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「なんか好き」という気持ちを大切に。アート初心者が美術館を楽しむコツ。

こんにちは、『小山嶺子のはらぺこ散歩。』第57回目の配信です。

このチャンネルは、三度の食事よりも考えごとに没頭し、答え探しのお散歩に出かけてしまうフードアーティストの小山嶺子が、お散歩を経て気づいた料理やアート、人生の学びをお話します。あなたのお散歩のお供にご視聴いただける、“考える人”のための番組です。

先週末に東京都現代美術館へお散歩に行ってきましたので、アート初心者の方向けに感想と美術館の楽しみ方をお話しします。

めちゃくちゃ暑かったです。ポカリスエット必須!!!!

デイヴィット・ホックニー展へ行ってきました!



先週、お散歩をしながら Instagramストーリーズに写真を載せたところ、興味を持ってくださった方方が多かったので、(感想を残しておかねば!)という思いで、ラジオ収録をしました。

デイヴィット・ホックニーは、イギリスのブラッドフォード出身のアーティストです。1937年生まれ、ということは、なんと、もう86歳ですね!

おじいちゃんです。

プロフィール写真が、チェック柄のスーツに、ハンチング帽子、黄色いメガネをして、手には黄色いお花を持って、テーブルには飲みかけのビールが置いてあるのがたまらなくキュートです。もちろん顔は、ニコニコして楽しそう。

この人です。可愛いなぁ。会ってみたくなるキュートな印象です。

作品は、ポップでカラフルな楽しさが満載なのですが、プロフィールの写真を見ただけでもキュンとしてしまうような…「なんか好き」と思える愛おしさです。


美術の知識がなくてもワクワクする作品たち


そんな可愛らしい方がつくるのは、絵画だけではなく、版画や写真、映像など様々です。わたしは、美術の専門家ではないので難しいことはわからないのですが、わからなくても、しっかり愉しむことができますよ!

展示されているのは、ひとりでは抱えられない大きな作品ばかり。中には全長90メートルにもおよぶ長い長い作品もあります。その90メートルの絵は、なんとiPadでかかれてます。2020年、コロナ禍にipadを手に入れたらしく、iPadで書いた作品がたくさんありました。

ホックニーの日常は、毎日起きたらそのままiPadとペンをとり、窓の外に見える景色を描くそうです。素敵ですよね。

「人は年齢じゃない」と思いつつも、そういうことを若い世代ではなく、80代の方がやっているというのが、素敵な生き方だなぁと思います。

ほら、日付が。
映像作品は、みんな並んで見ていました。映像が人気なのは流行りでしょうか?

作品は作家が向き合った時間。
個展は作家の人生を辿るもの。


今日、地元のとある展覧会に行って作家さんとお話をしたんですが、「作品ひとつひとつには作家がそれと向き合った時間や想いが乗っているんだよね。こうして並べると、人生そのものだなー。」と仰っていました。

それを聞いて、「なるほどな!」と思いました。

行為としては、ただ作品を見ているだけなのですが、個展は、作者の人生を辿っていくという見方もできるんだなぁと思いました。

カラフルな色を使用しているからといって、その時代に作者がハッピーだったとは限らないだろうし、ダークな印象だからといって、いつも暗い顔をして過ごしていたわけではないと思います。

ですが、年月を経て、わたしたち鑑賞者があーだこーだ勝手に想いを馳せたりするのは、なんか面白いですよね。作品って、ある意味タイムカプセルみたいなものだな、と思います。


作品を鑑賞するだけではなく、生き方のヒントにもなるかもしれない。


これは私の場合ですけど、「この人なんか好き。」と思う作家の作品は、やっぱり好きです。作品がいいなぁと思うと、その作者もだんだん好きになってきます。

そうすると、芸術的なこと以外にも、その作品や作家さんから影響を受けて、考え方や生き方に至るまで、何かしらのヒントを自分の人生に落とし込もうとします。

今回の、ホックニー展もわたしには、多くのヒントがありました。

さらに、ホックニーもそれと似たような感覚でつくっている作品がありました。


あなたの好きな人は、誰から影響を得たのか探ってみよう。


ホックニーは、ピカソが大好きだそうで、ピカソをテーマにしたブースがありました。作品の中にピカソの絵を描いたり、尊敬を全面に表した、ピカソからインスパイアして制作されたシリーズです。

一番面白いと感じたのは、ブルーギター(扉)という作品です。画集のために作られた作品のシリーズの表紙に当たるものです。

書いている言葉が好きでした。

The blue guitar etchings by David Hockney who was inspired by Wallace Stevens who was inspired by Pablo Picaso

ブルーギター(扉)より


つまり、この作品は、ウォレス・スティーブンス(詩人)の詩に登場する”blue guitar”というフレーズにインスパイアされ、ホックニーが大好きなピカソに尊敬の念を込めているという意味。「彼らに影響を受けた作品です!」と書いてあるのです。

左の作品が『ブルー・ギター(扉)』


なんだそんなことかと思われるかもしれませんが、私にとってこの inspired by という言葉はとても親近感が湧くものです。

私の屋号cinemanma(シネマンマ)は、「映画から連想する料理」を意味するのですが、作った料理には「 inpired by  映画のタイトル」と、必ず書いてきました。

そのタイトルをつけることが、影響を受けたものに対する尊敬だったり、熱いファンレターみたいなものなのです!

私の作品を通して、私が影響を得たものにまで興味を持って欲しいという意味を含ませています。

大好きになったデイヴィット・ホックニーとそんな共通点があったことを嬉しく思いました。

こんな風に、ただ目の前にある作品を見るだけでなく、その作品や作者が一体どんな事柄や人に影響を受けたのかもっと連鎖して探ってみると、もっとその人のことを深く知ることができて、連想ゲームのように楽しくなります。


もちろん、頭を使うような見方をしなくても大丈夫です!


見たこともないような大きな大きな作品を見るだけでも、テンションが上がるのは間違いないですし、額縁まではみ出している仕掛け絵本みたいな絵画は、お子さんが見たら楽しいだろうなとも思います。

また、展示室の壁は、綺麗なパープルだったり、ピンクなので、最近の映え文化に慣れている方にはきっと楽しいと思います。

メインの展示室は、写真が取れませんが、スマホであれば撮影可能なエリアもあるので、写真をとって楽しむのも一つです。

こんなに可愛いのです。
スマホでのみ撮影可能です。みんな写真に撮っているので、近くで見るのは若干気が引けました(笑)


本に書かれた絵が動き出す⁈ホックニー・AR


歴代の画集を展示しているエリアには、面白い仕掛けがあります。意外と見逃してしまいがちなので、覚えておいてくださいね。

「ホックニー・AR」です。

その場でアプリをダウンロードし、展示されている本にスマホをかざすと、スマホの中で、作品が描かれていくんです。アナログとデジタルを両方楽しめるような最新の仕掛けが施されていて、ワクワクしました!

(一人で行ったのに、テンション爆上がりでした。)

真ん中の展示台で体験できます。
iPhone 越しにみる様子。とにかくやってみてください。


百聞は一見にしかず。本や写真で見るのと実物は全然違うワクワク感!


昨日、美容院に行ったら、皆さんが興味があるということで、みんなで画集を見ました。すると、スタッフの方から、「でも、この画集を見たから行かなくても満足しちゃいますかね。」と聞かれました。

いえいえ、そんなことはありませんよ!

画集や写真とは全然!違います。迫力も気合もパワフルな環境も鮮やかな色の中に入り込むような感覚だけでも楽しいです。こうしてラジオやnoteに綴っておいて言ううのもなんですが…誰かの情報を見て満足してしまうのは勿体無いですよ。

ミュージアムショップでは、楽しい楽しいお買い物を♪




何より…..グッズがめちゃめちゃ可愛い!
ミュージアムショップが大好きなのですが、この展示のグッズは、ぜーんぶ可愛くて、何を買おうか相当迷いました!

https://bijutsutecho.com/magazine/insight/27534


メインビジュアルになっている森の絵のスカーフやトートバックも悩みましたし、うちわも素敵でしたよ!何種類かあって、うちわの持ち手は木製なので、和装でもしっかり相性が良さそうでした。


わたしは、悩みに悩んで、画集と好きな作品のグラスとポストカード、ファイル、にしました。あとは、お世話になっている方へのお土産を買って・・・と、結構買ってしまいましたね!笑

ちなみに、ミュージアムショップはとても混んでいるので、次の予定が控えている場合にはちょっと余裕を持って並びましょう。

じゃじゃーん。
じゃじゃーん。

展示室は寒いです。羽織るものを持っていってね。


あと、展示室は寒いので、外の気温に合わせて服装だと凍えるかもしれないです。美術館側でブランケットを貸してもらえますが、さっと羽織れるものを持っていくと、リラックスして楽しめるかなーと思いますよ!

この日のわたしの服装。大きな荷物はコインロッカーに。(百円ちゃんと戻ってくるので、なるべく身軽に鑑賞しましょう。)


「なんか好き。」という気持ちを大切にしてください。


美術館にいくと、知識が豊富な方が沢山いらっしゃるので、中には「あー、これはこうでこうでこういう作品だね」「うん、うまいよね」とか同伴者の方にさらっと解説をしている方も多いです。

それを小耳に挟むと、「へーそうなんだ。私全然、そういうの分からなかったなー」とか思ってしまうことがあります。

確かに、美術館とか博物館は本来学ぶ場所ではあるので、難しく感じてしまうことは少なからずあります。

でも、まずは、興味を持つということの方が大事だと思います。

そうでなければ、好奇心や楽しみな気持ちの芽を摘み取ってしまうのではないかと思うのです。

実はわたしも、興味や好奇心が湧いたことを理論的に説明されすぎてしまうと、頭で理解できなくて、「自分には分からないもの」と決めつけてシャットアウトしてしまうことがよくあります。

それって、もったいないですよね。

だから、「なんか好き。」と思えるものに出会えた時には、「なんか好き。」という気持ちだけに浸っていいです。その気持ちがだんだん膨れていくと、自分でも何かをやってみるきっかけになったり、心の栄養になります。

わたしは、この雰囲気は「なんか、とても好き」でした。


そしていつか、タイミングがきた時にちゃんと学んで見たくなります。わたしは最近、そういう学びに時間を使い始めているタイミングです。

最近、日本の歴史とか少し学んでいます。身になっているかは、別……。


これを読んでくださいっている方には、人の話を聞きすぎず、「なんか好き。」という気持ちを楽しんでいただきたいたいなと思います。


デイヴィット・ホックニー展は、東京都現代美術館にて11月5日までやっているので、ぜひ、行ってみてください〜!


嶺子の日々のお散歩と暮らしはInstagramをチェックしてみてください。@cinemanma.mineko


Live, Love, Laugh, and Be…HAPPY.
2023.07.23
Mineko Koyama

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