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そこはかとなくゲーム的な翻訳会社

これ、ゲーム翻訳ではなく、翻訳会社の発注・作業・能力評価システムのことです。

昨年の夏から、ある海外の翻訳会社の仕事を引き受けているのですが、ここには特定の案件の翻訳チームの一員として依頼される仕事の他に、Open Projectsという公開案件があります。

この会社の場合、翻訳チームの一員としての依頼もOpen Projectsも、基本的には早い者勝ちのシステム。時差の関係で日本時間の夜遅くから真夜中にかけて新しい案件がアップされるため、気づいたときにはもう他の人が作業中なんてことも多々あります。

逆に、他社の大型案件を抱えていて時間的余裕がないときに、多数のプロジェクトが残っていてPMから泣きのメールが入るときもあって、仕事になるか否かは運次第。

さらに、納期が作業開始から30分、数時間、数日と、ワード数と作業内容で決まっていて、すべて案件ページからオンライン上のCATに飛んで作業するため、引き受けた途端に納期までのカウントダウンが始まります。

この会社の最大の特徴は、登録翻訳者の実力を4段階のステータスで評価し、1か月間の最低受諾案件数、最低翻訳ワード数、ステータスを維持するための能力評価の最低ポイントがステータスごとに設定されており、これが自分の能力評価ポイントと共にマイページに表示されます。

そのため、この会社での自分の立ち位置が非常によくわかります。他の翻訳会社とは異なるユニークなシステムですが、ゲームちっくなこのシステムも慣れると使いやすいと思うから不思議です。

ただ、問題は翻訳者のステータスを決定する内部レビュー。この内部レビューは合計43本の案件を納品して初めて行われるのですが、「内部レビュー担当の翻訳者の質が低い」と、翻訳者フォーラムで以前から問題になっています。

私も例に漏れず、最初の内部レビューが行われた2月以降、重箱の隅を突っついたマイナーなミスでステータスを落とされる→戻る→再び落とされる(現在ここ)という状態。

最初は「マジか?」と青くなっていましたが、今では「ああ、また下げたいのね」と異議を唱える気すら起きません。

ステータスが下がると、最低受諾案件数も、最低翻訳ワード数も、Open Projectsにアップされる案件数もガクンと下がります。それを防ぐために「案件の大小にかかわらず何でも引き受けて、完璧な翻訳を目指してくれ」というのが、この会社の言い分。

ただ、最低受諾案件数は、どのステータスでもこの会社の仕事を毎日数本以上こなさないと到達できない件数ゆえ、他のクライアントも抱えているフリーランスにはけっこうキツイものがあります。

とはいえ、この会社の案件ジャンルは多岐にわたっていて、他の翻訳会社からは打診されない内容も多いので、この先も時間のあるときにはなるべく引き受けるようにしたいとは思います。

重箱の隅を突っつく内部レビューであっても、見落としたマイナーミスを気づかせてくれてありがとう的に、ポジティブに解釈すればストレスもなくなります。

それに、今回ステータスが下がったおかげで、最低受諾案件数が40~50本減ったため、他のクライアントの仕事に集中できる余裕ができたので良しとします。

不快感からプラスのものは何も生まれないので、何事もポジティブに捉えるのが吉ですね!






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