ボディスキャンはリラクゼーションではない
ボディスキャンはマインドフルネスを代表する瞑想です。
マインドフルネスの書籍には必ずと言っていいほど紹介されており、マインドフルネス関連のセミナーや講座でも取り組むことが多い人気の瞑想です。
取り組み方もネットやYouTubeで検索すればたくさんヒットするでしょう。
しかし残念なことに私が確認した限りでは、9割以上が間違った取り組み方を紹介しています。
間違いの多くがボディスキャンを「リラクゼーション」と捉えていること。
そして「やさしく注意を向ける」とか「おおらかな気持ちで」など、取り組む際に余計なイメージや思考が不随していることです。
ボディスキャンは身体の部位に能動的に注意を向けていきます。
そして「今この瞬間」の身体の状態に気づき、思考を止めてありのままに自分を観ていく身体を用いた「心の筋肉を鍛える瞑想法」です。
「ありのまま」は思い込みであってはいけませんし、そこにイメージや思考は必要ありません。
身体に意識を向けるとは実際にその部位に注意を向けることです。
以前からお伝えしていますが、現代人は「実際に注意を向ける」がとても苦手です。
何事も頭で解釈し、頭で判断する癖が強いため、身体の感覚をキャッチする力が弱くなっていることが理由です。
瞑想初心者が最初にぶつかる壁でもあります。ここがわからないと、永遠にマインドフルネスの瞑想を実践することが出来ません。
実際に身体に注意を向けるためには、身体の感覚を正確にキャッチする(知覚)必要があります。
まずは「思考」と「感覚」を区別しなければいけません。「身体に注意を向ける」と「身体に注意を向けると思っている」の区別です。
多くのセミナーや講座ではそこを飛ばしていきなり「足先から注意を向けていきましょう」とやっています。
講師の説明ぶりを見ていると、恐らく講師自体も実際に注意を向けることが出来ていないし、理解もしてないのだろうと推測できます。
講師の身体や動きにそれが表れているからです。
「身体に注意を向けるとは具体的にどういうことか?」「丁寧とは?」をしっかりと説明する必要があります。
ここを理解ないと「思い込み」や「イメージ」でボディスキャンを行うことになります。特に初心者や瞑想歴の浅い人(1年未満)はそうです。
もちろん「身体に注意を向ける」と「身体に注意を向けると思っている」の区別は簡単ではありません。
区別していると思っていても、実際は区別が出来ていないことも少なくありません。この辺は指導者のフィードバックを受けながら取り組まないと難しいでしょう。
呼吸の瞑想も同様です。
「注意を向けていると思っている」でもリラックス的な効果があるかもしれませんが、マインドフルネスはリラクゼーションではありません。
リラクゼーションをいくら行っても心の筋肉を鍛えることは出来ません。
マインドフルネスの瞑想をリラクゼーションと考えているのであれば、それは根本的にマインドフルネスを誤解しています。
瞑想アプリによる誘導はどうか?
「身体に注意を向ける」と「身体に注意を向けると思う」の違いがわからなければ、アプリの誘導に従って行ってもリラクゼーションの域を出ません。
「リラクゼーションが目的だから」と言う人がいますが、それならば他に無料で効果的な方法がたくさんあるので、そちらを選択すれば良いのです。
瞑想アプリはある程度、マインドフルネスや瞑想が身に付いている人向けです。初心者や瞑想歴が浅い人にはあまり意味がないように思います。
瞑想アプリは効果がないという研究報告があり、危険性も指摘されています。
「マインドフルネスはリラクゼーションではない」「ストレス解消ではない」「瞑想は現実逃避ではない」と何度もお伝えしている理由は、そのように捉えている人があまりにも多いからです。
瞑想の指導者やヨガインストラクターでもそう捉えている人がいます。
瞑想を指導するためには、資格は必要ありません。誰でも瞑想指導者を名乗ることが出来ます。
瞑想ブームに乗っかり、少し瞑想をかじった程度で瞑想指導者と名乗る人がたくさんいます。(一時よりは減った)
そんな指導者から瞑想を習うのは危険です。瞑想には危険性があるからです。
ヨガのインストラクターは、民間ですが資格制度があります。ある程度、ハタヨガの訓練を積んでいまが、瞑想に関してはかじった程度の域を出ていません。
間違った瞑想を教えているヨガスタジオやインストラクターも少なくありません。
リラクゼーション法とマインドフルネスや瞑想は全然違うものです。
リラクゼーションと捉えて行うと、場合によっては精神のバランスが崩れたり、不安定になるなどのリスクがあります。
マインドフルネスはとても素晴らしい実践なのに、これではもったいないのです。
書籍やネットの情報を元にした自己流での実践はお勧めしません。可能であれば信頼できる専門家から学んでください。
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