱が聞こえてくるだだっぴろい田園。のどかで良い街だ。


ユーカリが丘は結構広い。例えば「知り合いがユーカリが丘に住んでるよ」という人がいたとしても、歩いて一時間かかるくらい場所が離れていたりする。住所に「ユーカリが丘」がつかなくても、最寄駅がユーカリが丘ならば、それはみんなひとくくりで「地元はユーカリが丘」と言う。

わたしが住んでいたのはユーカリが丘ではなくて宮ノ台という地区だった。ミヤノバシという橋があって、その橋がユーカリが丘地区と宮ノ台地区を結んでいるのだけれど、小学生の頃、まるで橋から先は違う国かのように感じていた。たった数十メートルの距離を渡ってしまえば、全然違う場所に行ってしまう気がして怖かった。当時、その橋を一人で渡ることはなかったと思う。


ユーカリが丘地区と宮ノ台地区合わせて、小学校は2つあった。
中学校は私立にでも行かない限り一つの中学校にみんな集結するわけなんだけれど、「どこどこ小学校出身」というのはその人を表す重要な要素だったりした。

ユーカリが丘の方の小学校に通っている子たちは都会っ子。
宮ノ台の方の小学校に通っている子たちは田舎っ子。

子供達の中で、なんとなく2つの学校のカラーみたいなものがあった気がする (あくまで個人の見解です)


わたしは宮ノ台の方の小学校出身だった。
学年は2クラスのみだったから、ほとんどみんな顔馴染み。真面目で素朴な子が多く、昔からその土地に住んでいる子達中心に、町の開発により引っ越してきた、いわゆる転校生(わたしもそう)たちで成り立つ小学校だった。
対する、ユーカリが丘の方の小学校はクラス数も多かった。

この2つの小学校プラスもう1つの小学校から成り立っていたのが、わたしたちが通っていた中学校だった。

入学して数日は衝撃の連続だった。
まず人が多い。
ユーカリが丘の方の小学校出身の子達はやっぱり個性的で活発な子たちが多い。どこか都会っ子ぽい印象もあった。
クラスの中心にいるのはだいたいそんな子たち。
そして、わたしと同じ小学校出身の子たちは見事にその中に埋れた。小学校では目立っていた子たちも、いつのまにか目立たなくなった。

競い合うよりも、みんなで協力し合おう、弱いものを助けよう。
小学校はそんな教育方針だった気がする。
しかし、そんなふうにはいかなかった中学生時代だった。勉強ができる子が多かったのもあったし、お洒落で都会的な子も多くて、そんな中にいると、「自分が人と比べてどうなのか」を嫌でも知らされることになる。


「あぁ‼︎ 自分って本当にたいしたことないな」
と絶望した日もあったあった。
「頑張ってもこの子には勝てない」
を知ったのもその時。


頭の良い優等生がいれば、運動神経抜群のキャプテンがいたり、行儀の良い美術部の部員がいたり、賑やかな女子のグループがいたり、はたまた校舎の裏でタバコをすうような不良グループがいたり、いろんなタイプの子が集まった学校だった。

そして、その中に別々に存在していたメンバーで、20代の前半くらいをともに生きた。


はじまりは成人式だった気がする



「再会はいつなんだっけ?」

と、昨日もそんな話題になった。
たしか成人式じゃなかったっけなぁなんて、誰もうまく思い出せなかったんだよな。
小さい街だから、成人式のあとみんなで飲むのは同じ居酒屋。クラスごとの飲み会を設定してみんな大いに盛り上がっていた。考えてみたら同じ日同じ時間、その居酒屋には、佐倉市が産んだスーパースターの彼も同じく成人式の二次会で来ていたんだった。

とにかく成人式って、二次会が盛り上がる。
初恋の人の話とか絶対盛り上がるし、なんならそこで再縁なんて子もいたと思う。もしくは、当時は何とも思っていなかったけど、成人を迎えきれいになった子を見て恋しちゃうとか、そんなパターンもきっとあったと思う。

ちなみにわたしはその時インディーズデビューをしたばかりのほやほやのミュージシャンだった。成人式もツイストパーマで振袖を着た(笑)

たぶん成人式がきっかけで、遊ぶようになった気がするんだよなぁ。


回を重ねるうちになんとなく固定メンバーが出来上がっていったんだと思う。みんなは大学生だった。UKロックという共通言語を持ち、日本の政治や経済について、そして将来について大いに語り合うような(もちろんそればかりではないけれど)、普通のいわゆる大学生という感じのメンバーではなかった気がする。どこか昭和っぽい人たちだった(笑)
頭のいい人たちだったので、みんな良い大学に入って大学生活を謳歌していたように感じる。
でもそうそう。昨日も話題に上がったのだけれど、大学時代の友人を紹介してくれたり、みんなの輪に連れてくることってあんまりなかったねって。
固定メンバーの顔ぶれが大幅に増えることも、減ることもなかった。
「いつもこれくらいの人数」
そんな感じだったかな。


わたしたちはあくまでわたしたちだけで、小さい王国を作っていたんだと思う。


阿佐ヶ谷のロータリーで缶ビールと缶チューハイ



でも、メンバーの中に音楽をやっている子がいて、ある日、大学の友達とバンドを組んでるんだと教えてくれた。わたしのライブにバンドメンバーを連れてきてくれたり、CDをいろんな人にプッシュしてくれたりしたので、わたしもライブを見に行った。阿佐ヶ谷のライブハウスだ。

わたしは当時、メジャーデビューの準備期間中だった。
日々、プロデューサーや事務所の方達など、いわゆる「大人の方達」に囲まれた生活をしていたので、同い年の子たちのバンドっていうのがすごく新鮮だった。「どんな風なんだろう」とワクワクしながら、と、同時に一人だったので緊張もしながら、ライブハウスの扉を開けたんだった。

ステージ上の彼らは楽しそうだった。見にきていたのも彼らの友達やが多かった。音の波に体を揺らし、MCではツッコミが入ったり、好きな曲が始まると歓声が飛んだり。

閉鎖的で密集したその空間がとんでもなく楽しそうで、自由に見えた。それでいてうらやましかった。


終演後、阿佐ヶ谷の駅のロータリーでバンドメンバーの子も含めて語り合った。あの光景は今でも覚えている。熱っぽく音楽を語った。彼らはわたしの活動を知りたがってくれたし、どんなふうに曲を作る?どんなふうにライブをする?など、逆にわたしも質問したり、時には、それじゃだめだ、もっとこうしなきゃ。なんて本気で議論する場面もあった。
次の日も仕事だったし、ライブを見たらすぐに帰ろうと持っていたのに、気づいたらその場所に数時間いた。彼らは缶ビール、わたしはたしか缶チューハイだったかな。当時は缶チューハイ1本を飲みきるのもやっとだったから、何時間でもいれたんだと思う(今じゃ数分で飲み干す)

同い年の子と話す時間は、わたしにはあまりもキラキラした時間に感じた。ドキドキもワクワクも、ものすごくした。

夏前だった気がする。
何本も中央線が走り去っていくのを見ていた気がする。



そして、その時初めて話して意気投合したベースプレイヤーのT君が、「地元の仲間のバンドメンバー」という関係性から、大親友という関係性に変わることになる。

不思議なんだけど、地元のメンバーで結成された仲良しチームの中に、一人だけ地元が違うT君がずっと一緒にいるようになる。
昨夜のオンライン飲み会のメンバーにもいた。
私たちが地元の話で盛り上がっていても、

「いいんだよ、話して話して、聞いてるのだけで楽しんだから」

と言ってくれるような人。

不思議だな。出会いって。



どのご縁が一生ものになるのかなんて、知る由もないことなんだな。




つづく。










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