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【本】「過敏で傷つきやすい人たち」

※今回は内容がボリューミーです。それだけ、学べることがありました。


本を手に取った理由

 結論、僕自身の過敏さと上手に付き合いたかったからです。例えば、ミスをして上司に怒られた時。「自分のために怒ってくれたんだな」と思い切り替えできれば傷として残らないものの、僕は違います。酷い時は「自分をいなくさせたいんだ」という気持ちと「こんな自分だからいけないんだ」という怒りと負の感情で支配されてしまいます。要するに、過敏な傾向があるのです。昔から、「深く考えないで」と言われても、実行することができませんでした。僕はこの本を読むことで、これからどのように自分と向き合うことが、自分にとって良い方法なのか知るため、本を手に取りました。


読んで気づいたこと

子どもの頃受けた愛の量と過敏性の関係

①敏感の始まり
 
この本では、愛着と自律神経が関係していることを指摘しています。理由は以下の通りです。
 子どもの頃、親に慰めてもらったり認めてもらう経験(以下愛着)は、重要です。なぜなら、ストレスを受けても安心できるという、交感神経から副交感神経に切り替える仕組みができるからです。怪我をした時、絆創膏を貼ってくれた。学校で嫌な思いをしたら、話を聞いてもらえた。ストレスを受けても安心できるので、リラックスすることができます。
 しかし、愛着関係が築かれなかった場合、ストレスに対しての副交感神経の切り替えができなくなってしまいます。すると、外から持ち帰ってきたストレスを家で癒すことができず、ずっと交感神経が高い状態になります。ストレスと身近にいる環境に居続け、ついには、過敏・敏感さがでてきて、身体反応として表に出てくると指摘されています。

②そして心配性へ
 ①のことが習慣化されてしまうと、今の状況は大丈夫な方だと自分の中で安心させてしまうようになります。
例えば、
「お父さんは殴ってくるけど、家に帰ってくるだけましだ」
「お母さんは自分に興味を持たないけど、ご飯を作ってくれないよりいい」
みたいな。
ですが、これが心配性に繋がっていきます。つまり、最悪な状況を想像することも、習慣になってしまうということです。
「〜したら〜になるかも…もしかしたら…もしかしたら…」
小さい頃にできた危機回避能力は、心と思考に染み付き、ずっとつきまとってきてしまうのです。

 また、心の傷は相手の見た目からは分かりません。しかし、愛着不足の寂しさは愛着に関することを引き金に、急に冷たくなったり、優しくなったり、離れたり、近づいたりして、本人がどうしたらいいかわからなくなってしまうことも指摘しています。それは、愛着形成が不十分であり、そうなる過去を生きてきたから。

以上のことにより、愛着がいかに大切であるかが述べられています。


過敏な人への2つの処方箋

1:訳が分からずしんどい時
心から湧き出る感情を紙に書いて、対処方法も書く
これを行うことで、集中力を取り戻し、ストレスが身体に現れることを防ぎます。頭の中がグルグルして、心はモヤモヤしていると、本を読んだり家事をしたり、集中することが難しくなります。また、ストレスによって頭痛・腹痛・めまい・腸の不調を感じる人がいます。その際には、紙に自分の気持を書いて気持ちを整理したり、気持ちのガス抜きをすることが大切です。
 そして、対処方法も書くということです。僕自身、紙に気持ちを書くことだけでは、ストレスの対処に役立たないと感じていました。なぜなら、モヤモヤの中には、解決できない過去のこと・起こるか分からない未来のことも含まれているからです。自分が書いたことを見て、余計にしんどくなっていました。
 本で書かれていることとして、モヤモヤに対して今できること(例えば、とりあえず寝る・犬の動画を見て癒やされる)以外に、どうすることもできない過去と・未来のことが出てきた場合、「現在のところなすべきことなし。様子を見る。」と書くことが勧められてんいます。僕はここを読んで、なるほどと思いました。どうにもできないことは、とりあえず決着をつければいいことに気が付きました。マインドフルネスに関する本には、今に集中しなさいと書かれています。僕は抽象的な内容で分かりませんでしたが、モヤモヤと対処方法を紙に書くことが今に集中するということなら、できそうだと感じました。


ボーッとする
 ボーっとすることの効果に、神経にかかる負荷が、限界を超えないように調節する働きがあると書かれています。何もせず1日を終えたことはありませんか?つい何もしなかった自分を責めたくなりますよね。でも、肯定していいんです。今日は自分のためにたっぷり時間を使った。それだけでいいのです。


2:理由が分かっていて心がしんどい時
メタ認知を鍛える
傷つくことに出会うと、ネガティブ感情に思考がが支配されがちです。そうすると視野が狭くなり、正常な判断ができなくなります。そんな時は、感情の支配から抜け出すために、自分の視点から離れる必要があります。それが、メタ認知です。

〜と思った…と自分は思ったのはなんでだろう?

メタ認知

こうして、まず自分の感情から離れて、自分を見ます。


ヴァリデーション戦略
 次に、起きてしまったことに対して、出来事の悪い所ばかりではなく、良い所を肯定します。これは、ポジティブとネガティブの中間にいるということを意味します。なぜ両面を見るかと言うと、どちらに偏っても、視野を狭めてしまうからです(どうにかなるさ⇔自分はダメな人間なんだ)。
 良い悪い面を見つけた後に、①訳が分からず心がしんどい時にある、対処法を書くに移行します。自分が今どういう状態なのか確認して、今できることを行う。過ぎた過去を悔いず、予想通りにいかない未来に怯えず、今できることを行うことの大切さに気づかされました。


✅安全基地を活用する
 補足情報も記載します。過敏の回復と愛着の安定性は並行していると、研究で分かっているそうです。自分が愛を求めた時、相手にしてくれる理解者の存在がいることで、過敏を治せる可能性があるということです。しかし、人類全員に、自分の愛着を満たしてくれる存在が身近にいるとは限りません。しかし、僕は犬や猫など対象はペットでもよいのではないかと考えました。また、ラジオの質問投稿などフィードバックがある存在も、近しいと考えます。
 僕は安全基地についての章を読んで、診察と薬の処方以外の病院の役割について気が付きました。僕は、体長が悪い時、病院で診察してもらっただけで症状が軽くなった経験があります。自分の症状・辛い現状を受け止めてくれたことで、安心できたんだと思います。なので、緊急の時は薬局で薬を買って対処してもいいかもしれないけど、”まずは病院”というのは、精神的なケアの意味でも理にかなっているのかもしれません。

※ただし、上記2つの処方箋については、本を読んで僕なりに考察した内容です。というのも、この本は過敏さの原因については詳しく書かれているものの、解決・対処方法については、内容が弱いと僕は感じました。なので、気になった方は、実際に本を読むことをおすすめします。


考えたこと

いつからストレスでダウンしたのかによる対処の違い

 僕は社会人になって社会に適応できず、ダウンしたのか、子供の頃から精神的に弱かったのかで対象方法が違うと考えました。なぜなら、根本の原因が違うからです。
 社会に出てからダウンする代表症状としては、うつ病が挙げられます。以前、勤務先の店長とうつの話をした時、店長・ブロックマネージャー・エリアマネージャー皆がうつ病経験者であると知りました。それぐらい身近なのです。というか、そんな続出してしまう社会ってどうなのって思いますが…
 うつの治療は薬を飲む薬物療法、考え方を変える認知療法、行動を変える行動療法があります。

受けたダメージに対して対処するので、時間はかかりますが、適切な流れで治療していくことが可能なタイプだと考えます。
 しかし、子供の頃から精神的に弱いタイプは、上記内容をやっても一時的な効果のみで、またストレスでダウンしてしまうと考えます。なぜなら、ストレスに対して敏感になる環境・状況にいたため、どんな内容でもネガティブに受けとってしまう可能性があるからです。なので、自分の過去と向き合って根本から解決する必要があると考えます。もし、自分の心が弱いことが変えられないことだと諦めてしまっているなら、本を読み情報を集めて、自分を見つめ直すことを勧めたいです。


状況も思考からも逃れられない人への救済

 「私は親との愛着関係が薄いから、ストレスに敏感になっているんだ」なんて認識できる子は少ないでしょう。多ければ、非行なんてないはずです。しかし、良くも悪くも近くにいる親が子にとっての真実なので、親から嫌なことされた・興味を持たれないことがあっても、おかしいとは思えにくいと考えます。なので、僕は親世代の気付きと理解が必要だと考えます
 僕は、友達の親と話す中で、第2・3の親を見つけてきました。自分とは異なる親と話すことで、初めて自分の親を客観的に認識することができたのです。だから、器の大きい大人が増えて欲しいと願っています。つまり、自分の子以外の子がきたときに、理解してくれるような大人。
 そのために僕は、人の発達に関する本を読み、発信することが今自分にできることだと再認識しました。


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