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里帰り出産をした時のことを娘に話したら。

今から22年前、私は里帰りをして娘を出産しました。
「里帰り出産」です。
先日、その時のことを娘に話しました。

当時、私の出産する数ヶ月前に、地元の同級生が第一子を出産しました。
そのお友達が出産した病院の先生が、とてもいい先生だよ!と言っていたので、
その病院にお世話になろうと決めた記憶があります。
結婚してすぐに千葉で暮らし始めて、妊娠が分かった時に診てもらった産婦人科の先生は女医でしたが、とっても怖い先生でした(笑)。
当時は、今と違って出産に関する公的補助なんてない時代でした。
分娩費用は一部助成がありました。)
結婚して「さて稼いでブライダルローンを返すぞ!」と思っていた矢先に妊娠。
母に妊娠を伝えると、
「絶対に、産みなさいよ!」
と30歳の私は念を押されたのを覚えています。
健診費用の捻出に苦労したっけ。

健診でその女医の先生に会うのが怖かったことも、里帰り出産を決めた一因です。
途中から病院を変える勇気もなく、そのまま怖い先生にお世話になり、出産の予約をしてもらいたいと話が出たときに里帰りで出産予定ですと告げました。
すると、ますます態度がきつくなりました(笑)。
健診の経過は母子手帳に記録していましたが、特に分娩予定の病院には伝えることはないので、早めに予定の病院を受診してください、とのことでした。
出産は保険診療(病気ではない)ではないから、当たり前ですが、
機械的と言うか、冷たいなぁと寂しく思いました。

言われた通り、一度帰省し、病院を受診。
同級生が言ってた通り、優しい男性の先生でした。
看護師さんや助産婦さんも優しい方ばかり。

里帰り出産を選択して良かった、とすぐに思いました。
ですが、なんせ初診なので、血液検査から何から全部検査をしました。
里帰り出産は、その分お金がかかります

里帰り出産と言っても、実家は田舎なので車で1時間かかる病院です。
千葉でお世話になっていた産科は電車で1駅、それも駅前にありました。
実家では何かあったら、大変かもなぁと。
でも田舎に住む同級生は、皆そうして出産しているんだし。とあまり気には止めませんでした。

私は高校時代から実家を離れて生活をしていたので、親元で一緒に暮らすのがとても新鮮でした。(独身時代一度実家に戻ったことがあったがすぐにまた出た)
母親は一人っ子でおまけに離婚していて、祖母と暮らしていました。
そんな実家に私はずっと甘えられずにいたのですが、
里帰り出産では、大いに甘えさせてもらいました
本当に、ありがたかったです

予定日よりまだ早かったある日の夜、トイレでおしっこが止まらないのです。
母は友人宅に出かけていて、祖母に様子を見てもらったら、
「これは破水だ!」と祖母。
病院に連絡したら、すぐに入院の準備をしてきてくださいと。
土曜日の夜中でした。
急いで母の携帯に連絡しても通じず、親戚の人に運転を頼んで、
土砂降りで雷が鳴る中、病院に向かいました。
途中、母と車ですれ違い、やっと連絡が取れ、
親戚の人と車を交換。
なんせ1時間かかるから、急ぎました。

病院に着くと、看護師さんが、
「赤ちゃん、雷でびっくりしちゃったかなー。」
「低気圧の時は、出産が多いんですよ!」
と穏やかに話してくれて安心しました。
陣痛が定期的にやってきて、痛くない間にトイレやら食事やら。
夜中に入院し、知らせを受けた夫は大雨の中、朝方到着
寝ていない母と夫が交代。
母は家に戻り仮眠を取り、また病院へ来てくれました。
私の陣痛はだんだんキツくなり、寝ていない夫と母が交代。
母は、ずっと私の腰をグーで押してくれました
ずっと時計を見ながら。私の陣痛のリズムを見ながら押してくれました。

出産したのは、入院した翌日の日曜の夕方でした。
破水から約18時間後
出血が多かったので、私は立ち上がれず、車椅子での移動。
とにかく、眠かった
前日から陣痛で眠っていなかったから当たり前です。
なのに母は、アイスクリームや甘いお菓子をたくさん買ってきて、
「食べなさい、お腹が空いたでしょ!」
と。
母は、自分が私を出産したときに、すぐお腹が空いた記憶があったため買ってきてくれたのです。
でもその好意は出産後の私には、全く好意ではありませんでした(笑)。

出産後、私は約2ヶ月ほど、実家で過ごしました
甘えさせてもらいました。
出産してしばらくは、まとまった睡眠が取れないですよね。
出産で腰は痛いし、全身筋肉痛だし。
なので実家でご飯が出てくるのは、本当にありがたかった
そして私の祖母にとってひ孫である娘の誕生で、
祖母は、娘の沐浴担当となりました。
私は実家で、一度も娘を沐浴させていません(笑)
力のある祖母が、喜んで率先して沐浴してくれました。
母は、おむつを買ってきてくれました。
そして母好みの可愛いベビー服を見つけては、衝動買いしていました。
すでに私の妹が先に出産していたので母に孫はいたのですが、
妹は里帰り出産をしませんでした。
里帰りしたのは、私だけだったのです。
だから余計に、母も祖母も嬉しかったのかもしれません。

実家にいる間は、近所や親戚の人たちも、
娘に会いたくてよく遊びにきてくれました
娘の泣き声を聞いて
「乳が張るようだね」とおばちゃんたち(笑)
赤ちゃんの前では皆笑顔で、楽しい話しかしません
娘のために、おっぱいが出るように食べなさい、と、
私に食べてもらいたいからと色々持ってきてくれました。
地元の同級生も、娘を抱っこしてくれたり、
お祝いを持ってきてくれたり。
妹も幼い子供二人を連れて、遠方から遊びにきてくれたり。
血の繋がりって、小さな子でも分かっているようでした。
娘のいとこにあたる二人は、よく面倒を見てくれました。

里帰り出産をして、その後しばらく実家で過ごして、
当時の私は、出産育児で自分のことで精一杯でしたが、
こうして振り返ると、たくさんの人に助けられて、
甘えさせてもらって、とってもありがたかったなぁと。
いわゆるマタニティブルーにもなり、些細なことが気になって泣いたりしました。
母との育児の考え方の違いで悲しくなったり
きっと「気にするな」との思いで言ってくれたんだろうけど。
でも結局、「自分が思うやり方でやりなさい」と言ってやらせてくれたので、
今思うと本当にありがたかったなと思います。

今、核家族が多い中(我が家もそうですが)、
赤ちゃんの時だけでも、色んな人の助けを借りて過ごすことができて
良かったなぁと感じます。

それは、母親になった自分が穏やかに過ごせることで、
赤ちゃんにも良い影響があるんだろうなと感じました。

全てを他人任せにするのは、私はしたくありません。
でも、大変な時はお互い様なのです
出産は、一大事です。
出産だけでなく子育ても、自分一人でなんとかしなければ、と思わなくていいと思います

里帰り出産をして、みんなに可愛がってもらったんだよ!
ありがたいことだよなぁ。

と、娘に話しました。
すると、娘曰く、

「皆さんに可愛がってもらった分、皆さんに喜んでもらえたってことかな。」
「私、生まれてきた甲斐があったね。」

おっしゃる通りです(笑)。


最後までお読みいただきありがとうございました。







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