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小学校の英語授業、音の学習にもっと重きを、先生はガイド役

「コミュニケーション能力」が重視され、英語に「慣れ親しむ」ことが強調される日本の小学校の英語授業。

コミュニケーションを取るには、相手が発する内容を聞き取ることが必要ですが、英語の聞き取りは日本人にとって難しい。英語の音やリズムが、日本語と大きく異なるためです。

小学生にもなれば、母語の基礎は完成しているとされます。母語にはない音に接したとき母語の音や文字を当てはめようとするのは、まだ小学生であっても自然な反応です。

自分の周りにも、強いカタカナ発音をする小学生が多いことが気になっています。

小学生に英語の授業を行うなら、まだ音の吸収に敏感なこの時期に、英語の音の特徴を取り上げ、日本語とは違うのだという気づきを促すことがやはり大切だと考えます。

英語の音をありのまま聞いて、その通りに発しようとする姿勢を身につけることこそが、違いを受け入れ、本当の意味で英語に「慣れ親しむ」ことにつながるのではないでしょうか。

「耳から育てる」「教えずに気づくのを待つ」英語育児の立場としては、この点を主張しないではいられません。

小学生に1人1台パソコンが配布される時代。

インタラクティブなリソースをもっと活用して、学校の先生方の負担を増やすことなく、むしろ負担を減らしながら、英語の音の学習にさらに重きがおかれることを願っています。


小学生の英語の音の学習、英語育児の視点から


先月、英語発音指導の勉強会に参加する機会がありました。

プロの英語の先生方、特に発音指導に熱心な先生方が繰り広げるハイレベルでマニアックな議論に、とても感銘を受けました。

と同時に、小学生の子どもを持つ母親として身近にある、小学校の英語授業(習い事としての英語教室ではなく、学校教育)の発音指導について、改めて考えるきっかけにもなりました。

以下は、超シンプル英語育児の立場から見た、小学生の英語の音の学習に関する雑感です。

「日本語訛り」は気にしない!避けたいのは「カタカナ読み」

日本語を母語とする人が、英語の異質な音やリズムに触れたとき、聞き取る手がかりがなく、カタカナ音でマネするしかないのだとしたら、それは残念なことです。

カタカナ読みは、訛りの域を超えて、もはや日本語です。外国人には伝わらないですし、そもそも伝えようとする姿勢が感じられない、失礼な印象も与えかねません。

「日本語訛り」自体を否定しているわけではありません。

英語育児でも、日本語環境の生活の中なので、日本語訛りはあります。

ただ、英語の音を聞き続けているうちに、日本語訛りはだんだんと消えていきます。音読などの取り組みを続けると、英語らしい音になってきたり、そうかと思えば、また少し日本語っぽい発音に戻ったりと、行ったり来たりもします。

でも、日本語環境にいるのですから、それでよいのです。

英語の音を聞き取ろうという姿勢を持っていれば、本当に英語での発信が必要になったとき、意識すれば伝わるように発音できるものです。

カタカナ読みから始めて、大人になってから発音矯正するのは、なかなかに単調で根気のいる作業です。

早い段階から、極端なクセがつかないようにすることが、リスニングにしてもスピーキングにしても高い水準に到達することに直結すると考えます。

つまり、英語を学ぶとき、「カタカナ読み」と「ネイティブ発音」の2極で考えるのではなく、多少の日本語訛りがあっても、なるべく英語らしい音に近づける努力をすることが重要なのです。

小学生からでも音の習得は可能?就学前の英語と小学生英語の違い

そもそも論として、「小学生が英語の音を身につけることはできるの?」と思う方もいるでしょう。

英語育児の立場としては、日本語環境でもそれは十分に可能で、小学生から始めても全く問題ないということになります。

しかし小学生は、乳幼児から始めた場合と比べると、日本語での生活の中では、英語を聞く時間と量を確保することが、いろいろな意味で難しくなっていきます。

乳幼児ならば、時間と量でもって聞き続けることで、自然に吸収されるのを待つようなアプローチになります。

一方、小学生であれば、まだ細かい理屈こそ通じないかもしれませんが、日本語と英語の音の違いの気づきを促すことが可能になります。
ただ待つのではなく、積極的に働きかけることで、違いを発見して吸収するまでの時間が短縮できるのです。

小学生には、音を聞き取るためのヒントを、積極的に与えることが非常に有効です。

発音を教える先生がいない?「指導」は不要、「ガイド役」に徹する

ただ、現実問題として小学校では、英語の発音をきちんと教えられる先生がいない場合もあります。

しかし、英語育児では原則として、子どもに英語を教えません。

したがって、小学校でも、発音を教えられる先生がいなかったとしても、音の学習の授業ができないわけではないのです。

ワードやフレーズの音を聞いて、なんとなく繰り返すばかりの学習では、英語の音の実体がつかめず、学んだことが定着しづらいです。

1人1台あるパソコンをフル活用して、各自パソコンで音声を聞いて、音を発する練習をしたり(これが、家庭での練習方法を知ることにもなります)、クラス全体としては、そっくり音をマネるにはどうしたらよいか、口をどんなふうに使えばよいか一緒に考えたりする、というスタンスで十分なように思います。

つまり、先生は指導するというより、子どもたちが日本語と英語の違いに気づくための「ガイド役」に徹すればよいのです。

このような形で、小学校で英語の音の学習にさらに重きがおかれることを願っています。
また、もし発音指導が可能な先生がいらっしゃれば、是非児童一人ひとりにアドバイスをして、気づきを確認するサポートをしていただきたいです。

帰国子女であったり留学の経験がなくても、日本で日本人として暮らすなかでも、高い英語力を身につけることは可能であり、その基礎となる「音の学習」は重要です。


お読みくださりありがとうございました。


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