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学校ナッジ「廊下を歩く文化」の作り方③【行動経済学×生徒指導】

前回のあらすじ


前回の記事では、
「全校生徒へのオリエンテーション」の内容を
まとめました。
文化の土台となる考えを
教師がしっかりと据えるイメージです。
今回は、第3弾して
【生活安全委員会の組織づくり】
焦点を当てていきます。
ナッジ好きの方のために、
今回はかなり具体的に解説していきたいと
思います。

「廊下を歩く文化」の作り方マップ

①校長への打診↓
(まだの方はこちらからご覧ください)

②全校生徒へのオリエンテーション↓

③生活安全委員でナッジ組織を発足【本記事】
④月末に集計した歩行データの使い方
⑤委員会でデータを解析し、調整を図る

③生活安全委員でナッジ組織を発足

オリエンテーション後、
いよいよナッジを行う生活安全委員会の
組織づくりに取り掛かります。
この組織づくりの過程にも
ナッジを施していきましょう

1:活動の意義を高める(ソーシャルプルーフ【社会的証明】)

ソーシャルプルーフ(社会的証明)とは、
多くの人がとっている行動を
正しい行動だと見なして、
社会課題解決に向けた
行動促進を図ろうとするものです。
「廊下を歩く文化」をつくることが、
学校で改めて必要とされている活動であることを
価値づけましょう。
同時に、全国的にも困難な課題であることも示し、
教員だけでなく、
子どもも一丸となって考える需要を
真剣に伝えましょう。

2:ナッジの具体例を紹介(インセンティブ【報酬】のイメージ)

意義を伝えた後は、委員会のメンバーに
ナッジとは何かを、
スライドで具体例を提示しながら話します。
ナッジを行うことで得られる
インセンティブを知り、
気持ちを高めることを狙いとします。
オススメはスキポール空港の小便器に
ハエのステッカーを貼ったナッジの紹介です。
(汚いかもしれませんが、大切なナッジです)
公共のトイレの小便器に
ハエのイラストのステッカーを貼り、
利用者がそのポイントを狙うように
ナッジしたことで、
飛散による汚れは80%も減少し、
清掃コストを20%(1億円)以上も
削減できたのです。
ポイントは数字で成果を示すことで、
より強く印象に残ります。
そして、
机のマークやスリッパ置き場のマークについても
説明し、
実は学校にも多くのナッジが
潜んでいることを伝えます。
ナッジを成功させることで、
人々の行動を良い方向に導ける成功のイメージ
文化を生成するワクワクを共有しましょう。

3:役割決定と目標決定(選択のアーキテクチャとコミットメント)

部署を複数提案し、選択させます。
(選択のアーキテクチャ)
役割を選ばせる場面自体は、
よく学校現場で見られますが、
部署は必ず子ども自身が決める必要があります。
強制が働いた場合、ナッジは成立しなくなります。
部署に人数制限などは求めず、
とにかく「廊下を歩く文化」を
作り上げることを大切にし、
子どもと対話しましょう。
0人の部署は潰して構いません。
もし誰も入りたがらない部署があるということは、
こちらのアーキテクチャが悪いということです
ここは試行錯誤をするしかありません。

以下に部署の例をあげておきます。
参考にしてください。
・ キャンバで図解ナッジを考える図解部
・ 新しいナッジを生み出す企画部
・ 集計したデータを見やすくしたり、分析したりする分析部(掲示までお願いする)

部署が決定した後、
それぞれの部署で、廊下歩行データを
現状からいくつまで引き上げるか、
目標数値を決めさせ、発表させましょう。
(常に歩いている人が4月時点で50%なら3月で80%まで・・・など)
これをコミットメントと言います。
人間は一度、ある態度をとると、
一貫性を保ちたがるという理論です。
なので、こちらも
教師が数値を決めてはいけませんが、
「本当にそれぐらいでいいの〜?」など
少し問いかける分には全く問題ありません。
最終的に、
この数値を達成することが大切なのではなく、
この数値を達成するために試行錯誤するプロセスに
大きな価値があることを、心から伝えましょう。

やっぱり教育ナッジで大切なこと

正直、どこかで聞いたことのある理論ばかりかも
しれません。
しかし、ナッジを
「教師のため」に使うのか
「子どものよりよい意思決定を促すため」に使うのか。
そこには大きな差異が生まれます。

何度も記事でお伝えしますが、
私がナッジを広める理由は、
「ナッジ」というフィルターを通して
考えることで、
目的を意識することの大切さを訴えることができる
からです。

決して楽ではありませんが、
目的を意識しながら教育を行えることは、
何にも変え難いよさを秘めていると思います。

次回は ④月末に歩行データをフォームで集計 についてです。
集計したデータの使い方を書きたいと思います。


そうじナッジ↓

サポートナッジ↓

あいさつナッジ↓




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