手土産に近所のパン
「近所でおいしい、ってパンがいいな」
きどったお菓子じゃなくて、とゼミの先生がぽつりと言いました。
普段は授業のこと以外おっしゃらない先生が、
「油がしみちゃった、くしゃくしゃの袋とかに入ってていい、近所でおいしいんで、とかいうパンだとうれしいな、自分のために買ってきてくれたんだから」
気兼ねなく、一緒にその場で食べられるし、と。
あれはもう30年ちかく前のこと。
誰かに手土産を選ぶ時、
体裁を気にしてしまう自分に気付くとき、
うまいなと公園でパンをムシャムシャ食べる時、
ふと思い出しています。
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