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あと80年もあるんだしさぁ

「おばあちゃん、長生きしてね」

毎年訪れる祖父母の誕生日の手紙にはそう書いていた気がする。

でも、いつからかその言葉を書くのをやめた。

おばあちゃんが、歳を重ねるたびに「あんまり長生きしてもねぇ」と言うからだ。

おばあちゃんはもう歳も歳なので、すでに兄弟を何人か亡くしている。友人もそうだ。最近では、新しい出会いよりも永遠の別れのほうが多いと思う。

そのたびに、おばあちゃんは悲しむのではなくこう言う。

「良かったねぇ」

と。

安らかに眠れて良かったねぇ、ということなのだろうが、生よりもどちらかというと死のほうが近くなってくると、そういうふうに捉えるようになるのかもしれない。

そんなおばあちゃんは長生きをしたくない。

もうこれ以上看取るのは嫌だからなのかもしれない。

でも、長生きしたくないと言いつつ結構生きている。

ピンピンしているおばあちゃんを見ながら、今は薬も医療も進歩しているから、きっとわたしはもっと生きてしまうだろう、なんて考えてしまう。

たぶん、100歳くらいまで生きちゃうさ。

ところで、たまにわたしは人生相談を受けることがある。

「年齢を理由に転職エージェントに拒否された」

とか

「もう◯歳なのに異業種転職していいのかな」

とか

「20代のうちに結果出さなきゃ」

とか。

それを聞くたびに思う。

「えっ、あと80年もあるじゃん!」と。

人生はまぁまぁ長い。お父さんはまだまだ引退の気配はないし、おじいちゃんだって現役で農協の仕事をしている。お母さんは子育ての目処がついてからは新たな商売をしようと企てている。

全然余裕っしょ!!!!!

写真家の西本喜美子さんという方がいるが、彼女は72歳で初めてカメラに触り、今やフォトショを使いこなして個展を開催するまでの腕になっている。

何を始めるにも遅いことなんてないさぁ。

…となるとあとは気持ちの問題だと思う。世間体なのか、自分への免罪符なのかわかんないけど。

一つ言えるのは、「何歳でも頑張れば何とかなるんじゃない」ということだ。

「あと80年もあるから大丈夫さぁ」

この言葉、さらりと言うと「ポジティブシンキングすぎるやろ!」と爆笑されるけど、結構勇気になるみたいだからぜひ使ってみてほしい。

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