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ベビーシッター


カナダに来て一年と4ヶ月が経った。
元保育士という事もあり、様々な園にボランティアに行ったりベビーシッターという経験もする事ができた。
日本ではあまり主流ではないベビーシッター。
この仕事を通して感じたことをここに残しておきたい。
私がお世話をしているのは1歳なりたての男の子、そして休日行った時は4歳の女の子も同時にお世話をしている。
やることは、食事の援助、オムツ替え、お昼寝の援助、そして一緒に遊ぶこと。
保育士は多人数を相手にするため、1対1でみるということは中々経験がなく新鮮であった。
私の中で驚いた事は、お母さんの労働力は想像をはるかに変えている事。まま業は宇宙一大変な仕事なのでは。と何となく分かっていたものの改めて衝撃を受けた。

私が面倒をみる間、お母さんは自分の部屋にこもり、家の書類整理や、子供達のアレルギーの検査のこと、スケジュール組み立てなどをやっている。初めて会った時は、”もうヘロヘロなの”とノーメイクにパジャマで、自分の事は全て後回しにし、疲れ切っている。という様子だった。というのも、4歳児の女の子は生まれながらに自閉症で発達の遅れがありまだ話す事ができないため、特別な支援を必要とする。なので頻繁に病院や支援センターなどに行き、手がいくらあっても足りない、ということでベビーシッターを探していたそう。
子供達以上にお母さんが心配で仕方なかった。


私は初担任をした年、自閉症の男の子を担当した事がある。その子にも小さな妹がいて、全く同じ状況だった。その子が園にくる日は1人専門でつく先生が必要になるため、土曜日のお預かりや長期休みのお預かりは、お母さんが休みの日はなるべく受け入れられない。という形になっていたのだ。
私は家庭の大変さをその時は全く理解していなかったため,お母さんの気持ちを分かりきれていなかったのだが、、
今、ベビーシッターという家庭側を体験し、
休みだからこそ母親には安らぎの時間を与えるべきだ。そしてベビーシッターや家庭への援助ができる取り組みをもっと増やしていければ
どれだけお母さん達のストレス、負担が減るか。

保育士は中々家庭のことを理解しきれない。特にまだ家庭を持っていない若い保育士。

カナダでは学校卒業までに数十時間のボランティア活動を行う。という制度まである。

社会に出る前に多くの学生が日本でも社会に触れるボランティアに参加できるようなしくみを
学校側に提供してほしい。保育学生にも家庭側を見る研修等を取り入れてみるのも良いのではないかと思った。様々な課題はあるだろうが、
私はベビーシッターを通して、また一つ保育士として、1人の人間として大事なことを知り,
私の人生にかかせない経験となったのだ。

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