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子どもにまつわる本音−仕事編

違和感を感じたのは、Netflixで、ONE OK ROCKのドキュメンタリー、「Flip a Coin」を見ていたときのことだった。

コロナ禍に、バンドが自分たちの「すべて」をかけ、命がけで挑んだライブの真っ只中、

その舞台裏では、出産を控えている1人のメンバーの奥さんがいた。

おそらく、番組の中でコロナ禍での「希望」の象徴のように描かれたいたその赤ちゃんは、無事この世に生まれてきて、

ライブを無事終えたメンバーが、達成感で満たされた顔で、幸せそうに赤ちゃんと対面する、というシーンがドキュメンタリーの最後に流れた。

そのとき、私の中で、小さな、でもくっきりとしたもやもやが生まれた。

この人が、男だからだ。

このひとが、命がけで自分の人生のすべてをかけたライブを成功させて、キャリアの頂点を築いている傍ら、

待望の赤ちゃんに出会えているのは、

そしてそれが同時に行えているのは、

このひとが、男だから。

女の人は、それが、絶対にできない。

−−−

以前、こんな記事を書いた。

そのときは、「夫婦」に焦点をあてて、

子ども持つことへの気持ちを書いたのだけど、

今日は、自分の「仕事」について焦点をあてて書きたい。

−−−

わたしは仕事が大好きで、

仕事に誇りが持てていることが、自分の人生ですごく大切なことで、

その仕事を失ってしまうことが怖い。

仕事への挑戦を、子どもがいることで諦めてしまうことも、

それを子どものせいにしてしまう感情が生まれてしまうかもしれないことも、

すごく怖い、と思っている。


妊娠、出産をすると、どうなってもキャリアを「一旦停止」することになる。

わたしはフリーランスで日本語教師という仕事をしているから、

収入もなくなるし、戻れる保証もない。

何年もいっしょにレッスンをしてきた学生たちも、

他の先生に引き継ぐことになる。

「それはフリーランスの宿命でしょ」と言われたこともあったのだけど、

男性であったら、フリーランスであっても、ほとんど何も失わずに、我が子を手にすることができるんじゃないかと思ってしまう。


高齢出産は嫌だから、子どもを持つなら早く持ちたい。

「子どもがほしいから、仕事はセーブしよう」と思って、

新しい挑戦もせず、そこそこの仕事をしていたこともあった。

だけど同時に、

「子どもが生まれたら、しばらくは新しい挑戦をすることが難しくなるかもないから、今のうちにやりたいだけ挑戦してコネクションも増やしておこう」

という気にもなって、

それで仕事に力を入れてみると、

今度はどんどん仕事が楽しくなって、仕事をもっと頑張りたくなってしまう。


いつか子どものときに夢見ていた母親は、

「妊娠・出産は大変そうだけど、数ヶ月は仕事を休んで子どもと過ごせるんだ。それって最高だな。」

なんて思ったけど、

仕事が好きで、仕事をやりたい場合は、一体全体どうすればいいのだ。


キャリアへの大きな変化を避けながらも子を持てる男性は、ずるい。


「仕事が落ち着いてから考えたら…」なんて言うけれど、

仕事なんていくらでも楽しくできるし、

つまらなくなったら、楽しくしようと頑張ってしまうし、

つまりはどんどん楽しくなるに決まっているし、

仕事を頑張れば頑張るほど、

好きになればなるほど、

子どもが入る隙がなくなっていくような気持ちになる。


子どもがほしいはずなのに、ほしい気持ちになれない。


この気持ちは、一定の女性たちも同じように抱えているものなのだろうか…?


いつかドラマで見ていた、キャリアと出産に悩む女性たちは、

こんな気持ちなのだろうか。


あのバンドメンバーのように、

キャリアを築くことと、子どもを持つことを、どちらにも、すべてをかけて全力でできたらいいのに。

一世一代をかけた挑戦と、出産が、同時にできたらいいのに。


自分は、子どもがほしいはず、

そのはずなのに、

なんで、

なんで心から思えないんだろう。

どうやったら心の底からそう思えるんだろう。


わたしは家族が何より大事だ。

今だって仕事よりも家族を、旦那を大事にする。

それは今ここに「家族」が存在していて愛しているからだ。

まだ存在しないものをどうやったら仕事よりも愛せるんだろう。

わたしはどんな状況になって、どんな気持ちになれば、納得できるんだろう。


答えも結論もないんだけどね、

そんなことを、この2年、ずっと考えてる。


そして、わたしの場合、

これからどんなに考えても、どんな状況になっても、

答えは出せないんだろうな、とも思っている。

だから、考えたことだけ、

ここに残していくよ。


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