お見舞いに行ってきた。

病気の診断をされてから毎回別れ際に握手をしている。

なんとなく、触れておきたい。という気持ちがある。

不思議だよね。元気だった頃には握手なんて滅多にしないのにさ。

相手もなんか元気が出る。って言ってくれるんだ。

それまた不思議だよね。でもこっちは握手くらいで元気が出るならお安い御用だって思うんだ。

今回も帰る時握手をした。何気なく。でも力強く。

初めて、「離したくない」って言われたんだ。

私は涙もろいし、心配性だからなるべく悪いことは考えたくないし、考えないようにしているけど

その時、ああ、そういう感情になるんだって思った。

私たちはこっちの感情しか知らないんだよ。

おそらく多くの人がそうだと思う。残る側の気持ちしか知らない。

会えなくなる、話せなくなる、触れられなくなる。だから寂しい、悲しい。

でも

「離したくない」って言われた時に、私、同じだ。って思った。

それでやけに腑に落ちた。そりゃそうだよなって。

会えなくなる、話せなくなる、触れられなくなる。だから寂しい、悲しい。

これって同じなんだよね。

ただ、当たり前だけど違うこともある。

私よりもずっと怖いかもしれない。ということ。

境遇を共有できる人がいるというのは救いだ。

こっち側にい続ける私たちは共有することができる。

でも、対するは一人だ。しかも待ち受けるは未知。

どれほどの思いを抱えているのか計り知れない。

これから何が私にできるかわからない。正直力になれているのか謎だ。

ただ、自分の気持ちだけを見つめて、どう向き合っていくのか考えるのではなく

もっと気持ちごと相手に寄り添っていきたいと思ったんだ。

綺麗事かもしれないけど、寄り添う気持ちを持つという意識だけでも変わるはず。

会える時間を大切にしていく。

そして毎回、力強く握手をしようって思うんだよ。