見出し画像

赤いキャップをかぶった鳩とサンドイッチの夢

私は日々、日常かと勘違いするほどの夢をたくさん見るのですが、その夢から学ぶことや気づかされることも多くあります。 

昨日の夢は起きてからもずっと引きずるような痛みを伴う夢で、そこから考えることも思うことも多かったので、文章にまとめておこうと思います。 

リビングに座っていると、様子のおかしい灰色の鳩が、ドアからちょこちょこ歩いて入ってきます。
見ると頭から首までプラスチックの赤いキャップがかぶされ、前が見えない状態です。
これでは食べ物も食べられないし、水も飲めません。 

私は慌てて鳩に近づき、キャップを頭から外してあげました。
鳩は逃げることをしなかったので、これはかなり衰弱してるんだ!と思いました。
小さい陶器の器に水を入れて鳩にあげると、鳩は美味しそうに水をたくさん飲み、ほっとしている様子でした。 

鳩が落ち着いたので、私は大きく窓を開け、いつでも飛び立てるようにして、買い物に出かけることにしました。 

玄関を出ると、玄関先に大柄な外国人男性が倒れています。
金色の髪は乱れて白っぽく見え、体格はよいのに弱っているようです。
「どうしたのですか」
声をかけると、彼は意識があり、おなかがすいた、何か食べ物がほしい、そういった感じのことを言っているようです。 

私は家にたくさんサンドイッチがあることを思い出しました。
太いバゲットに、ハムやチーズやお野菜がどっさりつまったサンドイッチです。
「ちょっと待っててください」
家に戻ると、ちょうど部屋から婚約者A(実在しない人)が出てきました。
どうしたの?と聞くので、今、おもてで外国人の方が倒れてて、おなかがすいてるみたいなの。
と言ってサンドイッチを取りにいきました。 

玄関近くに覗きに行っていたAに 

「はい、これ、外の方に渡して!」 

と、サンドイッチを渡すと、Aは倒れている方の目の前でサンドイッチを食べ始めるのです。 

「なにやってるの!」 

私が怒ってAに怒鳴ると、Aは 

「冗談だよ、冗談!まだサンドイッチあるだろう?」
と。 

Aを無視して、再びサンドイッチを取りに戻りあるだけ全部、彼に渡しました。
彼は何日も食事をとっていなかったようで、私を見ることもせず、サンドイッチをガツガツ食べます。 

私はそのままひとり部屋に戻りました。
部屋に戻るとそこに鳩はもういません。
それには少しほっとしました。
ちゃんと飛び立てる体力があったんだな。 

でも私の気持ちは暗く曇ったままでした。

食べ物を食べられない状況にする。
食べ物をあげると見せかけてあげない。

こういうこと、動物相手に面白がってやる人もいるなぁとそのとき思い出します。 

ほらほら、おいしいよ……あーげない!!
うっそー!あげるー! 

私はそういう場面を見るたびに、とても辛くなります。
動物の純粋な目は、おいしい食べ物への期待と、もらえなかったことの落胆が、めまぐるしく入れ替わります。
その気持ちの動揺がどれほどのことか、想像すると辛くなるのです。
最後には食べ物がもらえたとしても。
食べ物は生きるために必要なものだから。 

それを人が人にやる場面を見て、その残酷さは過去の時代にも繰り返されたことなのかも、とも思いました。 

食べ物があるものが、ないものへ。
生きるための力があるものが、ないものへ。 

私にもその小さい種みたいなものがあるのかもしれない。
環境が変われば私もやるのかもしれない。 

でも、その種がすでに育っている人と、私は大きく違う。
私はこの人と一緒にいてはいけないし、これから先もその種が育つ環境を自ら排除していかないといけない。 

私はAに婚約破棄を申し出ます。
Aは驚きます。
「え、なんでなんで?さっきのこと?ただの冗談だよ、だって、あの人の分のサンドイッチはあったじゃん」 

「だって、まさこどうするの、仕事もなくて俺と結婚しないでどう生活するの」 

Aの言葉は私には全く入りませんでした。
今まで仲良く過ごしてきた日々が、一瞬で消えていきました。
今日外国人男性に会わなかったら、私達は間違いなく結婚したはずです。 

でも、今日の出来事があったことで、今まで見えなかった私とAの決定的な違いがわかったのです。 

・・・ 

そんな夢を見ました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?