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#それでもスポーツで生きていく・#9

~本論【第4章】
スポーツ界のオペレーショナル・エクセレンス(SportOPEX)の実現へ

こんにちは、スポーツエッセイスト・岡田浩志です。

第6回の投稿から、第1章、第2章…と順に章の冒頭文を書いてきています。今日は、第9回ということで第4章です。

表題に「オペレーショナル・エクセレンス」と見慣れない表現がありますが、それは後程、また解説をしたいと思います。

≪ 自立のための5つの行動原則 ≫

1. 存在すること自体に価値を認める
 (Being Management)

2. 本心からやりたいことだけをする
 (気の進まないことはしない)

3. 過去と決別して今ここに集中する
 (今できることに専念する)

4. ダメなことを理由に頑張らない
 (高すぎる理想を掲げない)

5. 内面の想いと表出行動を一致させる
 (インテグリティを持つ)

( ※今回、4.の表現をブラッシュアップしたことをお知らせいたします。)

精神科医の先生からの最大のアドバイス

このスポーツエッセイの着想が、自身のうつ病経験にあることは、これまで何度もお伝えしてきた通りです。

その経験のなかでも、通っていたメンタルクリニックの先生からのアドバイスで、一番発想の大転換になったのが、この『ダメなことを理由に頑張らない』でした。

正確にはこのような文脈で伺った内容です。

岡田「今回、病になって時間もたくさん出来たので、トレーニングジムにでも通おうか、と考えてます。頑張りが比例して目に見え易いし、いいかな、と思いまして。」

先生「いや、岡田さん。今の段階では新しいことにチャレンジすることはお止めになったほうが宜しいですよ。思いのほかできなかった時に落ち込むことになりますので。」

岡田「そうなんですか…」

先生「ええ。それよりも、自分がダメという理由で何かを頑張ることは絶対にお止めになってください。特に、今までやったことないことは尚更です。」

このお話のやり取りは、とても記憶のなかに強く残っています。聞いた当初は腑に落ちていなかったのですが、後になればなるほど、重要な原則と思えてきました。

うつ病には、症状の浮き沈みがあるので、「頑張れそう」と思うタイミングがあります。僕の場合は5月の気候が良かった頃に、一度寛解したような感覚がありました。

そこでウォーキングの負荷を一気にあげてしまい、16~20kmの道のりを4日間毎日歩き続けたのです。(※時に山頂までの登りを含めて20kmという日もありました。)

すると、見事にその後、立ち直れないほどの反動が返ってきました。

こうなると今度は「できないことを責めるサイクル」に入ってしまい、回復を遅らせる結果に。事態が長引くツラさも重なりますから、『頑張らない』ことが大事なのだとつくづく思うようになります。

「頑張る理由」が「ダメだから」は一番ダメ

「好きだから頑張る」ことは何の問題もありません。『ダメな自分を克服する』『嫌いな自分から生まれ変わる』ための頑張りは、一番危険な頑張りです。

仮にそれが実ったとしても、そのような頑張りは、また次の理想像(競争相手)を自らが自動的に作り出すサイクルになり、際限なく「至らぬ自分」との戦いを生み出すことになります。

言うなれば「回転する籠の中を駆けるモルモット」の状況を産み出してしまうため、常に自分に達成感がなく、無限の疲労感を身に宿すことになります。

僕自身も45年間、この思考回路で生きてきましたから、布団から起き上がれなくなるほど心身が消耗するのは無理もない、と納得したのでした。

高すぎる理想は現場の心を折る

僕はサッカーの仕事に長く携わってきましたが、リフティングもろくに出来ない自分が、サッカー日本代表のキャプテンを目指したり、歩いただけでもこの世の終わりのような反動が来る状況で、オリンピックのマラソンを走るような目標を設定することはありません。

これが組織の問題となると、生産現場の状況をまったく省みず、高過ぎる目標値を設定して、現場の腰を折る経営者はこれでもかといます。

これは、なにかを形にする上で、現場の必要人工をイメージできない経営者が犯しがちな誤りです。

オペレーショナル・エクセレンス(OPEX)とは

【第4章】の表題にも挙げたこのキーワード。こちらは日本の経営学の領域において、現場(オペレーション)に着目し、多数の著書を書かれている早稲田大学教授・遠藤功先生が提唱している概念です。

理念を形にする機能を担っているのが現場ですので、この領域の理解なくして、適切な理想や目標値を設定することは困難かと思います。

オペレーショナル・エクセレンスとは、業務改善プロセスが現場に定着し、業務オペレーションが磨きあげられ、競争上の優位性にまでなっている状態のことを言う。企業の競争源泉の重要要素として位置づけられることもある。企業戦略の一つとしてとらえることもできる。OPEXと略すこともある。
オペレーショナル・エクセレンスを達成している企業として、トヨタ、マクドナルド、花王、ヤマト運輸、セブン-イレブンといった企業、海外ではGEやフェデラル・エクスプレスなどが挙げられる。
ーWikipediaより

スポーツ界には「現場の研究者」がいない

スポーツマネジメント研究の世界では、組織論や経営戦略、消費者行動の研究はあまたあるのですが、現場(オペレーション)の研究については、充分な蓄積がなく、トヨタやマクドナルドのように、オペレーショナル・エクセレンスを意図して達成しているスポーツ事業者が、存在しているとは言い難い状況にあります。

僕の今後の連載では、スポーツ領域のオペレーショナル・エクセレンス(SportOPEX)を追及し、現場領域での動向などもフォローしていきたいと考えています。

今日はスポーツエッセイストの側面だけでなく、以前トライアルしていた研究面の話も引っ張り出してきたのですが、連載を通じて僕自身も主張の精度を高めていければ、と考えています。

スポーツエッセイスト
岡田浩志

『みるスポーツ研究所』では、「それでも、スポーツで生きていく」皆さまの取り組みにもっと寄り添っていけるよう、随時サポートを受け付けております!