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【読書記録】世界音痴/穂村弘

 以前、穂村弘さんの本を読んだ時に
「あ、この人好き」と思ったのだが、
以前読んでから次を読むきっかけがなく、数年経ってしまった。
やっぱり好き。

短歌といえば、国語の授業でいくつか触れただけで
造詣は深くない。
だから短歌の良し悪しはわからないのだけれど、
穂村さんの文章の空気感が好き。
そして、その感覚。
もう結構なお年なのだけれど、
その感覚はすごく共感できる。
世界と自分との間の、たまに感じる違和感。
みんながスマートにできることを自分はできないことへの
不安。
ああ、分かります。
「自然な」大人になれない、という感覚。
洋服屋で緊張してしまう感覚とか。
試着していかがですか、と聞かれて「いかが」か分からない、とか。
すごーくよくわかる。
私も一人で行ったら試着なんて到底できない。
「いかが」が何か分からない。

先日、娘と近所のデパートに用があって
出かけたら、娘が「ちょっとうろうろ見ようよ」と言った。
私は用事が終わればすぐにでも退散したいのだが、
娘は「ママのお洋服見る?」と聞いてくる。
え、ウィンドウショッピングとかいうやつ?
「ママのはいいよ。(お金もないし)」と答えて
「じゃあ、○○(娘の名前)の服見るー」とウキウキと
子供服売り場へ行く。
焦った私は「今日は買わないからね。お金ないし」と念を押す。
(ここら辺に大人の余裕がない)
娘は目についた服を手に取って
「これ、可愛いー。ねえ、試着していい?」と聞いてきた。
「え、買わないよ?」
「わかってるもん。試着したいだけ。」
買わない服を試着するという考えのない私は
恐れ慄き、
「え、試着して店員さんにどうですか、て聞かれたらどうするの?
『あんまりでした』とか答えるの?」と聞いたら
「え、『また今度にします』って言えばいいじゃん」と
小学生の娘の諭される、中年の私。
なんだろう、娘の方が世の中をすいすい泳いでいる気がする。

とまあ、そんなことを考えるのだけれど、
穂村さんのエッセイを読んで、
40間際で「こんな感じ」の人間は
私一人じゃないんだよって安心できた。
いや、安心していていいのだろうか。
穂村さんはいうても短歌の第一人者だし。
世の中すいすい渡っていなくても、
世間で成功している方であるわけだし。

とりあえず、穂村さんの作品をもっと
読んでみよう。



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